轟雷怨VS超ロボット生命体
「そうは問屋が卸さん!」 オギン
「ハッ、クラッシュ症状からの一時的な復帰現象!まさかこんなにも早く!」
「シノービをなめてもらっては困るな」
「ダメだ!あんな叡智な奴らを相手に全員を守り切る力が今の私にはない・・・!すまんが、みんなの命をくれ・・・!」
キリっと敬礼をするリリー
「「「「「ところがどっこい!まだ可能性はゼロじゃないし!!!!!」」」」」
「はっきし言って、面白かっこいいし!」
それぞれのおのおのの自慢の姿形をしたキャリーバッグを引き寄せて、よっと背中に背負い込めばたちまちそれは今時カラフルなランドセルに変化!どことなくなんとなく車や飛行機や銃器の面影がある!
「コレをこうして、こうしてからー、こーうだぁー!!!!」
「「「「トランスモーフ!!!!」」」」ギゴガゴ
ランドセルを背負い仁王立ちになって、鍵を開けたままガバっと頭ごと両足の間に股のぞきのポーズをとると、あに図らんやランドセルの口が全開になり、中から不思議なパーツがあふれ出てくる。そのパーツが足元から組みあがり、全身を覆いつくしてなぜか巨大化し、超ロボット生命体の姿になるのだ!
「巨大化した!?」
「なんで?????」
「こういうもんだし」
「しらんけど」
「卵みたいなもんだし」
「サナギじゃね?」
「うっせぇわ」
「あれは!無頼シンクロン……」 テレス
「そぉよ!ウチら無頼のギャルよぉ!」
「「「「「無頼シンクロン・マキシマス!!!!!」」」」」
てへぺろダブルピースをキメる超ロボット生命体たち
「「「サイバーボットだしー!!!」」」
「「デストロイドでーす!!」」
「説明しよう!無頼シンクロン・マキシマスとは、何者にも動じることなく生きる心を持つものが、そのテンションをチョーサイコーにキメたときに発動する、乙女回路的なハーモニーである…!」
マイクを持つテレス
「乙女・・・?」ジャミラ
「最近の乙女はずいぶんやんちゃだな!」リリー
「言っていいことと悪いことがあるよ・・・特にリリー」 アキラ
「だが、すばらしいなんという不可思議怪々の快ロボット」 リリー
「こーゆーの昔『技術大国日本』が作ってたんだってー」 アントラ
「なんだそれ?国か?」 チャンドラ
「古代文明だよきっと」 アキラ
「ロマンですわ、ロマンチックですわ」
ギャルたちはたいそうご満足かつご満悦だ!
「えー?!なに、これくらいフツーだしー」
「うふー?スカートの中、気になっちゃうー?」
巨大ロボギャルたちはその巨体に似合わずミニスカートをはいているのだった
ほーらほーら、バッサバッサ
「や、やめ///」
「ほーらざんねん、ホットパンツだしー」
「あらぁざんねん、スパッツだぞー」
「ビキニだよ~」
「スク水だー」
「しまパンですよー」
「え?」
「いいのそれ?」
「しまパンは、パンツじゃないから恥ずかしくないもん!!」
負けじとバサバサとスカートをあおるリリーが、イライラしながらアキラを睨んでいる
「あ゛ぎら゛ぐぅ゛〜ん゛!」
愛憎入り混じった怨嗟の唸り声の徴発。すかさずリリーの下半身のフォローに入ったジャミラが、おおっと自分のローブをたくし上げているぞ!これは、これはどうなんだ!アキラ的にはありよりのありの様子だ!正直者には、姫からのお仕置きが待っているがいいのかアキラ!
「みんなやめないか!ウチのアキラは繊細なんだ!」
「リリー…!」
↑頼もしそうにアキラが顔を上げる
「私がパンツをわざと見せていることにも気が付かないくらいにな!(ひや)」
「リリー……」
↓己を恥じて申し訳なさそうにアキラがうつむく
「アキラさま、そのくらいの叡智、アキラ様のお年頃ならば普通ですわ、それに引き換えリリー様!はしたないを通り越して、嘆かわしいにもほどがある振る舞いでしてよ!そういうのは私がやるべきこと、一国の姫たるものが臆面もなくそのように振る舞って恥じらいはないのですか!」
「い…いや、私にだって恥じらいはある、恥じらいはあるが、こうも常々好奇の目線を浴びていれば、いたずらごころの一つも湧いてこようというもの、この程度ならと、前回はこの程度だったからこの程度までならと、徐々に互いの射幸心、好奇心を煽りつつ、高ぶる気持ちをふるい、ふるわせながらギリギリの限界を追求するというスリルとサスペンスを火曜日が来るたびに味わっていたのだ!ああ、ただそれだけなのだ!やましいことなどひとつもない!ああひとつもないのだ!」
「やましい心に満ち満ちている・・・」チャンドラ
「いやん、リリー様……」 アントラ
「トラブルダークネス・・・」 テレス
「あれ?ねえ、なんであの子動かないの?パワーをためてるとか?みんなすぐ変形したけど?」 アキラ
リュビーは鞄を閉じてじっと固まったままなかなか変形しない
「シーッ・・・・・・あれ間違えると、動物とかゴリラになるんだし、マジウケる!」
「言うと、マジギレするから聞こえないように、ね!」
「トランスモーフ!」ギゴガゴ
「あ、成功した!」 チョビ
「よっつ、待ってました、司令官!」 カンカン
「は~、こうするとねー、なんか、いい感じのアイデアが浮かんでくんの、聞きたくない?!」
「まじかー」
「聞きたくなーい」
「こりないよねー」
「いい加減、やめといたほうがよくなくない?」
「私にいい考えがある!」
「「「「聞けよ!!!!」」」」
「カセットロボを使うんだ」
「カセットロボ?」
「カセットロボもういないしー?」
「・・・大丈夫だ」
一度固まった後で、おもむろに二股の音叉を取り出すリュビー
「ディスクロボを使うんだ!このサウンドウェーブ発生装置を使って!」
「何だよそれ」
「どうすんだし」
音叉でディスクを叩き音を奏でる
コーン……
「いい音色だろ?」
「それもう誰かやったよね?」
「この私が遅い?この私がスロウリイ?」
「「「「イエース!!!!」」」」
うずうずしながらそのやり取りを見ていたシノービがしびれを切らす!
「「「「御館様!!!!」」」」
「応よ!」
「我らに満ちたる大いなる力、今、目にもの見せてやろう!出でよ!超自在変幻起動天守!下克城!!(ゲコクジョー)励起昇来!!」
地を裂き山を割り、今屹立するは覇道の極致!その名は下克城!闇よりいづる神威の城!
ああ天下泰平はここに潰えたり
波乱動乱戦乱の世が今開く
ああ悪のたぎりが唸りを上げて
野獣の触手が縛りを上げる
ロックオン処女!ロックオン処女!
乙女のカラダにピンチが迫る
悪のかいなをねじ上げて
ひねり巻き上げ背中をつるし
勢い大地へ組み敷いて
今立ち行くは下剋城
四海平安なにするものぞ
目に物見せんこの偉業
眉目秀麗流麗典雅
可憐清廉妖艶蠱惑
さあ手練手管で立ち上がれ
合業剛豪強、轟雷怨!!!!!
地面を突き割って出てくる鋼鉄の城、メカトロメカニック天守閣!
壱!弐!参!肆!伍!
三重の天守には数字が振られた五つのゲートが、今、解放の時を待っている!
御館が唱えるは、珍妙にも謎めいたる呪文
「驚け轟けひざまずけ、弱気に桟敷に正座して、やって来い来い滅禍雷怨!」
広げられたお白州にいつのまに正座させられた5人と5人と1人がはっと空を見上げる
発進する!滅禍雷怨!放たれたゲートから飛び出す五つの獣、いや機械の獣、だが機械獣ではない、滅禍雷怨だ!
黒雷怨!赤雷怨!青雷怨!緑雷怨!黄雷怨!
5色に色分けられたおのおのの雷怨がそれぞれ頭上を飛びかう時、たちまち飛び乗るシノービたち!
そして5人が同時に叫ぶ!
「「「「「レッツ・轟雷怨!!!!!(ゴウライオン)」」」」」
天空へと高く舞い上がる雷怨たち、五色の光芒が一筋の光と合わさって激しい閃光を放つ!獅子の雄叫びを上げたあと前脚をたたみ脚を伸ばし尻尾をたたむ一機!そして、前足をたたみ、後ろ足をたたみ、尻尾をたたむ四機!稲光を放ちながら空中でするどい銛のような陣形を組み逆Vの字型に並び、二機が脚に!二機が腕に!たちまちの内に変形していく!腕が合体し!脚が合体し!獅子の頭が口を開きそこから巨大な顔が現れる!五つの雷怨の口が次々と咆吼し、そして!けっこうおとなしめのスマートなポーズをとるのだ!!!!!(スン)
逆襲王!轟雷怨!
頭と手足に雄々しいたてがみがついた5体合体ライオンロボ!
胸には両側に合い合わさった二双鎖鎌のシンボルと真ん中に<忍>マーク!
さあ、戦いだ!
「お前ごときは素手でひねり潰してくれるし!」
「デストロイド、アターック!!」
素手と言いながらソンソンとスンスンが隠し持っていた青竜刀で斬りかかると、獅子の口でかみつかれ受け止められる。翻って距離をとると、轟雷怨の右手がうなり、拳が飛ぶ
雷・獣拳!
危ない!拳が地面をえぐり突き刺さる!鎖付きのロケットパンチがサイバーボットとデストロイドの間を切り裂いて貫き、その拳をギリギリで交わすギャル達
「こんなの切り落としてやるし!」
「あっ!」
引き絞られた鎖でたちまちの内に戻っていく拳
「六根清浄・・・六根清浄・・・ロックオン処女!」
ターゲットを確実にとらえるモニタ画面の表示、一つの赤いエラー表記を除いて!
手足のライオンの口から次々に発射されるミサイルの数々
うわぁーーーーーーっ!!!!
たちまち爆発に巻き込まれるリリー達、だが、一人を除いて!
やつらはロックオン処女と言っていたぞ、言っていたではないか!?
チャンドラにだけ、なぜか攻撃が当たらない!
「六根清浄・・・六根清浄・・・ロックオン処女!」
また来たぞ、ロックオン処女だぞ、チャンドラ!絶対に危ないやつだ、気をつけろ!
え?あ、ハイ・・・
危機感ゼロである
うわああああーっつ!!!!泥とほこりでまみれる4人、もちろん巻き込まれるアキラ
・・・くぅーっ、未だかつて乙女は生まれつき「しょじょ」として生まれてくれるという、チャンドラ!?どうした、なぜ無事なのだ?!お前は「しょじょ」ではないのか?!
ヤダナーヒメサマー(棒)しょ、「しょじょ」に決まってるじゃないですかー
や↓だ↑な→もう→姫↑様↑は→(棒)ふぅ↓う→!(棒) チャンドラ
だが、その切り通したシラのような顔をそこで見逃すテレスではなかった。が!特に誰に言おうともしないのがテレスだった。まるでアリの行列を分断し、水たまりと砂糖で翻弄するかの如きひとり遊び上手のテレスの独断はチャンドラにとって英断かはたまた断罪か!?かくしてここに、もしかしたらまさかね的なチャンドラの秘密は封印された!彼女の身体に過去、一体何があったのか!それはまた、別の話。
「トランスモーフするし!リュビー、ウチを使えぇい!」
ソンソンが巨大なガンモードに変形する、そこに4人が手を重ねてポーズをとる!
「今日からウチがチューゲンのニューリーダーだし!」
しれっと、一番後ろに陣取って喜ぶスンスン
4人が初期戦隊シリーズ必殺技調に叫ぶ!
「スーパーウルトラグレートデリシャスワンダルフルアンバサボンバー!!!!!」
まばゆい5色の光線がまっすぐに轟雷怨へと向かう、決まった!決まったか!だが!
雷・撃盤!
左手の獅子のたてがみが逆立って盾となりあらゆる攻撃を跳ね返すシノービの轟雷怨!
「バリアか!」リリー
「その通りだ・・・!」オギン
「分身殺法!轟闘死邪怒烏!」
湧き出でる亡霊のように増えていく白い影が周囲を囲い埋み尽くし、巨大なロボットの気配すらも消えてしまう
しかし、普段からノリで生きるギャルにはあまり通じない!
「ムムッ!見えた!そこだし!」
テキトーなノリで一閃!オレンジ色の斧で斬りかかったリュビー
獲った!ところが!
「おぉっと、そいつは暴流闘崙・・・偽物だ!(ニチャア)」
空蝉の術!崖に縫い付けられた巨大メカの影が泡のように溶けていく
「そろそろ止めといこうか・・・!あぁぁんっ!!」
「獣王剣!」
両腕で左・右と交互に突きを繰り出し、そしてㇵの字に腕を開きかがんだ上半身が腰だめの構えをとった後直立し、両手の指をそろえて前方へと伸ばし、眼前に平らに合わせ水平に開いていくと、光の剣が現れる!
「獣王剣・否素魔悪斗死!!!」
5人のギャルがまとめて車田飛びで吹っ飛ぶ!!!!!
「ぎゃん」
「ぐえ」
「タンマ」
「まっで」
「ダメ~」
トランスモーフが解除され、ギャルギャルしい勇ましさもどこへやら、もはや力を使い果たして青息吐息、息も絶え絶えの5人
「は、他愛もない・・・」
勝利を鼻にかけるシノービ
駆け寄るリリーたち
「も、もう・・・マジでダメだし・・・」
「そんな・・・さっき会ったばかりだぞ!それがこんな・・・こんな・・・・・・・・・・・・マージャ・アンって楽しいよね!」
ボロボロと泣くリリー
「ねえみんな・・・」
「うん・・・」
「・・・これ・・・とっておきだよ」
ギャル達がそれぞれ近くにいた相手に、首元からそっと秘密のペンダントを手渡す
「これ…持ってって…五翻、満貫だよ…」
それはマージャ・アン牌の役がそろったペンダント、「満」のペンダント
「ええ、その満願、必ず成就させてみせますわ!」
「親で決めるとキモチーんだよね」
「ふんふん3年B組!」
「跳」のペンダントがテレスに
「なかなかこんなのこないよ」
「溜めが必要なのは魔法とおんなじですー」
「倍」のペンダントがアントラに
「これで・・・キメて」
「約束しよう」
「役」のペンダントがチャンドラに
「そしてこれが・・・『天』のペンダント・・・!」
「天・・・?こ、これは!役がない…!リリー」
「天和だよ・・・・・・(ニコ)」
リリー達に手渡された瞬間、吸い寄せられるように合わさり星型に合体するペンダント
ギャルたち5人分の幾度となく繰り返された徹アンでたまっていたアンバサ力が解放され、皆の目前にアンバサゲートが開く
今際の際のギャルたちが声を振りぼって叫ぶ
「行くんだし・・・」
「はやく・・・しろし!」
足早にゲートをくぐるアキラと4人
ゲートの両縁をつかみながら背中越しに振り返ってジャミラが涙を流して言う
「さよならギャルさん・・・どうか死なないで」
「あいつらに任せてよかった?」
「・・・あいつらなら大丈夫だし」
「そうしろって囁くのよ、私の孔明が…」