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堕天のナイフ  作者: ゴマちゃんなしでは生きられない (ゴマなし)
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好きです付き合って下さいブーメラン


「俺は今から、自作で作ったブーメランに、『好きです、付き合って下さい』と書いたブーメランを窓から外に投げんぞ」


 誠二が手に持っていたのは如何にも形だけ似せたモノ。そもそもブーメランとは、投げたら戻ってくるからブーメランと言われる。


「……青木、君のソレは明らかに戻って来ない、よってブーメランではないよ」

「ワザとだよワザと。自分に戻ってきたら自分に告白することになるじゃねぇか。だからあえて戻って来ないようにしてんだよ」

「…青木君、告白文を書いた意味はあるの?」

「これを投げる、誰かが拾う、届けにくる、運命の出会い、付き合う、みたいな流れだ」

「スケジュールがガバガバにゃー……」

「とりあえず俺は投げるっ、行くぞっ!!」


 そういうなら止めはしない。俺は何も言わずに見守った。そう、この時の俺はまだ知らなかった。


「せーの、」


 この後、数秒の間に色んなことが起きることを…――――


「どりゃあっ!!」


 と、言って投げる素振りをした0.2秒後、誠二の手から離れたブーメランは『後ろ』に飛んだ。投げようとした時に窓の縁に引っかかり、そのまま手から離れたのだ。夢と希望を乗せた誠二の恋のブーメランは、1秒後には地に落ちる。それは残酷だった。ゆえに、


「せぇい!!」


 0.3秒かけて、俺は地に落ちる前にブーメランを蹴り飛ばした。蹴り飛ばしたブーメランは、


「フンがっ!」


 桐谷の顔面に直撃。ここまで約0.5秒。桐谷の顔面に直撃したブーメランは桐谷の頭上を舞う。ヒラヒラと落ちていき、そのブーメランは白雪のところへ。しかし、


「……ッ!!」


 恐らく反射的だったのだろう。先ほどの誠二の思惑と話を聞いて余程嫌だったのか、顔の高さまできたブーメランを手に取らずに平手で一閃。ここまで約1秒。


 ちなみに、ここで誠二はブーメランが前に飛んでいないことに気づく。


 平手で一閃されたブーメランは回転力を増し、途中すれ違ったトランプタワーと接触。(クラスの奴らが必死に作っていた。)トランプタワーはもちろん崩壊。そのまま黒板に向かって進むブーメランは、黒板消しをしていたクラス員の女子に一直線。危ない、怪我をするぞ、俺は思った。しかし、


「……シッ!!」


 尋常ならざる殺気を感じたのだろう。真後ろから来ていたブーメランを後ろ蹴りで撃退。跳ね飛ばしてしまった。のちに聞いた話だと、彼女は空手で全国大会上位入賞者の常連の猛者だとか。ここまで2秒。

 そしてここで誠二は首を傾げて振り返って口を開く。


「なぁ、俺のブーメ……」


 そこに女子が後ろ蹴りで撃退し、さらなる勢いをつけたブーメランが襲いかかり、


「ラーングハアアアッ!!」


 誠二の顔面に直撃した。これで3秒。ブーメランは誠二の顔面とぶつかって地に落ちていく…。


「ブーメラァァン、ラァァン…ラァン…ラン…ラ…ン……――――」


 動きがスローになる。自然と声にエコーがかかる。セルフエコーとかじゃない。とにかく落としてはいけない。かといって手にとってはいけない。

 謎の使命感に追われ、必死に足を伸ばして蹴り飛ばそうとしたブーメランが、


「フギャん」


 今更になって先ほど顔面に食らったブーメランに仰け反って倒れこんだ桐谷によって、無残にも誠二の夢と希望のブーメランは地に落ちて潰されてしまった。



「ブーメラアアアアアアアアアァァン!!!」


 これはのちに、誠二の告白ブーメラン殺害事件と名付けられることになる。。



これと似たような話がありました。その時に投げたブーメランは真後ろに広がっていた泥沼の様なプールに落ちてそのまま浮いてくることはなかったのであった。ブーメラアアアン!!!

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