表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕天のナイフ  作者: ゴマちゃんなしでは生きられない (ゴマなし)
19/30

★猫探偵ホームズ2


夕方には少し早い時間帯、一枚のメモと一枚の写真を手に、俺と桐谷は街に出かけた。


山田さんの話によると、二日前、普段はあまり連れて行かない散歩に連れて行き、ママ友達との雑談に話に夢中で公園に放し飼いをしていたようだ。2時間後に確認した時にはもういなくなっていて、そこから消息不明で山田家に帰った形跡は見られない。行方不明になった猫は茶色の毛色に顔つきはブサ猫と呼ばれる類、首に赤い鈴をつけており、身体つきは標準、との事だ。この場合は、赤い鈴が目印になるだろう。


「この辺りが散歩コースらしい」


桐谷は辺りを見渡していつもの調子とは別の凜とした声で言った。


今の桐谷は、黒と茶色の混じった帽子を『普通に』被っている。いつも野球少年のような被り方をする桐谷だが、この時の桐谷はいつもと少し違う。


仮想劇バーチャルパフォーマンス』。簡潔に言えば、頭にイメージした仮想の人物になりきる事が出来る。

本来これは意識していないだけで、人間が持つ標準機能であるのだが、才覚を持った人間のそれは標準機能の域を超える。その人物になりきることによって、その人物と同じような能力を使用する事が可能になる。とは言ってもせいぜい現実的範疇内の話だが。

そして、桐谷の『仮想劇』で再現出来るのは、名探偵と名高い架空の人物、『シャーロック・ホームズ』その人だ。この『仮想劇』をした時の桐谷はいつもと雰囲気が変わり、ホームズが持つ能力、『推理力』と『機転の利いた発想力』が著しく向上する。つまり、本当の名探偵になるのだ。この能力の発動するための一つのスイッチの役割をしているのが、桐谷がいつも被る帽子、というわけだ。


「まずはこの散歩コースを散策してみよう。黒崎、君は道の右側を見てくれ。『私』は左側を見る。特に、狭い空間になっているところを隈なくだ」


口調や声もすっかりクールになっている。一人称も変わる程に。


「…了解したが、何故狭い空間なんだ? 俺のイメージでは高いところや塀の上とかにいそうなものだが」

「それはノラ猫の場合だ。山田さんの証言では、『普段はあまり連れて行かない』らしい。この事から室内で世話をすることが多いと推測される」

「ふむ」

「だが猫は意外と神経質でね。テリトリーを強く意識する生き物だから、普段行かない外の知らない世界は猫にとって安心できる場所じゃない。だからもし猫が迷子になった際、無闇に動く事はしない。あくまでも狭くて身を隠せる場所が一番落ち着ける場所なんだ」

「だから散歩コースを探っているわけか。だがその山田さんもこの辺は探したんだろ? 猫が誰かに連れて行かれた可能性は?」

「まぁなきにしもあらずだ。一応それも考慮して、動物愛護センターや警察、後は病院に連絡をしておいた」

「…仕事が早いな。動物愛護センターや警察は分からんでもないが、病院は何故だ?」

「猫は体調不良を起こしやすい。あとはこの近くにも交通道路があるから車に跳ねられる可能性もある。そうなってしまった際は緊急病院に運ばれるから」

「…なるほど」


桐谷の普段の行いからは想像が付かないほどの説得力と用意周到さ。これがホームズを演じている桐谷の力、という事か。桐谷のこの姿を見たのは今日が初めてではないが、改めて普段とのギャップに中々慣れないなと思った。


「…左は良し。黒崎、右は?」

「同じく、だ。続けるか?」

「いや、構わない。場所を変えよう」

「いいのか?」

「元々推測は大体付いてる、公園に行こう」

「公園って隠れる様な場所あったか?」

「正確に言えば、公園近くの民家、だ。」


桐谷はそう言って先程から気になっていたキャリーバックをコロコロと運ぶ。そこには鈴が付いていて、運ぶ度にチャリンチャリンと音色が響く。


「先程から気になってはいたのだが、そのキャリーバックは?」

「猫を捕まえる用だ。猫は手で運ぶと何か起こった際にパニックに陥って逃げてしまう可能性があるから、そのためだ。ちなみにこの鈴は猫が付けている赤い鈴と一緒だ。鳴らすことで聞き覚えのある音に安心感を与えると同時に、誘き寄せる役割もある」


なるほど、猫に詳しくない俺にとっては勉強になる情報だ。普段とは違い頼りになるな、なんて感心する俺など知らぬ顔で、


「行くよ黒崎。早く終わらせてしまおう」


名探偵桐谷は鈴を鳴らしてキャリーバックを引いて行く。


猫派か犬派か、というのはよく出る話のネタだ。よく人も猫や犬に例えられることを考慮すれば、犬と猫は永遠のライバル同士のようにも思う。


ちなみに、僕は断然猫派である。もう悩む理由がない。なぜって? だって猫耳って萌えるじゃないか。女の子の猫耳とかほんと好き。猫人間飼いたい。


え、猫? いや、猫はいらないかなぁ。僕動物アレルギーなんで。。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ