ラースの憂鬱な日々④
ザルフ邸に入り、ミリィの部屋をノックする。先日は正面玄関から入ると、いくら待っても入れてくれなかったので窓から入ったが…今回は簡単に部屋に入ることができそうだ。
「どうぞ」
ここに来るのは3日ぶりだ。花のような香りが心地よい。強い香りではなく仄かな優しいものだ。
「で、何しに来たの?」
「君の顔を見たくてね。それじゃあ…理由にならないかな?」
「そう…それでは用は済んだわね。もう帰ってくれないかしら?」
「いや…僕は君と話しがしたいんだ。こんなこと言える立場じゃないのはわかってるけど…結婚は受け入れてくれた訳だろ?どうしたら、僕を許してくれるんだい?」
「…私も結婚後の生活を楽しみにしてたんだけどね。それに、許したいとも思っているわ。ただ、すぐにって訳にはいかない。」
「それは…そうだね。では…どうすればいいかな?」
「もうセロアさんとは結婚する訳だから、あとは心の問題…何かしてほしい訳じゃないけど、安心させてほしい。もう、こんなことはしないって…」
「…セロア以外に結婚したい相手を増やすことはないよ。それに…3人が居てくれるなら後は何もいらない。本当だ。」
「…それは本心でしょうね。ただ、信用できない。私はラースが、後2、3人は側室を取ることになると思ってるの。」
いやいや…陛下じゃないんだから、そんなに信用ないのか…僕は…まぁ、仕方ないな…
「流石にそれは…ないんじゃ」
「…必要になる場合もあるのよ。ただ、そうなった場合に今回みたいに事後に了承を求められても困るの。」
「…まるで、政治家みたいなこと言うんだね。」
「私だって言いたくはないよ。でもさ…今回の件があって…ラースを信じられなくなってるの。それにラースのためでもあるの、奥さん同士が仲が悪い家に帰りたいの?」
「う…それは…嫌だな」
「なら…私達が安心して生活出来る仕組みが必要だと思う。それを守ることを魔法契約してくれなきゃ許すことはできない。」
魔法契約は破ると、痛みを生じる軽いものから、命を担保にするような重い物まである。
「魔法契約まで必要あるかな?」
「そうしないと安心できない。必要なことよ。」
「分かった…受け入れるよ。それで、ミリィが許してくれるならね。」
「そう…嬉しいわ。それじゃ、細かい取り決めは殿下と私…あとセロアさんで決めようと思うのだけど、転移魔法でセロアさんを連れてきてくれないかしら?同意なしというのは心苦しいので…」
「分かったよ。早急に手配する。ただ…セロアにも準備があるだろうから…一週間くらい時間をくれないか?」
「それぐらいならいいわ。それじゃあ…一週後の正午にこの部屋で話し合いましょう。殿下には私から伝えるよ…。」
「ありがとう…助かる。」
どうにか…許してもらえる目処がついた。早速、セロアに話を通さなければ…




