第13章 開会式があったんだった。
訓練場に金属の交わる音が響く。
「やあああああ!」
「ッ…やば」
僕はいつも以上にやる気になっているサラに苦戦中だ。めちゃくちゃ押されてる。
僕がどれだけ距離を置いもすぐさま詰めて来る。勝てる気しない。
「どーしたの?トー君。動き悪いよ?」
「いつも通りのはずなんだけどなっ!」
にしてもなぜだろうか。全く攻め込めない。防戦一方である。僕はなんとか一撃を弾き後ろに飛んだ。その瞬間ーー
ーードクンーー
突然心臓が跳ね、締め付けられる。しかし、それは本当に一瞬で、直ぐになんともなくなった。その安心も束の間。今はサラと模擬戦中ということを忘れていた。
「ッ…!」
サラの攻撃が僕に迫る。僕は体を捻り、横に飛んだ。すると体が軽かった。
これならーー
「はいそこまでー」
僕が駆け出そうとした瞬間に春華が試合を終わらせた。
「熱くなり過ぎな、お2人さん」
「す、すまん」
「刀夜、ちょっといい?」
「ん?いい、けど」
僕は招かれるがままに春華についていく。辿り着いた先は自動販売機だった。
「どうしたの?一瞬、何かあったでしょ」
やっぱりバレていた。
「ああ、ちょっと、心臓が締め付けられる感覚があってね。でも、本当に一瞬だったよ」
「ふぅん、まあそういうことで」
「どうもこうもその通りなんだが…」
僕は春華から人数分の飲み物を受け取り訓練場に戻る。
「おかえりー」
「ただいまー!飲み物私の奢りだよー」
「おおーありがとー」
僕はひとりひとりに飲み物を渡していく。みんな一口二口飲んだところで僕はタブレットを開く。
「ん?もうそんな時間?」
「うん。もうすぐ公開されるよ」
「どうなるかねー、対戦カード」
「さあ………ん、来た」
ーー対戦カードーー
・第1回戦
《爆撃魔》北上美沙のチーム
《突進車》バーリグリア・セリアリスのチーム
・第2回戦
《高速剣》レバン・フィーレのチーム
《月夜演舞》水連寺刀夜のチーム
・第3回戦
《巨人狩》ゴズイ・デュマのチーム
《獅子王》ラキエナ・レオグニダスのチーム
・第4回戦
《戦乙女》リズリア・スィウベンのチーム
《壊滅竜》ソレイラ・ソメルラのチーム
・第5回戦
《機械熊》貝塚吉永のチーム
《新世界》アイナ・フェリアストのチーム
・第6回戦
《盾錬成》ヴェラ・ソールサのチーム
《邪眼》大野敬人のチーム
・第7回戦
《闘神演舞》ハヤテ・ベルゴールのチーム
《拡散砲》ニヒト・フェイレンのチーム
・第8回戦
《死霊者》氷室庄二のチーム
《幻槍》桐生咲耶のチーム
ーーーーーーーーー
「初戦は《高速剣》か」
「しかもハヤテとは当たるなら決勝」
「楽な試合はなさそうかな?」
「いいや、はっきり言って《高速剣》は強敵じゃない。少しでも陣形崩したら勝ちだ」
僕ははっきりそう言う。油断しているわけではない。スピードだけのやつに負ける方がおかしいだけ。
「《高速剣》と他3人を切り離せばいい。他3人は《高速剣》に頼り気味だから、苦戦はないと思う」
側から見ればただ油断しているだけ。ダメと言われるだろうな。
「確かに、苦戦はしないよ」
と、春華が言った。サラはダメと言おうとしてたのだろうか分からないが心配そうな顔をしている。
それを見た春華は言葉を続ける。
「だってさ、これまで作戦とかあんまし考えずだったじゃん?それでいてなんだかんだで合ってたじゃん?それに立てない方が臨機応変に対応できるし」
「そうだけど…」
サラはそこで途切れ、考えて考えて考えて考えて…
「わ、分かったよぉ〜」
降参したかのようにそう言った。
「ごめんね、サラ」
「いいよもう。…ふんっ!」
「ちょ、サラ?」
「ふんっ!」
やべぇ、完璧怒ってる。どうしよう。
僕は、強行作を思いつき、サラの耳元で囁く。
「今夜、2人きりになりたいな」
その後のサラは訓練に身が入っていなかった。
そして、夜となった。僕はサラの元に行こうとしたところでコンコンッと、ノックの音が響く。ドアを開けるとサラが立っていた。
「待っててって言ったはずなんだけどな」
「ごめん…でも、あんなこと…い、言われたし…」
顔が真っ赤だ。すごくかわいい。
「じゃあ上がって」
「…うん」
僕はリビングに向かう。チラッとサラを見ると寝室を見ていた。そして僕の視線に気づいてまた顔が赤くなる。
「なっ…コホン、なんであんなこと言ったの?」
声裏返ったな。ほんとかわいい。
「サラと一緒にいたい。独り占めしてたい。ただそれだけ」
「………そ、そう…な、なんかトー君今日積極的だね。あっ、べっ、別に嫌とかじゃないよっ?ただちょっと嬉し…ってちがっ…くわないけど、その…」
「分かった、分かったから落ち着いて?ね?」
「うん」
と言ってサラはちょっとシュンとしてしまった。その姿が堪らなく可愛かった。
気づけばそっと抱きしめていた。
「…トー君?」
「ごめん、なんか抱きしめたくなって」
「…そ、そっか」
その数秒後、サラも僕の背中に手を回す。
…僕は何をしているんだ。無計画にもほどがある。どうしようか。そればかり考えているとサラが口を開いた。
「トー君、今日さ、トー君の部屋に泊まっていい?許可は沙貴音さんに貰ってるから」
「じゃあ、いいよ。着替えは?」
「無い。トー君の貸して」
ちょっと驚いたが為にサラから離れてしまった。
「僕の服着るの?」
「ダメ?」
「いや、ダメではないよ」
「じゃあ、先に入って、くるね。服、用意、お願い」
「う、うん」
下着は?そう思いながら僕は紐でウエスト調整できるズボンと、でっかい星がプリントされた服を出し、その上にタオルを置いて洗濯機の上に置いた。
それからというもの、サラは全く構ってくれない。最初こそ積極的にいけたものの、こうなるとどんどん勢いはなくなっていってしまった。
「…そろそろ、寝よっか。一緒に寝る?」
「寝る」
僕は立ち上がり、寝室に向かった。サラはベッドの奥に自分から行き、直ぐに寝る体勢に入った。
「ねえ、トー君、手、繋ぎたい」
「うん。分かった」
「おやすみ。大好きだよ」
そう言われた。サラを見ると、既に寝てしまっていた。
「僕も、大好きだよ」
僕は寝たふりをしていることを祈って、そう言った。
翌朝。今回もサラを起こすのに苦戦している。起こそうとしたら蹴りが飛んでくるとか聞いてない。普通に頭に食らった。脱ぎ癖も相変わらずで下は下着だけだし。
…よし、やっちゃいますか。めっちゃくちゃ怖いけど。
僕はサラにキスをしてみた。ビンタあたりが来ると思っていたがサラは普通に目を覚ました。そして状況を理解したサラはーー
「ズゴッ‼︎」
僕を殴った。
***
「ばーか」
「ごめんっ!ほんとに!」
「あーほ」
当たり前のことだが、サラは今不機嫌だ。どうしよう。
「トー君なんで普通に起こしてくれないのー?」
「だって、蹴りが飛んできたし」
「え、嘘?大丈夫だった?」
「頭吹っ飛ぶかと思った」
「…じゃあ、おあいこなのか」
「何回かあるの?蹴ったこと」
「…5回?」
多いな。誰だろ、蹴られたの。大変だったろうな。
「とにかく、本当にごめん」
「もういいよ、嫌では、ないし」
「…そっか」
サラが少し照れ臭そうにするので僕も、少し照れ臭かった。
「ん、じゃあ荷物取ってくる」
「ん、了解」
女子寮着くや否やすぐにサラは中に入って行ってしまった。僕は1人、みんなを待つ。
数分後、3人揃って出てきた。
「よし、行こうか」
僕たちは訓練場へと向かう。試合は午後からなのでね。
「みんな。今日、頑張ろうな」
「どったのー?昨日はイケるとか言ってたくせにー」
「そ、そうだけど、ね?」
「はいはいわかったから。もちろん手は抜かない」
「ありがとう、サラ、春華」
いよいよ、始まる。ウォーゲーム本戦が。_勝てるはずだ。僕たちなら。
僕たちは午前、軽く運動し、少しだけ昼ご飯を食べた。
そして、いよいよ、本せ………………………忘れてた。開会式の存在を。
教育委員会だの何だののありがたいと思われる言葉をただ聞く。
さて、やっと本戦だ!
伸ばしてしまいすいません!実際、ガチで開会式忘れてました(笑)次!次から本当に本戦に入ります!




