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玉砕大尉の異世界英雄伝  作者: ペコちゃん
第3章 英雄の凱旋
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終わりは突然に…

皇帝カーディナルがまさか女だったとは…あまりに予想外だったために不躾に見ることになってしまった。


「朕に見惚れるのはわかるが…ラース殿、そろそろ会談を始めさしていただいてよろしいかな?」


「え…はい、どうぞ。」

…完全に流れを持って行かれた。


「まず、先に謝っておこう…朕が会談を持ち掛けたのは停戦するためではない。朕をこれほど苦しめた指揮官の顔を見て見たかったからだ。期待させたのならすまんな。」


やはりな…停戦などするつもりがないことはわかっていた。体制を立て直す時間が欲しいのだろう。それはこちらも同じなので乗ってやる。ただ、こちらは家臣でもなんでもないのだ。遠慮せずに牽制してやる。


「いえ…こちらも停戦するつもりなどありませんので、ご安心を…こちらは旧オースティン領の回復をするつもりですので」


「ほう…これは驚いた。わずか2万弱でミットラント山脈を越えて、我が軍と平野部で戦おうと言うのか…それは勇敢を通り越して無謀と言うのだよ。ラース殿」


「そうでしょうか?私は今回で帝政軍と戦うのは2度目ですが…領土回復は夢物語ではありません。それに…今ここで貴女を殺すことも容易です。」


そう言うと、出来るだけ邪悪な笑みを浮かべ魔力を解放する。もちろん威嚇だけだ…頭がなくなって交渉する相手がいなくなったら収集がつかなくなる。


僕の魔力に呼応するように、帝政軍の護衛も剣に手をかけて魔力を解放している。まさに一瞬即発だ。


「やめよ…」カーディナルが右手を挙げ護衛の兵士を制止する。


「なるほど…ホラはホラでも実現出来るホラというのは恐ろしいモノだな。我が軍の第一陣を一人で打ち破ったのは貴殿か。半信半疑であったが、貴殿を見て納得した。ただ…かなり無理をしたようだな。朕にはわかるぞ…まだ回復仕切っていないのだろ?」


「はて?見ての通り元気そのものですが…。」


「…まぁ、良い…これで会談は終わりだ。約束通り明日の明朝までは停戦としよう。あと…念のために聞くが、ラース殿は我が軍門に下る気はないか?もし下るのであればオースティンと同程度の領地を与えても良いが?」


「遠慮しておきます。我がリットラントでは領土は与えられる物ではなく、守り勝ち取るものと考えておりますので」そう言うと僕は天幕を後にした。


僕は自軍に戻る際に、エトグリークに念話で連絡をとった。この戦争で使える2枚目のカードを切ったのだ


「できれば…使いたくなかったのだが…」


ーー明朝、魔術師団が整列しているの見ながら、ラースは考える。この戦争の目的は相手を完全に敗北させることではない。


そもそもオースティンの兵力では帝政マーシアを占領できるほどの余裕がない。なので皇帝の心を折り、オースティンに有利な停戦条約を結ぶことが現実的な目標だ。


しかし、魔術師団が半数になっても皇帝はやる気満々だ…おそらく地雷に対しても何らかの対策があると見ていいだろう。数の上では圧倒的に不利なのは相変わらずだ。


「総員、体制を立て直せ!」


明朝--ラースの指示に従い、ラース隊が体制をたて直す。

「総員!突撃ィー!」


ラース隊はその合図とともに、帝政軍に突撃した。激しい戦いがいたるところで始まる。狭い街道での戦いは、互いに熾烈を極めた。


互角に見える戦いも、徐々にラース隊が押され始める。それはそうだ数が違う。時間の経過と共に死者の数が増え始める。


死んでいく部下たちを見て、罪悪感に苛まれる。


(くっ…すまない。)


そして、辛うじて軍の形を保ちながらラース隊は再び後方に下がる。


帝政軍が追撃してくるところに、再びの地雷攻撃をしかけたが、既に対策済みらしく、足元に展開された防御魔術に阻まれる。


「くっ…打つてなしか…。後は耐えるしかない。」


ーーー皇帝カーディナルはすでに勝利を確信していた。なんせ、三千の敵は今や千にも足りない。これで逆転など出来るはずがない。


「フハハ…後悔の中で死ぬがいい。ラース リットラントよ。」

…帝都からの伝令を聞くまでカーディナルは実に良い気分で笑っていた。


「申し上げます。主要都市…ボスイーアとフェアレンテが何者かにより攻撃を受け…どちらも壊滅状態です。また、帝都からミットラントに続く街道や食料庫等も焼き払われました。」


「な…何…どういうことだ?何者とはなんだ…それに帝都には数万の兵が残されていたはずだそう簡単には攻撃されぬはずでは…」


カーディナルが動揺するのも無理はない。壊滅した二つの地域はマーシア最大の工業地帯と穀倉地帯なのだ。この二つが壊滅したとなれば、経済的に大打撃を受ける。戦争の継続など不可能だ。


「数百頭のグリフォンが油の入った壺に火をつけ、上空から落下させてきたようです。遠距離魔法を使えるものが出払っているため…対応もできずに…何度も。」


「な…なんと…すぐに、攻撃をやめよ!オースティンと…リットラントとの会談の準備をしろ。」


グリフォンと聞いてすぐにオースティンと結びついた。口惜しいが…これ以上の戦争の継続は無理だ。カーディナルはすぐにその考えにいきつき行動に移した。


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