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玉砕大尉の異世界英雄伝  作者: ペコちゃん
第2章 貴族院学校に入学します。
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グリフォンの待遇

グリフォンの調伏によって得た知識と魔力は非常に有益だった。なんせ、千年分の経験と知識が手に入り、人と比べれば無尽蔵とも言えるグリフォンの魔力まで手に入れたのだ。


魔術においては、人族で僕に勝てる存在はいないと自信を持って言えるほどだ。ただし、困ったことが一つある。グリフォン エトグリークの扱いについてだ。


調伏した以上は僕に所有権があるらしい。そのため飼う場所が必要になったのだが…住むには広いとはいえ象ほどもある獣を飼えるスペースなど寮にはない。


そのことをエトグリークに伝えると、人に化けることが出来るので問題ないと言った。ホッと安心するが、化けさせてみると別の問題が発生した。


あろうことか、エトグリークは赤髪に碧眼を持つ美少女に化けたのだ。途端にミリィとシルビアの表情が険しくなるのを感じる。本当に勘弁してほしい…。


他の姿に化けられないのか聞くが、どうやら精神体に最も近い姿にしか化けられないらしい。メスだったのか…とどうでもいいことを考え掛けたが、今はエトグリークをどうするか考えなければ…。しばらく悩んでいるとベルフェルム殿下がある提案をしてきた。


「ふむ、王都近郊の狩場でよければ森を譲るがどうする?鹿や熊もいるしグリフォンが住むにはふさわしい森だ。もし必要ならエトグリーク殿専用の家屋も準備するが?」


「さすがに…これ以上お世話になる訳にはいきません。」恩を着せられると後が怖い。


「…恩を着せるつもりなどないぞ?獣の調伏はお前が思っているよりもずっと重要なことだ。我が国の念願だったと言ってもいい。本当なら民のいる倍程もある領地を褒美としても良いくらいだ。」

さすが、王座を目指す男だ…何も言ってないのにこちらの思考を読んだような回答だ。同じ王族でも、シルビア殿下とは大違いだ本当に血が繋がっているのか?


「それに我が与えた領地にエトグリーク殿がいれば調伏を命じたのが我が家であると示す良い機会にもなる。」

なるほど…ベルフェルム殿下にも利益があるなら断る理由はないか。人たらしめ


「そういうことであれば…エトグリークもそれでいいですか?」


「ふむ…出来れば主の側が良いのだがな、まぁ、森で気ままに暮らすのも悪くはないな。」


「…それでは、大変申し訳ありませんが、殿下お願いしてもよろしいですか?」不本意だが仕方ない…一緒に住めば確実にミリィとシルビアの機嫌が悪くなる。


「よい、任せておけ!すぐに準備しよう。」


一応、エトグリークの件はこれで解決したので帰ることにする。帰りはエトグリークの強引な勧めとミリィの好奇心によってエトグリークの背に乗って帰ることになった。


エトグリークの背中は飛び立つ時には激しく揺れたが、一度安定すると乗り心地は悪くなかった。風がすごかったが、今は風魔法で相殺しているので無風状態だ。


「わぁ、すごい!街があんな小さく見えるわ!見てよラース。」


「うん、すごいね。」前世でも軍用機に乗せてもらったことがある。その時は町を眺めている余裕はなかった…エンジン音がすごかったことだけは覚えている。と考えながら気のない返事をしていると…思い出したようにミリィの雰囲気が変わる。


「ところで、ラース!私に言うことない?」


ない!やましいことなど一つもない。


「…何のこと?」


「シルビア様やエトグリーク様のことよ。(私というモノがありながら…)説明してちょうだい!」


「何もやましいことはないよ…」前世の癖で理論武装して突き放そうとしたが…エトグリークの記憶が似たようなことを言って女性にぶっ飛ばされる勇者を映し出したので飲み込む。


「僕はミリィが一番好きだから、心配しないで…ヤキモチを妬いてると可愛くないよ。」


途端に真赤になるミリィ…わかりやすい反応だ。

「べ…べつに、ヤキモチを妬いたわけじゃないわよ。ただ、ラースにはまだ早いと思っただけよ。」


「おい、我の上で痴話喧嘩せんでくれんか?」ミリィと話しているとエトグリークが呆れたように言った。ナイスなタイミングだ。


「…飛行中でも喋れるんですね?」


「ああ…魔法で風圧は相殺しとるからな…しかし、第一調伏とはいえ汝と我は主従関係にあるのだ。敬語はよさんか。」


「それは、難しいですね。あなたは僕よりずっと年上で知識もありますから。」

前世で聞いたことあるような言葉だったので懐かしく感じてしまう。


「ふん…堅いやつだ」


「ところで…第一調伏って何ですか?」


さっきから思っていた疑問を口にする。記憶を共有してると言っても、全て共有している訳ではない。互いに許可したモノだけ見ることが出来る。今は魔術に関することと勇者に関することだけ共有している状態だ。


「ああ、調伏についてだな…こういうことだ。」


エトグリークが許可を出すと知識が流れ込んできた。


「なるほど」


話すと長くなるので要点だけ説明する。調伏には3種類あり、


第一調伏

要件:調伏される側が調伏する相手を主と認める。


効果:

互いに許可した範囲で記憶と魔力を共有する。主はいつでも調伏関係を解消できる。ただし、一定条件を満たせば、従側も調伏の解消又は命令を拒否することができる。


第二調伏

要件:従側の主に対する愛着の形成が行われ、主側がそれを受け入れること。(第一調伏のままにも出来る。)


効果:

主側は従側の記憶と魔力を無条件で使用できる。従側は主側の命令に対して拒否することができなくなり、調伏を解消する条件も厳しくなる。


第三調伏

要件:従側が神獣であり、身も心も主側に委ねること。


効果:

精神界での主従の境は曖昧になり、一つの個となる。その力は元の総量の何倍にもなる。調伏は完成しどちらかが死ぬまで解消することはできない。


といった内容らしい。つまり、グリフォンの力を完璧に使いたいのであれば第二調伏に到達する必要があるということだ。


第三調伏に関しては勇者すらも短時間しか成功せず、それ以降は確認されていない。神聖魔法と同じように眉唾だ…などと考えていると寮についたらしい。今日は本当に疲れた…早く寝ることにしよう。

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