第5章 そして幕は開けようとしている
投稿し忘れてた!すいません!
戦争開始の約2週間前。現段階から戦争に向けた準備を開始した。寮が襲撃されたことも、準備を早める要因にもなったが。沙貴音さんは主に結界を張る。人数差からかなりの結界を張らなければ辛い戦いとなるだろう。そんな慌ただしいある日、沙貴音さんによって全校生徒が集められた。
「これから、持ち場の発表の前に学園に協力してくれる人物を紹介しようと思う。出てきてくれ」
沙貴音さんが促すと、男が1人、女が1人やってきた。
「こっちのデカイのは風堂雷切。こっちの可憐な方は雷風歌だ。2人とも私の弟子だ。実力は問題ない」
ハヤテよりガタイが良く、とても筋肉質。でも無駄な筋肉はそこまで育っていない。必要な筋肉だけであれ程とは。かなり強いだろう。もう一方の方も細身ながらもちゃんと必要な筋肉はあり、感情を見せないことが上手いと感じた。
只者ではない。沙貴音さんの弟子だ。当たり前か。
どれ程の強さか試してみたいなと思った。そればかりでその後の話はあまり聞いていなかったが、問題ない。
***
「刀夜は雷切に、サラは風歌に稽古について貰おうと思う。2人とも、よろしくな」
「勿論」
「はーい」
「よろしくお願いします」
「よっ、よろしくお願いします」
「場所を移すぞ水蓮寺」
「あ、はい。じゃあサラ、頑張ってね」
「うん、トー君もね」
それから雷切さんについて行く。会話はない。
「水蓮寺、お前はあの金髪と付き合ってんのか?」
「は、はい。そうですけど」
「そうか。さて、ここらでいいか」
着いたのは第1訓練場。1番広く、1番人が集まる場所で、僕はここに初めてきた。
「…貸し切り?」
「ああ、周りに人がいれば死人出る」
「そこまで激しくやるんですか」
「ああ、沙貴音からお前のことは聞いている」
「どこまで?」
「沙貴音は全てと言っていたが、多分まだ隠されている。追究はせんが。さて、お前には本番と同じ戦いをしてもらう。《白夜烏》の事、聞いている」
「じゃあ、いいんですね」
その問いに雷切さんは頷く。ならば大丈夫だ。僕は《白夜烏》を展開した。
***
稽古初日が終わった。雷切さんはスポーツドリンクを買ってきて、僕に渡してくれた。
「ありがとうございます」
「なあ、少しいいか?」
「はい」
「お前のその剣技は何故極みに達している?一生かかっても極みに達した例は少ない。なのにお前はその年で極みに達している。何者だ」
「そんなの、前例がないだけの話でしょう」
「…そう言われちゃ、ダメだな」
そう言って雷切さんは頭をガリガリとかいて地べたに座った。
「お前はあの金髪と共に戦いたいか?」
「本心は安全な場所にいて欲しいですけど、側にいてくれれば心強いでしょうね」
「あの金髪はお前の隣に立てるか?」
「どういう意味ですか?」
「少し、俺の話をしようか」
どこか寂しそうな表情で、雷切さんは語り始めた。3年前から風歌さんと付き合っているという事、一緒に戦おうと約束を交わした事、でも約束破ってしまった事。
「俺はあいつをおいて強くなった。強くなってしまったんだ」
「後悔してるんですか」
「あまり。お陰で守れたこともあったからな。でもやはり、約束だったからな。その点、お前はどうだ?」
僕とサラはどうなのだろうか。いや、迷う必要はない。僕の意思がどうであれ、結果として確定しているんだ。僕とサラの今の差から見ても。
「確実にサラは僕より強いですよ。今の僕は剣技を極め、魔力も上限に達している。僕は9.5割程成長しきっている。でもサラは剣技はまだ伸びる。魔力も倍以上にはなる。まだ6割程だと思います。まだ伸び代が沢山ある。だから今の実力差はあって当然で、なかったら僕泣きますよ」
「まあ、なるほど。ま、今度から稽古要らねえな。剣技極めた奴に稽古つけたら逆効果だ」
「そうですね」
***
「サラちゃんは彼氏ちゃんのこと好き?」
「ぶふっ!?あだっ!」
「あちゃー、こけちゃったね」
「い、いきなりなに言い出すんですか!」
私は立て直し、風歌さんに向かって走る。現在、魔力の使用を禁止とした、純粋な剣技による模擬戦の最中だ。
「信頼してる?」
「勿論です!」
「…信頼しきってる?」
「ッ…」
「やっぱね」
私が少し俯くと、風歌さんはやっぱりと言った。それがどういうことなのか、見当がつかない。
「彼、何か隠してるもん。沙貴音さんを見た感じ、沙貴音さんたちが、言わないように言っているように見えなくもなかったけど」
「沙貴音さん、たち?」
「誠さんとか、美咲さんとか」
誠さん、水蓮寺誠さんはトー君のお父さん。美咲さんはこの学園1のヒーラー。何故その2人も?
「私思うんだよね。どんな人にも、その人に疑いの目を向ける人何人かはいるってね。だから私は心から信頼しきってる人以外にはずっと疑いの目を向けてる」
「風歌さんの信頼しきってる人って?」
「雷切だよ」
「仲が良いんですね」
「まあ、付き合ってるしね」
「そ、そうなんですか」
付き合っている。そう言った風歌さんはどこか寂しげに見えた。
「今ちょっとあって距離置かれてんだけどね。それでも好きだし、信頼しきってる。…サラちゃんだけは信頼しきってあげて。疑う役は私に任せてさ」
「ッ…!はい!」
「さ、そろそろ真面目にやろっか」
そう言った風歌さんの殺気が強まる。だから私も、邪念を捨てた。
***
稽古2日目、僕はサラは頑張っているだろうかと思い馳せる。何故こんなにも余裕なのかというと、戦っていないからだ。昨日つまらないと言われたのでレンを連れてきたのだ。
「ぜぇ、はぁ…ッ…!」
「技術はまだまだだが、根性あんなこいつ」
「その見た目でも女の子なんで、ほどほどに」
「おうよ。それにしても何で男装してんだ?普通に女の格好できるだろ」
「私はッ…女の子が、好きなので!」
レンが途切れ途切れにカミングアウト。雷切さんは大して興味なさそうにへえとだけ言っていた。
「ん、刀夜はっけーん!」
ボケってしていると後ろから抱きつかれる。不意だったためよく声を聞いておらず、誰か分からない。
「水蓮寺二股か?」
「違います。って、姉さんか」
「正解」
「姉さんってこたぁ、水蓮寺夫妻の娘か」
「久しぶりですね、雷切さん」
「知り合いだったんだ」
「まあね、お父さんの友達が沙貴音さんだし。一向に名前呼んでくれないんだけどね」
そうか、確かに父さんと沙貴音さんは第5次聖戦の戦友。その娘と弟子にちょっとした繋がりがあってもおかしくはない。
「もうこっちにきてたんだ」
「沙貴音さんに呼ばれちゃってね、私の能力的にどうせ裏方だから、刀夜頑張ってね。じゃ」
そう言って本校舎に向かって一直線に進んで行った。
「確か、《ジャンヌダルク》だったか、あいつの神装印」
「はい。割と何でもできる神装印です。姉さんは防御魔法が異常な程すごいので、防御型みたいな立場にいますけど」
「第2次聖戦では攻撃型だったな。いい感じで活躍できてたけど、結局死んじまったんだっけか」
「書物を読む限り、不運だっただけっぽいですけど、運も実力ですよね」
「1次から全部の聖戦の書物読んでそうだなお前」
「読んでますけど」
「よく読めるな。4次までは内容酷かったぞ」
「その言い方だと雷切さん読んでるじゃないですか」
「最後の20ページくらいはな」
「お二人しかいないようにしか聞こえてませんよね!?字面だけ見ますとー!?」
忘れがちだが、今レンは雷切さんの相手をしている。きついのか今の今まで喋っていなかった。
「頑張ってレン」
「先輩が押し付けたのに……」
「よそ見禁止だ」
「あだッ!ああもうこんちくしょう!」
レンはやけになって突撃し、呆気なくカウンターを決められていた。
それから限りなく実践に近い形で戦ったり、複数人相手に戦ったりし、5日があっという間に過ぎていった。
***
プルルと、電話が鳴る。
『沙貴音』
「…仁か、何だ?」
『戦闘兵器及び核兵器の修理が終わってな。本当に、よくもやってくれたな』
「生徒が勝手にしたことだ、謝る気は無いぞ」
『どうでもいい。沙貴音、俺はお前を正面からぶつかって蹴散らしてやる。不意でもつこうかと思ったが、頭にきた』
「それで、わざわざ連絡してきた訳か」
『ああ』
「ふっ、あははははははははっ!あのなあ仁、お前が私に…私の作った《最高傑作》に勝てる訳がない。まあ精々運を頼れよ」
『なめやがって。明日12時に兵を出発させる。必ず、勝つ』
「お前は負ける。これは確定してるんだよ」
『ふん、なんとでも言ってろ』
仁はそう言って電話を切った。私は立ち上がり、夜空を見上げる。新月。月の姿はない。
「主役は月ではないかな」
ポツリと呟いてから、私は敵陣に攻めるメンバーを招集した。
いよいよですねぇ!
戦闘シーン多めにする予定です!
次回、「戦場へ」みたいな?




