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堕天のナイフ  作者: ゴマちゃんなしでは生きられない (ゴマなし)
21/30

★猫探偵ホームズ4


「無事に捕まってよかったにゃー」

「ニャー」


すっかり帽子を元の被り方に戻した桐谷はいつも通りの調子に戻っていた。今ニコニコ顏の桐谷に抱きかかえられているブサイク猫こそ、今回の依頼されていたターゲットである山田家の迷子猫であり、無事探し出す事に成功したわけだ。が、


「おい、キャリーバッグの意味ないじゃないか」


本来猫を入れるはずだった、桐谷が持ってきた運ぶと鈴の音が鳴るキャリーバッグはいつの間にか俺が持つ羽目になっていた。


「お前猫はパニックに陥りやすいから逃げないようにカバンにいれるとか言ってなかったか」

「何言ってるんだよ黒崎っ、こんな可愛い猫をあんな暗くて狭いキャリーバッグに入れっぱなしにしておく気かい??」

「いや、猫は狭くて暗いとこを好むんだとお前が、」

「にゃにゃー?」

「ニャー!」

「にゃにゃ!」

「いや聞けよお前」


さっきからこの調子である。まるで自分の飼い猫の様に可愛がる桐谷はさっきの凜としたホームズとは程遠い。今の彼女は純粋無垢な少女の様だ。猫と戯れる度に見せる表裏のない笑顔。正直可愛らしいと思う。いや、この場合は仕草や表情に愛おしさを感じる、というべきか。


「……まぁ、」


いいか、そう思うことにする。これ以上余計な事を考えてしまえば口を滑らせてしまうような気がした。


桐谷は喜怒哀楽がはっきり現れる。彼女の笑顔を見ていると、自分の心にほんの少しだけ安らぎが生まれるのを感じる。これはきっと、俺が感情を表現するのを得意な人間ではないからだろう。その点でいえば、恋心という事ではないだろうが、俺はそんなはっきりとした喜怒哀楽を表現できる、桐谷という人間が好きなのだ。そんなこと、俺には恥ずかしくて口には出来ないが。


「…まぁ、どちらかといえば、娘という立ち位置に近いものがあるな……。」

「うにゅ? 何呟いてるのさ黒崎?」

「…何、桐谷は前世は猫だったんじゃないかと推測していただけだ」

「何突然、へんな黒崎にゃー」

「ニャー」

「うるせぇこのやろう」

「痛いにゃっ!!」

「ニャッ!!」


俺は自分の恥ずかしさを忘れる様に桐谷と、ついでに猫にも軽くデコピンをかましてやる。変な呻き声で額を抑える桐谷は見ていて少し笑えた。


「……さて、さっさと山田さんに返すぞ桐谷」

「あ、ちょい待ち黒崎」


本来の目的を果たそうとして歩き出す俺を桐谷は呼び止めた。


「…なんだ、何か忘れ物か?」

「うん、忘れ物だよ。急ぎの用のね」

「キャリーバッグは俺が持っているが」

「それは黒崎にあげるよ」

「いらねぇよ。…じゃあなんだ?」

「銀行にお金下ろしに行かなきゃいけないのさ」


銀行にお金を…? 一体何が目的でそれをする必要があるのか。それとも、俺の知らされていない依頼の一環なのか。


「……何か別の依頼か何かか?」

「僕、お財布に200円しか入ってないんだ」

「それがどうした」

「帰りにクレープが買えない」

「……俺は帰る。」

「待つんだ黒崎っ、それだけじゃないよっ!!」

「……今度はなんだ」

「家賃が払えない」

「分かった、俺がお前の部屋を燃やしてやる。そうすれば家賃を払う必要はない」

「止めてっ、僕の寝床がっ!! そんなことしたら黒崎、責任とって僕の世話をしてもらうからね、一生」

「それは嫌だな。」

「嫌なのかっ、ガーンっ!!」

「……というか、別に依頼完了の後に引き出しに行けばいい話ではないか?」

「だってすぐ近くにあるんだもん。どうせならチャチャっと終わらしときたいよ。…ね? 付き合ってよ黒崎ー」

「……仕方ないな」


頬を膨らまして駄々をこねる桐谷の押しに負け、俺は溜息に吐きつつも桐谷の銀行へのお金の引き出しに付き合う事にした。……が、


「……やっぱりねこ邪魔じゃないか?」

「きしゃーっ」

「キシャーッ」

「………せめてキャリーバッグに」

「きしゃーっ!!」

「キシャーッ!!」

「分かった分かった」


猫は面倒だな、そう思った。。

旅行に行く時、僕は必ずリュックを担いで行きます。遠出だとキャリーバックが多いイメージですが、個人的にキャリーバック苦手です。電車とかで忘れるんですよ、持つの。その結果置きっ放し、みたいな。

僕両手が自由な状態が好きなんです。そんでもって寒いのでポケットに手を突っ込む。この暖かさが些細な幸せです。そこ、両手自由の意味ないじゃん、とか言わないっ!!

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