お前はそういう奴だった。。
「なんか青木ってとんでもなく味覚がズレてる気がするにゃー」
「なんだよ、俺は正しいことしか言ってねぇぞ」
購買でいつものクロワッサンとリンゴジュースを飲んでいた俺はいつも通りといえばいつも通りだが、青木と桐谷が言い争いをしているのがいつも通り気になった。
「なんだ、何の話だ?」
「聞いてよ黒崎っ、青木の奴、卵かけご飯にはマヨネーズをかけるって! おかしくないかい!?」
「バカ、マヨネーズかけて美味くねぇ飯があるか。マヨネーズは世界のお供なんだよ」
「だからと言って卵かけご飯にマヨネーズは可笑しいよ。卵だよ!? 醤油だと思うんだけど僕はっ」
「んなことねぇよ、なぁ晴翔、お前はこっち側だろ?」
「賛成は出来ないが、お前のことだ。多少の事は納得しといてやる。…お前はそういう奴だったからな。」
「…でもそれだけじゃないんだ! さっきの話とは関係なくなるけど、青木、寝る時は汗をいっぱい掻いてからじゃないと寝られないみたいなんだ。しかも風呂入らないんだよ!?」
「仕方ないだろ、興奮しないとねれないんだよ。風呂は朝入るからいーんだよ、男子はそんなもんだ。朝風呂はロマン、牧場の朝は俺のダチなんだよっ」
「誰!? 急に出てきた牧場の朝って誰っ!?」
「おいマジかテメェ、牧場の朝先輩しらねぇのかよ? ヨーグルト界の王として知られている三つ入りのヨーグルトに決まってんだろ?」
「ヨーグルトがダチなの!? 友達ってなに!? 友達って人間以外でも通じるの!?」
「んな哲学的なこと言われても知るか! 牧場の朝は牧場の朝なんだよっ。皆んなの親友、牧場の朝、そうだろ晴翔?」
「一括りにされると困るが何も言うまい。…お前はそういう奴だったからな。」
「……牧場の朝は置いといて、流石にそんな汗かいて寝たら布団ベトベトになっちゃうよ…」
「そうはいうがな桐谷、お前もお前だぞ。メシを食う時にテレビをつけないってどういうことだ? お前何を楽しみに飯食うんだよ?」
「飯を楽しみにご飯を食べるんだよっ、当たり前じゃないかい!?」
「なにいってんだ、飯食う時はお笑いでも見てガッハッハって笑いながら牧場の朝食うのが定石じゃねえか。」
「牧場の朝ってヨーグルトだよね、主食にするのは可笑しいよね?? 僕は間違っているの!?」
「万国共通だっての、なぁ晴翔?!」
「それは絶対可笑しいよっ、でも、」
「誠二は元々他人とはズレた奴だ。だからこんな話をしても仕方がない。なにせ、」
「「お前はそういう奴だった…。。」」
「ちょっと待てやゴラァあああああああ!!!!!!!」
桐谷と俺が頷く中、誠二が吠えた。
「なんだ誠二、急に叫び出して。お前はそういう奴だったな…。」
「そうだよ青木、びっくりしたよ。お前はそういう奴だったけど…。」
「それだそれぇぇ、語尾についてくるそのそういう奴だった的なやつだよぉぉぉ!!!」
「ああ、これか。いや、なんかお前に使うとしっくり来るんだ」
「分かるにゃー。なんか普段いるとやかましいと感じる奴が急にこの世から去って、そいつの回想シーンを思い出して涙ぐんで悲しくなるような…」
「俺を勝手に殺すなっ!!」
「にゃはは、ちょっと楽しいコレ! 死亡フラグ的な感じがする」
「ああ、そうだな。アイツならきっとネタにしても喜んでくれるだろう。だって、」
誠二はそういう奴だったから。。
「……だから俺は死んでねぇっつうの!!!」
大体友人との付き合いが10年ぐらい続くようになるとこの言葉が口癖のように出る。そしてそれを言われる度に、「え、俺そういう奴なの!?」ってなる。