ラースの憂鬱な日々⑤
転移魔法でリットラントに着く…早速、セロアがいるであろうミーア族居住地域に向かう。そこには、王都凱旋前はなかったミーア族の集落が作られていた。簡易な作りながら、なかなかのモノだろう。
セロアはゼロフィス達とミーア族のやり取りを円滑にする役を担っており、なかなかに忙しい様子だった。
ただ、僕を見つけると駆け寄って来る。女性に純粋な好意を向けられるのは久しぶりなので嬉しい。
「ラース!戻ってきたのですか?」
「ええ、転移魔法で戻ってきたところです。ところで先生…順調に復興しているようですね。」
「はい、みんなが頑張ってくれたから想像してたより早く元の生活に戻れそうです。…正直、食料事情はゼロフィス様や公爵様からの援助で、以前よりいいかもしれません。これもラースのおかげです。」
「…それは良かった。何か僕に出来ることがあれば言ってください。あと…僕の部屋で少しお話ししたいのですが…この後、時間ありますか?」
「はい…時間は取れます。と言うよりミーア族の恩人であるラースを待たせたら、長老達に怒られてしまいます。ラースがよければこのまま向かいますけど?」
「いえ…両親に挨拶を済ましてからになるから…仕事のキリが良いところで来てくれると助かります。」
「それじゃあ…1時間後に伺います。」
屋敷に戻りお母様に挨拶をし、執務室にいたゼロフィスに声をかける。使用人にお茶と軽い軽食を準備してほしいと伝える。
用事を終え、部屋で座って待っていると、部屋がノックされる。
「セロアです!入りますよ。」
「どうぞ、入ってお座りください。」
「それで、話って何ですか?」
席に着くとすぐに問いかけてくるセロア
「実は…非常に話しにくいのですが…」
セロアにこれまでの経緯を事細かに伝えた。話しが進むにつれ、セロアの目がジト目になっていく。
「…ラース…貴方は頭がいいのに馬鹿ですね。あと…私が言うのもなんですが…最低です。」
「ぐっ…そのセリフを聞くのは3人目だ。ダメなのは分かっています…それで、一週間後に話し合いがあるのですが…参加していただけますか?」
「それって参加しない選択肢はないですよね。」
「誠に申し訳ないことに…」
「前にも言いましたが、私とラースは身分も種族も違います。結婚できるとは思っていませんでしたし、愛してもらえて側に置いてくれるなら構いません。別に無理に側室にしなくても、お側付きの世話係にでもしてもらえればいいのですが…。」
「それでは、僕の気が済みません。」
「しかし…実際のところ二人を傷つけてまで押し通すことでもないでしょう。」
「…いえ、これは僕のわがままです。もし、子供ができた時に、庶子であれば多少の相続権が認められますし…扱いが大きく違いますから。」
「子供…ラースはそこまで考えてくれているのですね。分かりました。今回はラースの言う通りにします。ただ、無理だったら別にいいですよ。ラースと私の子供です。遺産などなくても立派に育てて見せます。」
「先生ならそうでしょうね。ただ、本当に僕のわがままだ…まぁ、一週間後に迎えに来るから準備をしておいてください。」
「分かりました。ミリィティア様にお会いするのは久しぶりですから…少し楽しみです。」
…こうして話はまとまった。大丈夫だよな…




