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ロストメモリー「5」

◇食券


低レベル、クリーチャーからドロップ。

三個以上所持しているとドロップしない。

食券には様々な種類がある。


幸哉は絶句した。

玲奈が言った一言はどういう意味なのか?


「天使が俺を探してた?」


「えっと……彼女が本当に探してるわからないの」


「……矛盾してないか?」


「ごめん、天使の会話聞いた、だけだから」


「どういうことだ?」


玲奈はその時あったことを出来る限り説明を始めた。






玲奈は《タイラント》に体を切り裂かれその場に倒れた。

体が動かない。

意識を朦朧しながら、玲奈は必死に痛みに耐える。


「まだ、生きてる……しぶといな」


冷ややかな声。

《タイラント》が玲奈を見ながらニヤリと笑う。


「今度こそとどめだ」


歯を食い縛りながら玲奈は意識を留める。

紅い剣が降り下ろされるのが、何となく見えた。

死を覚悟した。

刹那。

青い閃光が剣の進行を防いだ。

腰まである黒銀の髪。

身に纏った服は桜木学園の学生服だった。

一人の少女が玲奈を守った。

《タイラント》は舌打ちをした後、後方に下がり少女から距離を取る。

少女は、玲奈の壁になるように立ち塞がった。


「これ以上、この人たちを傷つけるのは許さない」


透き通った鈴音の声。

綺麗な声だった。

しかし、彼女の言葉には怒りが混じっていた。


「……シホ。君は間違ってる。天使である君がなぜ、人間を助ける?」

玲奈は朦朧とする意識の中でハッキリと聞いた。

彼女が天使?

ならなぜ私を助けるの?

玲奈は混乱しながら天使の会話に耳を傾ける。


「私は、ただ自分が思うようにやってるだけ」


「くだらない。人間を助けて何になる?」


「わからない。でも、誰かが傷つくのは見たくない」


「じゃあ、自分が傷つくのはいいのか?」


シホは何も言えなかった。


「君がどんなに望もうが、人間と仲良くなんてできるわけない。俺たちは互いに対立し合う生き物なんだから」


シホは、黙り込んだままだった。

顔をうつ向かせ、拳を強く握ていた。


「それでも……私は」


「じゃあ、あいつが言っていた幸哉とか言うやつを探すのか?」


玲奈は聞き覚えのある名前を聞いた。


幸哉。


玲奈の知る中で幸哉と同じ名前はいない。

なぜ、幸哉が?

思考がまわらない。

玲奈は身体中の力が抜け、意識が遠退いた。




そして、玲奈が気がついた時には病院に寝ていたそうだ。


「……」


「……」


互いに沈黙する。

幸哉はスッと息を吸い込んだ。


「謎が深まっただけじゃん!?」


「し、仕方ないでしょ?死にかけてたんだから」


「そうだけど!天使が何で俺のこと探してんのがわかんないじゃん!?気になる!気になるよ!!!!」


「あーうるさい!!!!話はこれで終わり!さっさと帰りなさい!私は寝る!」


「なんだよ、それ!」


「おやすみ!」


玲奈は布団を被り眠りにつく。

否、幸哉との会話を無理矢理終わらせた。

幸哉は頭を掻きながら、玲奈に「お大事に」と一言残し、病院から出た。






その日の昼、幸哉は最斗に呼ばれ学校を食堂に来ていた。

二人は窓側の席に座り、幸哉は焼きそば、最斗はオムライスがテーブルの上に置かれていた。


「ふざけんな!!!!」


テーブル叩いて立ち上がったのは幸哉だった。


「どうした?焼きそば」


「俺の名前は焼きそばじゃねぇ!!!!って、そうじゃなくて、お前だけ何でオムライスなんだ!?」


「焼きそばと交換してもらったんだよ」


「俺の分は!?」


「仕方なかった……あの子も食券は一枚しかもっていなかったんだ」


「……俺たち友達だよな?分けて、半分わけて」


「それは、無理だわ」


「何でだよ!!」


「だって、俺ら……親友だろ?」


「尚更、わけろよ!!!!親友困ってるんだよ!助けて、一週間以上焼きそばの俺にオムライスください!」


「玲奈ちゃんに告白したら、考えてやろう!」


「今、玲奈関係ないだろ!何で告白しなきゃならないんだよ!!!!」


「彼女は傷を折っている……つまり、恋で癒してあげなきゃ!!!!」


「お前はいつからそんな乙女チックな話をするようになったの!?」


「まぁ、そんなことはどうでもいい」


「そうだよ!オムライスだよ!」


「お前、《タイラント》の他に天使がいるの聞いてるよな?玲奈ちゃんに」


話が急に重くなり、幸哉は真顔になった。


「あぁ、聞いたよ。そのもう一人天使についてのことだろ?俺も驚いた」


「あぁ、俺もだ」


「まさか、あの―」


「まさか、あそこまでの美少女とは……」


会話の内容が噛み合っていない。


「美少女って、玲奈ちゃんとかルナちゃん以外にもいたんだな」


「……」


「あの天使に水着着させたら、誰も勝てないと思うぜ?」


「……」


「ん?幸哉?」


「そこじゃないだろ!!!!」


「えっ!?」


「えっ!?じゃない!その天使は俺らは知ってるって話じゃないのか!?」


「お前……知ってたのか!?」


「知ってたもくそも、俺が初めてお前とあったときに出くわした天使だろ!?忘れないわ普通!」


「あんな、無駄にカッコつけて瞬殺されたこと覚えてるなんて、可哀想に……」


「助けてもらった癖に良く言うぜ!!!!」


「あの後お前を担いで逃げてやったのは俺だ!俺に感謝しろ!!」


一通り公論があった後、二人は食事をしながら会話を進めた。

「で?お前は何で天使に探されてるわけ?」


「それは俺が知りたいよ」


「まぁ、お前には天使を倒す力があるから……じゃないか?」


「お前だって、知ってるだろ?この武器を持っていても、天使には勝てないことぐらい」


幸哉は左手首についたリングを見せながら最斗に言った。


「でも、それ以外にお前に会う必要があるのか?」


「この武器と同等の力を持つものくらい、《死後の世界》にはいくらでもあるだろ」


「そうかもな……」


互いに食事を終え、沈黙した。

最斗はコップに入った水を飲み干すと何かを決意したかのように口を開いた。


「わかんないなら、なぞを解くしかない」


「解くって言われても、どうするんだ?」


「行動あるのみ!」


「闇雲にやっても意味ないだろ?」


「玲奈ちゃんの情報があるだろ?」


「情報?」


「桜木学園の制服。そして、美少女。これだけあれば十分だ」


「まさか、この学校探し回る気か!?」


「ご名答!!!!」


「じゃあ、夕方6時に集合!解散!!!!」


最斗はものすごい速さで姿を消した。

一人、取り残された幸哉は、渋々行動に移した。

桜木学園の敷地は約8万㎡ある。

学校はA棟、B棟、C棟と3つあり、学生寮がさらに3つある。

他にも体育館、グランド、その他色々ある。

天使がこの学園内にいる。しかし学園全体を探すのはさすがに無理がある。

この学園だけで隠れる所なんて山ほどある。

幸哉は、溜め息をつきながらA棟の校舎の屋上に来た。

見つかるわけがない。

その考えは直ぐに変わた。

A棟の屋上、黒銀の髪が印象強く、学生服からでもわかるスタイルの良さ、まさに美少女。

そして、風で捲れたスカートから見えた白い……


幸哉は頬を赤らめた。


その後に突き刺さる視線に気がつき幸哉の顔が一気に真っ青に変わった。


「……」


「い…いや……その、悪気があったわけでは……これは事故と言うか……ラッキーと言いますか……」


「殺す」


吹き荒れる風と共に姿を現す双剣が少女の両手に握らされる。

青く輝く二本の剣。

それを手にとり、幸哉に殺意を向ける。


「やばい……」




天使との再会。

そして、久しぶりに幸哉は死の危機を感じた。

◇クリーチャー


人間の記憶の欠片から作られ、消滅時、コアと言う宝石をドロップ。


◇コア

食券、記憶の欠片、武器などから形作られている。

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