内乱ーー閑話
「…これから戦闘が開始するので、ここで大人しくしておいていただけますかね?」
「いや、構わない。同行しよう。」
こっちが構うんだ!面倒だから拘束してしまうか?
「拘束して軟禁してもいいんですよ?」
「…貴殿は今夜…父を殺すつもりであろう?どの様な手管で王族を殺すのか間近で見届けねばならない。」
この少女はどこまで見ているのか…頭はいいと思っていたが、なんの情報も与えていないのに、気づくものか?
「ブルーム殿下が亡くなるかは分かりかねます…戦争ですから亡くなるかもしれませんが…。」
「隠さなくとも分かるよ。王族も貴族も多すぎるから、今回の戦争で、三大王家の一つを潰し、一つを公爵家へ降下させ…王家を一つに絞り権力を集中させることで国家を安定させるつもりなのだろう?」
こいつは危険だ。状況だけでこちらの動きを読んだのか?
「王家の扱いを決定されるのは陛下であり私ではありませんので答えようがありません。」
「白々しいな。そうなっては困るから殺すのだろう。後腐れないようにね。」
「なるほど面白い発想ですね。それなら、ブルーム殿下を殺すつもりの僕の元へ来たのは何故ですか?殺されるかもしれないのに。」
「いや、俺の役目はもう決めてあるのだろう?王族を皆殺しにして潰すのは外聞も悪いし、力の弱い伯爵家あたりに降嫁させて無力化するか、出家させて修道女にでもするつもりかな?」
外聞もあるが、シルビアにお願いされたのが大きいな。それにしても、一人称が俺とはね…姿から想像してはいたが…。
「ハハハ…そこまでいくと妄想も大したものですね。ただ、すぐ戦闘が始まりますので、殿下をお帰しすることが出来なくなりました。」
ここで途中から準備していた魔術を展開する。拘束して自由を奪うものだ。下手に動かれて死なれたら困る絶対に動けないように神々の拘束を使う。
「ぐっ…なるほど拘束魔法か…神々の拘束とは…初めて見たよ。」
「殿下には戦闘が終わるまで、ここで大人しくしていただきます。」
そう言って部屋を去ろうとすると…
「待て…俺をこのままおいて行ったら大変なことになるぞ。」
「大変なこと?僕が王族を意図的に殺したと吹聴するということですか?まぁ、それくらいならなんの問題もありません。確かめようがありませんからね。」
意図して邪悪な笑みを浮かべてやる。愉快ではないが、その程度なら問題ない。
「くっ…このまま置いて行ったら、シルビア姉様に…貴殿に犯されたと言うぞ!拘束されて、それはもう酷いことをされたとな!」
……何言ってんだコイツ。
「…それに効果があると?」
「…貴殿は前科があるらしいな?少なくとも疑いの種をばら撒くことになるぞ?俺の身体はシルビア姉様ともミリィティア殿とも違うタイプだからね。むしろ、二人に比べて俺の方が扇情的だとすら思う。」
いくらなんでも…いや、流石に信じないとは思うが、疑われる…疑われないとも言い切れない。それに、最近ようやく戻ってきたミリィの機嫌を損ねる可能性がある。
急に不安になってきた…連れて行くだけなら問題ないのでは?僕は探知魔法と通信魔法で指示を出すだけで実行する訳ではない。何かするなら拘束してしまえばいい。
それで帰ってからの憂いが少なくなるなら、その方がいい…うん、そうしよう。
あと…念のため女性の随行を一人つけよう。疑われないために…一応ね、一応。




