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堕天のナイフ  作者: ゴマちゃんなしでは生きられない (ゴマなし)
8/30

★流れ星に願いを。

今回、タイトルの前に付いてある『★』についてですが、これはこの作品のメインストーリーに関するお話であることを表す目印となっています。『読む時間ないけど物語を知りたい!』方や、『前何の話してたっけ、影薄くて忘れた』人用にあらすじを知る上でお役にたつと思います。ではどうぞごゆっくりッ!!

「ねぇ愛花、もし流れ星を見たら何を願おうかとか決めてるかい?」

「うーん、特には決めてないかな。勇気ちゃんは決めてるの?」

「当然。僕はね、来る日に備えて訓練までしてるんだよ?」

「訓練?」

「だって考えてもみてよ。流れ星は一瞬なんだよ? その流れるまでに3回も願い事を言わなきゃいけないなんて日頃準備しておかないと無理ってもんじゃない?」

「確かにそうだね…。でもどんな訓練すればいいの?」

「僕はとりあえず早口で言えるようになるように練習してる。毎日3回」

「願い事を?」

「うにゃ、愛花見てて、特訓の成果を見せてあげよう」


そう言うと桐谷は深呼吸をして息を整える。ピタっと動きが止まる。そして、


「…身長身長りんちょっ!!」

「…………。」

「…………ドヤァ」

「とりあえずツッコミどころは色々あるけど最後噛んだよね勇気ちゃん」


しかも願い事が身長っていうのがリアルだ。けど女の子は特に小さい事を気にする必要はないと思うの。可愛いはステータス。胸の話はさておいて。


「ギリセーフだよ。スライディングで滑り込みホームランだよ」

「ホームランだとスライディングで滑り込みする必要ないと思うの」


ふふんと胸を張る桐谷と話していると、気だるそうな様子で誠二が帰ってきた。


「ういー…体育だっるっ……。」

「あ、お帰り青木」

「体育どうだった? 確か男子は野球だよね?」

「ホームラン打ったまでは良かったけど無駄にその後ノリでヘッドスライディング披露したから疲れた」

「…あれ、デジャブ??」

「実在したね、愛花」

「……何が??」


誠二は首をかしげるが先ほどの話を聞いていないため知る由も無い。


「……なんでもないよっ、ところで青木くんだけ?」


いつもなら黒崎と帰ってくるのに今日は誠二だけなのが気になった。誠二は「あー…」と気だるそうに返事をして、



「なんか体育の時間始まる前に早退していったぞ」







――――同時刻、日本との時差8時間のイギリスにて、一台のヘリがすっかり夜の街と化した幻想的な町並みを見下ろす様に飛んでいた。


「晴翔、もーじき着くぜ。ご機嫌はいかがかねぇ?」


夜の街にテンションが上がっているのか、隣で眠っている俺には迷惑なぐらいご機嫌な男は陽気に口笛を吹いている。

このヘリを操縦する昔からの戦友カナリアはスキンヘッドに左目に縦線の傷、筋肉質な身体つきという厳つい風貌をしているが、なんだかんだで俺の無茶振りに文句一つ言わずに付き合ってくれる優しい奴だ。


「…最悪だ。起きた瞬間に目に飛び込んでくるのがこんなハゲヤクザみたいな見た目のおっさんとはな」

「誰がアル中のイケメンのおっさんだ」

「一言も言ってねぇよ、耳鼻科行ってこい」


そんな軽い挨拶をしながら、俺は目的地の塔を見つめる。そこは現在建設予定のタワーだ。世界でも5本の指に入るであろうその塔の頂上と同じくらいの高度を飛んでいるのだから、真下を見ればそれは絶景である。


「…また命令無視か? ドヤされるぞ?」


ハハハと笑って軽い調子で聞いてくるカナリア。


「どうせ予備役だ。出番はない」

「ははは、ちげぇねぇ。…でもおめぇ、相変わらず予備役なのな。やっぱ…まだあれか?」

「……。」


少し神妙な顔つきで聞いてくる。カナリアは俺の過去を知る数少ない人物だ。それ故にこんな『仕事』には似合わない、致命的な俺の弱さと欠陥具合をよく分かっている。


「…ああ、相変わらず、だ。」

「…だから言ったじゃねぇか。初対面の時に、この『仕事』はテメェには向いてねぇ、ってよ」

「あの時の俺は現役だぞ、聞き入れるわけがない」

「もっとテメェにあった仕事はあるっていいてぇだけだ」

「…例えば?」

「小学校の劇とかでやる、木の役とか」

「必要ないほど地味だ」

「ホラー映画の死体役」

「そんなに死んでるように見えるか俺は」

「幽霊になる」

「死んでんじゃねぇか」


二人で軽く笑い合う。こんな中でもこうして余裕があるのはいいことだ。俺の師も、そんな人『だった』。気分を軽くしたところで、俺は目的地に降り立つ事にした。ヘリの入り口を開けるとまるで俺を飛ばそうかという勢いで風が吹いて黒髪を激しく揺らす。


「…俺はもう行くよ、カナリア」

「おうよ、一応言っておくが、しくじるんじゃねぇぞ」

「問題ない」


『仕事』に必要な少し大きなカバンを背負って、俺は上空でユラユラと揺れるヘリの入り口へと立つ。


「俺の取り柄は、これぐらいのもんだ……――――」



今回の題名の★は、決して流れ星と★を掛けたわけではありません。本当です。信じて下さい。嘘です。ちょっと掛けました。本当に申し訳ありませんでした!! 

ところで、流れ星に何をお願いします? 僕ですか? えー、何にしようかなー? 迷うなー。


……従者が欲しいです。←真剣

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