第14章 War Ready Start
前回の投稿から結構経ってしまいました。すいません!m(_ _)m
では、第14章スタート。
『皆さん!いよいよこの日がやって参りました!ウォーゲーム!実況はこの私!超絶可愛いアイドル!リンちゃんがするよっ!』
うおおおおおおっ!と会場の一部客席から雄叫びが聞こえる。ファンなんだろうな。
『そしてそして!解説になんと超有名人!水蓮寺誠さんが来てくれましたっ!』
「ぶふぉっ!」
吹いた。
「今水蓮寺って」
「はぁ、そうだよ。あれが僕の父さん。義理のだけど」
てか、こういうの来る人だっけ?父さんって。断固拒否のイメージがあるんだけどな。ごっつい顔してるし。
「1度お話ししたいな」
「ウォーゲーム終わったらでいいですか…」
「うん、いいよ」
ホッとする。なんか知らないけど今は合わないでおこうと思った。鼻の下伸ばしていらっしゃるし。
恐らく、リンちゃんとやらのファンかな?
『さてさて、では!ウォーゲーム第26回第1回戦1試合!《爆撃魔》北上美沙、《爆雷魔》大井原育実、《眠影射》相模まい、《死影砲》相模あやVS、《突進車》バーリグリア・セリアリス、《騎乗兵》リグ・オートマス、《騎竜兵》飯田湊人、《重装騎兵》吉田集です!水蓮寺さん、この勝負どうなると思いますか?』
『ふむ、この勝負若干北上選手のチームが有利に思えるな』
『そうなんですか?なぜです?』
『北上選手のチームは機動力、火力が劣るものの、範囲が広く、遠距離だ。近づかれる前にある程度の殲滅が可能。先ほど機動力、火力が劣っていると言ったが平均的に見ると高い。バーリグリア選手のチームは逃げられない工夫をする必要があるが、かなり難しいものとなるため、北上選手のチームの方が有利と考えた』
『なるほど!ではバーリグリア選手のチームがどの様に工夫し、北上選手のチームがそれをどの様に回避するのか、もしくは真っ向から挑むのか、それらに注目して行きましょう!では、選手入場!』
客席全体から歓声が上がる。すごい熱気だ。
『両チームいい表情ですね!では皆さんご一緒に』
『War Ready ……』
このタイミングで全員一斉に神装印を使用する。
「行くよみんな!《シヴァ》!」
「了解です!お姉様!《カーリー》!」
「兄さん眠い。けど頑張る。《ヒュプノス》」
「うん、頑張って…《タナトス》」
「行くぞみんな!《アレキサンダー》!」
「おうよ!任せなっ!《ペスセウス》」
「失敗はしないよ。《ワイバーン》召喚」
「…《パラディン》」
『……Start!!!』
その合図と共に、召喚型神装印、《ワイバーン》に乗った飯田湊人が上空へと飛んだ。
召喚型神装印とは、普通の神装印の様に、自分が〈神装〉を纏うのでは無く、言わば〈使い魔〉の様な存在である。召喚型神装印のほとんどが有名な竜などの人外である。まあ、神も人外だが、それは無視して欲しい。
「やれ、《ワイバーン》!【リメインフレイムブレス】!」
無詠唱魔法だ。魔法陣も要らず、詠唱も要らない。魔法名を言うだけで発動可能な魔法だ。《ワイバーン》は火の玉を数十個フィールドに満遍なく落とし、7割ほど火で埋め尽くされた。
「なるほど。これは北上さんのチームまずいかもね」
「え?でも所詮火だよ?」
サラからすごいことをさらっと言われた気がする。サラだけに。
「火の耐性があればそう言ってられる。でも火の耐性が無いとすると、行動範囲がフィールド全体の約3割。対してバーリグリア先輩のチームは火に強い地竜、地上の影響を受けない飛竜、多少の火なら入ることが可能な馬に乗ってる。10割とは言えないけど、9割くらいは行動範囲がある。それを利用して、追い込む気なんだろうね」
バーリグリア先輩の狙い通りだろうか、北上さんたちは慌てている。
「兄さん…」
「あやちんはよ!」
「分かってます!あとあやちんはやめて下さい!【死よ、我が持つ万物の死よ。汝、我の命に従い、死をもたらさんこと】!」
「【デス・エルクリアル】」
範囲指定消滅魔法。指定するのは範囲ではなく消滅対象で、火を指定したため、範囲内の火少し残らず消えた。しかも範囲が広く、3割ほどが消えた。
「ちょっとあやちんこんだけの範囲で戦えって言うの!?」
「常に使いますから!あと消せるの僕だけなんですからね!てかあやちんはやめて下さいって!」
「はいはい、そんじゃ育実来なさい!」
「はい!お姉様♡」
「ちょっと2人とも!」
「兄さん頑張って」
「ちょっ、えぇ!?ちょ、まい!あぁ、もう!」
「ちっ…すまねぇアリス!」
「大丈夫だ!正面からは俺が行く!リグと集はサイドから!湊人は消されきる前に埋め尽くせ!」
「「「了解!!」」」
戦闘はどんどん激化する。フィールドは火で包まれ、爆発音が絶え間なく響き、地竜や飛竜の咆哮が轟く。
「ッ….!育実!もう一発行くよっ!【爆ぜろ】!」
「ちゃんと詠唱して下さいお姉様!【爆ぜろ。消えろ。我の前に立つのならば塵となれ!】
ドォンドォンと、爆発音が連続で響いた。ものすごい音だ。
「リグ、集!大丈夫かっ!」
「問題ない。だが…」
『おっとぉ!試合開始から10分!オートマス選手脱落!爆発をもろに受けたようです!』
「もう火ばら撒いてる場合じゃねえな」
「ああ頼む」
「やっと倒したよっ!4対3ですね、先輩」
「ッ…湊人、集。やるぞ」
「「了解!」」
『突進だ!バーリグリア選手を前に吉田選手は後ろ、飯田選手は空高く!』
「上は一旦無視!太陽が目に入るよ!タイミング見て横に飛んで!」
「あ、兄さん!」
「え?」
ズドンと、隕石でも落ちたかのような音が響く。飯田先輩が、相模兄に向かって急降下したのだ。
『これはっ!相模あや選手、脱落だあ!飯田選手が打ち取った!って、あれ?飯田選手、様子が…ってああ!倒れた!どうなってるんだ!?』
『自爆魔法だ。相模あや選手の自爆魔法は少し特殊だな。自爆は本来文字にある通り、爆発するのが多いが、彼は周囲の魔力濃度を極限まで濃くするタイプ。我々人間は周囲の魔力濃度が濃いと、体の自由が効かなくなり、気絶する。そしてそれを防ぐことは出来ない。爆発なら防壁を貼ればいいがな』
『な、なるほど!しっかし、情報に無いとすると、これが初お披露目ですか。それはさておき2対3と以前バーリグリア選手のチームの不利が続きます!どう、逆転するのでしょうか!』
「集、力押しで行くぞ」
「ふん、それしかなさそうだな」
『おっと!これは完全に力で押す気だ!スピードを上げて、突っ込んで行く!』
「ッ…!育実!決めるよっ!」
「りょ、了解です!」
「【破滅へと導く爆轟の火炎よ】」
「【無へと誘う爆剛の業火よ】」
「【今、罰すべき悪を】」
「【今、処すべき敵等を】」
「「【焼き殺せ】!」」
「【破滅神轟火烈千】!!」
「【破壊神剛火烈焼】!!」
『こっ、これは!極大魔法の同時使用だ!』
「【退け、此処は我行く道だ】」
「【退がれ、其処は我治める地だ】」
「【退かぬなら、其の地を制覇するのみ】!」
「【突牙羅将業嵐】!!」
爆風が吹き荒れる。張られていた防壁魔法が壊れ、客席に亀裂が走る。
『すごい風、です!どちらが、勝ったのでしょう…』
「はぁ、はぁ、どうだ?」
「…ッ!お姉様!」
『おっとぉ!まだ倒れていない!バーリグリア選手、まだ倒れていません!』
「うおおぉぉおぉぉおおおぉぉぉおぉおおぉぉぉおおおぉ!!!」
その叫びから数秒も経たずに壁に激突。もう客席が崩れた。
『どうなった!?この勝負は…』
壁に激突したバーリグリア先輩は〈神装〉が解除されていた。そして、ピクリとも動かない。
「私たちのっ…勝ちー!」
「危ないです。美沙さん、育実さん」
「ありがとうね、まい。反動で動けなかった…」
『しょっ、勝者は!北上美沙選手のチームです!ギリギリで相模まい選手が2人を救出した様です!素晴らしい試合でした!』
「…さあ、次は僕たちだよ」
「ああー、やっとかぁ」
「よし!みんな頑張ろっ!」
「「「おおー!」」」
***
『さてさてさてさて!会場の修理もなんと魔法でちょちょいですね!では!第1回戦2試合目と行きましょう!《月夜演舞》水蓮寺刀夜、《斬砲戦姫》サラ・ヴァイスハート、《蓬莱絶鬼》エリーシャルロット・アークフェルト、《流星剣舞》星ノ宮春華VS《高速剣》レバン・フィーレ、《支配王》石崎悠人、《守護神》雪原颯太、《大気変動》ユー・ロンラサーです!水蓮寺さん、どうなると思いますか?お子さんがいらっしゃる様ですが』
『刀夜か。ふん、《月夜演舞》など、まだ早い。ただちょっと刀の扱いが上手いだけのやつだ』
『はあ、そうですか』
はぁ、そうですか。ってかそれ今言うか?客席に何人いると思ってんだか。
『ま、まあ、行きましょうか!選手入場!』
見所省いた。まあいいんですがね。
「じゃあ初動は言った通りに。あとは臨機応変に」
『War Ready ……』
「《月読命》」
「《メタトロン》」
「《アルテミス》」
「《フレイ》」
「《韋駄天》」
「《クトゥルフ》」
「《ヘイムダル》」
「《シュー》」
『……Start!!!』
「先手必勝だ!」
『なんと!フィーレ選手がアークフェルト選手に迫る!』
かかった。エリーがフィーレさんたちの前で短剣を使ったことはない。だから敵は純粋な弓兵と思うと思った。ウォーゲームにおいて、弓などの遠距離型神装印の弱点は戦闘開始直後。弓を顕現させる前に間合いに入られたら終わり。向こうはそれを理解しているはず。だからあえて、レバンとエリーの直線上に僕たちは立たないようにして、少しばかり誘導した。
キィン!と金属が交わる音が合図。
「水蓮寺流羅刹・雷光桜!」
『おっと!これは予想外!アークフェルト選手の手に握られているのは短剣!弓ではありません!水蓮寺さん、これは…』
『《アルテミス》の武器は弓と短剣。同時顕現は出来ないが両方使える、神装印だ』
『なるほど、これはフィーレ選手、ハメられましたね』
「ッ…クッソ!」
「逃すか!」
僕はフィーレさんが進む方向を予測し斬りかかる。目的は足止め。
「ぐぅ…やられたぜ」
「来ると思ってましたからね。利用させて貰いましたよ。足止めに」
これで背後は壁、前には僕。逃げ道は真横のみとなった。完全に止める必要はない。最終的に全体の体勢を崩せればいい。
「…ッ!退け!」
「はい分かりましたって言うとでも?」
「だよな、じゃあ!」
そう言ってフィーレさんは真横に走った。いくら速かろうと、小回りが効かない。狙っている場所に直線で行けば間に合うんだよ!
狙いは、たった今相手の攻撃を弾いて体勢を崩しているサラだ。
僕はサラに迫る剣を弾き、胸ぐらを掴んで投げた。投げるタイミングを失敗し、左肩を少し痛めたが、問題無いだろう。
「ありがと、トー君!」
「どういたしまして」
「ちっ!みんな一旦退いて…」
「エリー!竜巻を!」
「ん、了解」
逃さない。もう、決める。
「【狩猟神風楼】!」
エリーが無詠唱魔法を上空に放つ。すると空に巨大な魔法陣が浮かび、5本の矢が落下して来る。
「サラ、春華、今から砂埃を巻き上げるから、砂が落ちきる前に2人を仕留めてくれ」
「「了解」」
着弾した。着弾点で竜巻が発生し、砂を巻き上げる。
「今だ!」
僕は一気にスピードを、突っ込む。どこにいるかなんて、気配で分かる。僕は、フィーレさんの後ろにいるロンラサーさんに向かって掌底を叩き込む。
『な、なんと!竜巻が発生して砂が舞い上がっている間に3人ダウン!これは万事休すか!?』
「まだだ!まだ終わってねぇ!【我に潜む瞬足の化身よ、足りぬぞ】」
「【寄越せ、汝の神速たる速さを】!」
「【疾風翔】!」
遅い。詠唱速度が遅い。それじゃあ捕まえるの簡単だよ。
「【夜邪鎖】」
「!?」
『これは!拘束魔法!これでは自慢のスピードも役に立たない!』
僕は一息つき、切っ先を向ける。
「さて、終わりかな」
「………そうだな。…はあ、負けだ負けだ!」
『勝負あり!勝者は、水蓮寺刀夜選手のチームです!試合時間たったの5分です!』
「勝てたねー」
「うん。お疲れ様、サラ、エリー、春華」
「お疲れ。どうする?試合、見てく?」
「いいや、休みながら次に向けて少しだけ話そっか?」
「うん、そうだね」
無事に勝った。あと3勝だ!
***
「◻︎◻︎様!◻︎◻︎様!」
「んぁ…どーした?」
「準備が整ったと、ゼクト様が」
「そうか。まだいいと伝えろ。俺のやる気が無い」
「はあ、そう伝えておきます。失礼しました、◻︎◻︎様」
「ん、よろしく。あとさ、◻︎◻︎はダメって言ったよな」
「しっ、失礼しました!暗黒神様」
「よろしい、行け」
はあ、ゼクトの野郎、早過ぎだろ。出来る部下も厄介ということかね。
さて、やる気が出たら見るだけ見るか。刀夜の姿を、ね。
読んでくださりありがとうございます!
次は一回戦第3〜8戦を飛ばして二回戦第1試合です。
バトル系王道の道を真っ直ぐ進んじゃってますね(笑)
お楽しみに!




