第20章 死ねない。絶対に
さあいよいよクライマックス!お楽しみ下さい!
「…やあ、ゼクト」
「やっほ、刀夜やっと来ー」
「ウヴェァ!」
と、ゼクトの言葉を遮るように僕に向かってくる魔物。そいつは僕に接近することもできず爆散した。
「たく、俺と刀夜だけで戦う空間に来ないで欲しいもんだ」
「全くだ」
「…」
「…」
「始めよっか」
「ああ。その前に、僕が勝ったら僕がなんなのか言えよ」
「それ前言った気がするけど、いいぜ。俺が勝ったら、いや別に何もいらんや」
「じゃあ行くぞ」
「ああ、殺り合おう」
僕が地を蹴ったコンマ1秒後にゼクトも地を蹴る。そして、《弧月》と、《ヘル・シアリサイズ》が交わり、ギャリッ!と、響いた。
***
「戻りますよ、ユーリ」
「うん、分かった」
「やあお嬢さんたち」
「ッ!?貴方は?」
「幹部4人のうち1人、アモディオスにございます」
『怒』の表情をした仮面を付けた大男が、ノシリノシリと、歩いてくる。
「…ユーリ下がって。私が相手するわ」
「え、援護する…」
***
「お出ましね」
「おや、お気づきでしたか。お嬢さん。初めまして、幹部4人のうち1人、メフィストでございます。どうか、お見知り置きを。もうじきアモディオスが女2人を殺し、やってくるでしょう。それまでお楽しみいただけたら幸いでございます」
ピエロのような格好をし、半分は『喜』もう半分は『哀』の表情をした仮面を付けた男が陰からヌッと出てくる。
「ハヤテさん、行きなさい。ここは私と龍双ちゃんで殺るわ」
「恩にきる」
ハヤテは武器を一旦消し、走る。
「おや、行かせると?」
「あら、邪魔はしないでちょうだい」
ズドォンと、地面を割る太刀。それを見たメフィストはニイッと笑った。ように感じた。
「おお、なんと逞しいことか。実に好ましい。後で死体を頂くとしましょう」
「貴方に穢される体は持ち合わせていないの。諦めて」
「あの、俺いる?」
「龍双ちゃんは今の状況を後方に伝えて、戻ってきて」
「りょ」
「ふ、貴方は私のモノだ。必ず、頂く」
「無理よ。私、強いし、それに、騎士様もいるから」
***
「やっぱ、流れてくるよね」
「文句言わないの。行くよ、春華。エリーちゃんも頑張ってるんだから」
「ういっす」
「貴方が、サラ・ヴァイスハートね」
突然名を呼ばれたサラは困惑する。『楽』の表情をした仮面を付けた細身の女がそこにいた。
「貴方は誰?なんで私の名前を?」
「レヴィアルターよ。貴方の名前は暗黒神様から聞いたわ。暗黒神様直々に貴方を殺せと言われたわ」
「簡単に死ぬつもりはないし、1人で戦うなんて愚行はしない」
「加勢する。力になれるかは知らないけど」
「援護する」
「ええ、いいわよ。来なさい」
***
刃の交錯は激しさを増す。もう一般の目には見えないほど早い斬撃。《弧月》と《白夜烏》を駆使し、猛威を振るうが簡単に捌き切られる。
「うーん、もっと怒りむき出しかと思ったけど、冷静だな」
「まあね…」
「俺がエリーを1回殺したのにね」
「やっぱ死ね」
そう吐き捨て、思い切り振り下ろす。
「ぐぅっ…今のはビビった〜」
ゼクトが余裕を見せる中、僕は焦っていた。全く、攻撃が通らない、と。いや、通っていない訳ではない。決定打が打てていない。何かないか。流れを変える一打。
「そろそろ、本気で行くぞ?刀夜。《ハデス》解放!」
「ッ…!」
それだ。神装印の【解放】だ。けど。できるのか?今の僕に。
「行くぜ!」
「ッ!?クッソッ!」
もう、段違いに早いし、攻撃が重い。
「水蓮寺流神威・風牙戦翔‼︎」
「甘いんだよっ!【黒き血潮の冷酷なる死】」
「【死の宣告】!!!」
僕の高速魔法剣術はするりと回避され、黒い一閃が僕の腹を抉ぐる。
「がぁっ!ぐっ…クソが」
なおも余裕を見せるゼクト。全く、イライラしてくる。
…落ち着けよ。僕には、待ってくれている人がいるだろうが。こんな僕を好きでいてくれている人がいるだろうが。
帰らなきゃいけない。そのためには、ゼクトを殺さなせればいけないんだ。
死ねない。絶対に。
僕は、防御を捨てた。
***
「かはっ…げほっ」
「お、お姉ちゃん!」
「ふ、弱い。弱過ぎる。こんな雑魚を押し付けよって、メフィストのやつ。さっさと…ッ!」
そこで、赤き流星が如くアモディオスに向かって斬りかかる。
「よお、俺の仲間が世話になったな。お礼に殺してやる」
「ふ、貴様は強そうだ。良かろう。貴様から殺そう」
大剣交わる毎に轟音が響き渡る。
「うざってぇ。《アレス》解放!」
「ふ、ならば。《アモン》解放」
「【燃えろ。赤き軍神の槍刃】」
「【燃えなさい。焔の魔神の剣撃】
「【崩城炎乱舞】!」
「【シアン・ポーネ】」
大爆発。負けたのは、《水》の槍で心臓を貫かれたアモディオスだ。
「テメーの敗因は1対1だと思っていたことだ」
ハヤテは消え行くアモディオスに向けて親指を下に向けた。
***
「ふふふ、ふははははははははははははははっ!」
狂い、狂い、狂って狂う。そして、狂うほど美しく、強く。
「これはこれは、狂ってもなおこの美しさ、逞しさとは。やはり欲しいですね」
ここまで互角。お互い譲らぬ剣戟。だが、目に見えて押されだした。八雲が。
狂えば狂うほど美しく、強くなるが、精度が落ちる。
「がぁ……ぁ……」
首を掴まれ、地面に叩きつけられる。
「捕まえた。さていただくとしよう」
「い…わなかった、かしら…?《騎士様》がいるって…」
その瞬間、一閃。その一閃は、光より速い。最速の一撃。メフィストの首を正確に切り裂いた。
「…八雲ちゃんがいなくなったら計画台無しだぞ?」
「けほっ、ごめんなさい。《騎士様》?」
「ねえそれやめね?普通に恥ずいんだわ」
困り顔をする龍双を見て、八雲は軽快に笑った。
***
サラの砲撃も、斬撃も、エリーの狙撃も、春華の斬撃も、掠りもしない。
「どうなってるの?」
「ふふっ、楽しいわね。私の思い通りに踊ってくれるなんて」
「…エリーちゃん、春華、下がって」
「…サラ?」
勝てるとしたら、これしかないと思う。
「【監視者権限発動】」
「【自動追尾】」
制限時間は5分。その間に決める。
加速魔法陣を組み駆け、一閃。しかし予想通り、避けられた。が。
「がっ…なんで…」
体が勝手にその一閃を当てる。【自動追尾】は体の意に反して敵を勝手に追尾する状態になる魔法。体への負担が大きいため、5分なのだ。だがしかし、浅い。もっと、もっと深くを抉らなきゃいけない。
「【監視者権限発動】」
「【偽超加速魔法陣】
高速追尾攻撃が殺到する。レヴィアルターの体を少しづつ蝕む。
私は、私はトー君の帰りを待たなきゃいけない。この世で最も愛している人の帰りを。
だから!私はーー
「絶対に、勝ってやる!」
光を集める。あと、15秒。
「【監視者権限発動】!」
「【偽超加速魔法陣】!」
接近。そして詠唱する。
「【光に焼かれ消えなさい】」
「【光炎柱閃】!!!」
【自動追尾】がレヴィアルターを捉え、焼き消した。その瞬間、【監視者権限】が終了し、全身が麻痺する。そんな中、思い馳せる。
待ってるからね、トー君。
***
「《月読命》解放」
その瞬間、魔力が溢れ出る感覚に襲われ、吐き気がした。
「行くぞ。もう、迷ったりはしない」
駆ける。段違いの速さに驚きながらも2刀の刀を振るう。
攻めて攻めて攻め抜く。それしかないのだ。
「ああああああぁぁああ!」
「くっ…いいじゃねえか!刀夜!」
お互いの体から鮮血が散る。お互いの武器は欠け、半ば切れ味をなくしている。
「…次で、決めてやる…!」
「いいぜ…俺もそろそろ面倒くせえ」
「水蓮寺流神威…」
「【汝、我に万物に死をもたらす力を】」
さあ、最後の、一閃。
「昇華!《燕殺し》!!」
「【死を宣告せし天使の鎌】!」
交わったその刹那。お互いの鮮血が地面に花を咲かせる。だが、胴体を切断した僕の勝ちだ。
「ゼクト…僕は何者なんだ」
「……………ふ、ふはははははははははっがほっげぁっ、おま、えは……《神》だ………」
「…っ…痛え。つーか撤回無しかよ」
僕は消えていった親友に悪態をついて、帰路を辿る。
意識が朦朧とする中、歩く。ただひたすらに、彼女の元へ。
「ヴェアアアア!」
「…鬱陶しいんだよ」
僕はボロボロの《白夜烏》を地面に刺し、足で更に深くを差し込む。
「死ね。【白夜は時に黒く染まる】、【死告槍山】」
魔物を1匹も残さず刺し殺す。
「はぁ、はぁ、くっそ、無理、だ…な…」
僕は、意識を保つことができなかった。
***
「…んぁ……?」
「トー君、おはよ」
「………あ、ああ。えっと、おはよ。終わったの、か?」
「うん」
あ、今気づいた。膝枕されてる。
「帰ってきてくれて、ありがとうね」
「迎えにきてもらっちゃったけどね…ただいま」
「うん、お帰り…本当に…よかっ……」
そこまで言って、泣き出してしまった。僕は体を無理矢理起こし、抱きしめる。
「待っててくれて、ありがとう。…愛して る」
それからキスとも言えないほど唇を軽く触れさせた。
あとはエピローグで第1編完結となります!
次編の題はエピローグの後書きにて公表いたします!これからも頑張りますよー!




