内戦③
進軍して2日後に、はじめて戦闘らしい戦闘が起きそうになる。索敵魔法により、5千程度の兵が古都ヴェルランに駐留していることが分かったのだ。
「一応、包囲して降伏勧告を出そう。ダメなら1時間後にグリフォン隊による攻撃を開始する。」
途中で捕虜になった南部貴族を伝令に出す。どうやらこちらの装備を見て舐めているらしい。一時間経っても帰ってこないため、攻撃を開始する。
グリフォンの持った火のついた油壺が、重要な拠点に次々と落ちていく。あちらも遠距離魔法を使って攻撃してくるが、こちらの防御魔法で無効化している。
防御魔法を展開されたが、僕が干渉して無効化する。無防備な物資や重要施設を焼かれ戦意損失したところで、城門を一つ落とし、再度の降伏勧告…今度はすぐに降伏の意思を示し、武装解除に応じた。
指揮官を拘束し、捕虜の扱いをどうするか悩んでいると…援軍として我が義父ハイラント公ザルフが到着した。古都の占領と捕虜を押し付け…進軍を急ぐことにする。
「初めての攻城戦だから多少は苦戦すると思ったんだが…全く心配なかった。わざわざ来たのに、占領と捕虜か…あまり楽しい仕事ではないね。」
「申し訳ない…義父上…先を急がねばなりませんので…」
「分かっているよ。まぁ、こういった仕事の方が荒事よりは慣れている…後方の憂いは任せて…存分に活躍したまえ。」
「感謝します。」
「とはいえ、こちらの諜報は自由に動き放題なのに…向こうの諜報は…情報の収集に苦労しているだろうな。」
南部貴族の諜報については、すでにその過半を無力化しており、残った諜報についても戦闘の状況や進軍位置は把握出来ないように調整している。
こちらに都合のいい情報だけ選択的に流したり、見せたりしている。
そして、その日の夜にはヴェルセン領都ノアの北西50kmに
野営することになった。到着と同時に、エトグリークに乗り、数匹のグリフォンと共に偵察を実施する。
これにより、領都ノアの北部城壁が他に比べて脆弱であることと、物資の集積地などの重要拠点を確認した。
翌日は夕方頃から進軍して領都から北西20kmの位置に布陣し、グリフォン隊による攻撃を開始する。最初の一回は無防備な状況で奇襲に成功し、敵の物資倉庫や重要施設…馬車などを焼き払った。
さすがに敵本陣とヴェルセン本邸は防御魔法で阻まれたが、その後、朝まで計4回の空撃を実施した。
そして、明朝と同時に進軍を開始…小休憩を挟み正午に領都ノアの北門に到着した。到着と同時に降伏勧告の使者を送るが、即座に拒否される。
「空から攻撃するしか能のない!卑怯な北部の山猿どものあの貧相な装備を見ろ!あれでは、攻城戦など不可能だ…山猿共に…目にものを見せてやれ!」
指揮官だろうか?城壁の上でデカイ声で喚いてる。聞こえるように言っているのか?まぁ、どうでもいいが…
それと同時に放たれる魔法攻撃と弓矢を防御しながら準備を進める。
その30分後…開発していた魔術と火薬併用の大砲20門を設置…準備が整い次第…砲撃を開始した。
魔力により強化された砲身内で限界まで圧縮された爆圧は一定方向に炸裂し、凄まじい威力を発揮する。城壁に当たれば、城壁を貫き…城壁を越えて都市内に入れば、いくつもの建物を瓦礫に変えた。
防御魔法すらも貫き、城門に当たれば一撃で吹き飛ばした。人間など直撃すれば跡形もない…掠りでもすれば肉片に変わる。当たっていなくても、そんな状況を見れば戦意を喪失するだろう。
日が傾く頃には、領都ノアの北城壁は完全に崩壊し、北門の守備に当たっていた5千は瓦解、過半の兵を失って敗走していった。
進軍して掃討戦を実施後に必要な範囲を占領する。ほとんど抵抗を受けずに占領は完了した。
わずか半日の戦闘で、南部最大の城塞都市であるヴェルセン領都ノアの城壁が破られ、市街の一部が占領されたのだ。南部貴族にとってこれほどの衝撃はないだろう。
夜間、占領した市街の中で一番大きな建物を接収して、その執務室で今後のことを考えていた。王族や公爵はともかく…下級貴族連中が降伏を持ちかけてきてもおかしくない。そう考えていると
「ラース将軍…ヴェルセン家の方が閣下に面会を求めておいでですが…。」
「会おう…通してくれ。」
「失礼する。」
通された人物を見て、目を見開く…これは思い切ったことをしたものだ。そこにいたのは、メルーボ ヴェルセンの一人娘…マーチ ヴェルセンが使者を伴って立っていた。




