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ゲートオブアンバサ~ツインテールはエビの味~

その傍らで、城内で流行中、爆笑必死のギャグで盛り上がる、リリー・チャンドラ・アントラの三人

ロングヘアを掴んでツインテールにして、ニコニコの笑顔でせーの、

「「「エビの味ー!」」」

「「「あはははははは!!!」」」

「それはひょっとしてギャグで言ってるのかーー」

アキラにはわからない世界が広がる

「今コレ、すっごい流行ってるんですよー!?」

「さすがは、宮廷道化師ケイ・ブンシャとダイ・ヒャッカ・・・!」

「はー、最高だ!うくくくくく・・・」

まだ腹をよじっているリリー

「んんんんん~~~~~!!!!!」

突然、走り出すリリー

「プルプルプル~!そーれトリプルアクセル!!!」

パンチラの嵐があたりに吹き荒れる

「純真純白天真爛漫か!」

「ま、色まではっきりご覧になるなんて、叡智…んふ、これは将来がご有望な芯の通ったモノをお持ちで…ワタクシの潜在意識が告げています…もしやこれは千載一遇の大チャンス!生身の男を身近に意識させることで女の妙味、乙女の恥じらいをしかと身に着けさせる好機なのですわ!あの少女ケニヤに!・・・はぁ、将来の王たるものとして辱められてはならぬと、独学で帝王学を学ばれた結果があの始末…皆がほとほと困り果てていたところにワタクシに白羽の矢が立ったのですが、ワタクシ、あの姫、リリー様に、女を仕込むために日夜、白夜のごとく切れ目なく、手練手管を手塩にかけて手心を加えずにご指導させていただいている、そのはずなのですが・・・おや?」

アキラの下へ駆け寄るリリー

「ここがどこだかわからなくてそんなに心配か?そんな小さな器のお前のために少しだけ、私の秘密を話してやろう。どうだ?知りたいだろう?私はな、実はな、少しでも威厳を保つため、常に肩にパッドをいれているのだ!どうだ?!なかなかの工夫であろう?見たいか見たいだろう?なにしろ私のお手製だからな!それで…お願いと言っては何なのだが、その…アキラの肩幅を見せてほしいのだ!で…できれば直に!もちろんタダではないぞ!ここだけの秘密、私の本当の肩幅をみせてやる!」

そう言うと、やおらチョーカー直結の肩バッドと短いマントをはずし上着をはだけ、胸元を隠しながら背中を嬉しそうに見せつけてくる。ドギマギしながらアキラも上を脱ぐと、喰い気味にこちらの身体をのぞき込んでくるリリー

「おお!同い年くらいでもやはり違うな!合わせてみてもいいか?」

あらわになった背中を合わせ、猫のようにこすり付けてくるリリー

「どうした?そんなに固くならなくてもいいんだぞ?いつもこんなに固くしているのか?大変だな、苦しそうで……こんなに固いのに、どうやってあんなに激しく転がってきたのか不思議だ。んっ…脈が速いぞ?!何かあったか?」

振り向きざまの2人の吐息が重なり合う

「リリー…」

「あ……アキラ…それは…!んんっ!!アキラ…!!すごくすごく歯並びが良いではないか!羨ましいぞ、私なんか見ろ!ここに一つ牙のように飛び出た歯があるのだ!竜のように雄々しいのはいいが、アピールポイントとしてはイマイチ力不足!だからこそ私は肩にパッドを入れることを思いつき、王としての威厳を常に保てるよう心がけているのだ!それからな、それからな……」

こうしている間、ノーガードとなった上半身前部の光景をアキラは密かに必死で心のストレージメモリに記録また記録していた。そして、この記録スペースを万が一のために、あくまで万が一の時のために、拡張しておこうと、タスクに深く刻みつけたのであった。

「ところで、私たちもだが、アキラはこれからどうする?」

「とりあえず家に帰りたいかな・・・?」

「私たちも城に帰りたい、つまりお互いの利害は一致していると言うことだな、さあはやく案内せよ、アキラ!」

「へ?」

「だから、帰り道を知っているのだろう!?

「いやさっき、急にパンツに・・・あの、知らないところに来たばっかりだから・・・」

「さあゆくぞ、みんな、ピクニックは終わりだ、帰るぞ!」

行きがかり上、先導するが、もちろん当然どこへいけばいいのかわからないアキラ

「ホントにこっちも行き止まりだ・・・」

壁があることを確認するアキラ

「だから、そう言ったではないか!・・・そうだ、アキラが転がってきた方向へ行ってみよう!私が大木を枕にこうしどけなく脚を開いて寝そべっていたところに、アキラがまっすぐに荒れ狂う野獣のように激しく突っ込んできたのだ、だからこっちだ!」

「リリー様、叡智にはお気をつけあそばせ!」

いったん木まで戻って方向を確認したのち、足を延ばしてたどり着いた先には不思議な模様が浮かび上がった白い丸いもやのようなものがあった

「どうだ?」

「不吉な感じはしない」 テレス

「さわってみろ」 

「霧でできた・・・膜のような感じがします」 チャンドラ

「ちょっとのぞいてみろ」

「町が、町が見えますー!」 アントラ

「リリー様、帰れますわ!」

振り向くジャミラたちだったが、その瞬間――

ワ゛ッ゛!

後ろからの大声に驚いてバタバタと倒れる4人と一人が、勢いで幕を通り抜けてしまう

「置いていくな、バカ者ぉ・・・」

とぼとぼと心細そうに一人歩いて幕をくぐってくるリリー

「君のせいだろ・・・」

幕をくぐりぬけると、そこはなんとアキラが元居た世界。

「帰ってきた・・・もうちょっと苦労するかと思ったけど、なんかアッサリだな・・・しかも、ウチの近所だ」

「なに?お前のウチの近所だと?!城ではないのか、近隣の町ではなかったのか?!・・・むむむっこれは!」

アスファルトをたたくリリー

「なんと!地面全体がこんなにも鋼のようにカチカチに固い!これは巨大な岩なのか?一枚岩にしても大きすぎる!」 リリー

ブロック縁石にこだわるチャンドラ

「このまっすぐな小さい石組はなんだ?なんの役に立つんだ?罠か?いやがらせか?」 チャンドラ

路面標示のダイヤマークを見て喜ぶアントラ

「え、地面にお絵かきしてもいいの?怒られない?怒られないのヤッター!」 アントラ

ポストにしがみつくテレス

「私はせっかくだからこの赤い箱を選ぶ!」

「皆さんよそのお宅のものに勝手に触れてはなりません、なりませんよ!まったく申し訳ございませんアキラ様・・・えらく太い柱のようなものが等間隔で・・・これは一体?」

アキラの世界に興味津々の一行

・・・おかしいな、さっきまで夜中だったのに・・・もう昼間だ・・・さっきから動いているものが何もない。車もバスも電車も自転車もそして人も。アンバサの自動販売機がある、間違いない、ここは田舎だ

「あ、コンビニ・・・」

これはもう現代人の性、そこにあったら当然のようにふらふらと吸い寄せられてコンビニに立ち寄るアキラと、後ろにててててと勝手についていくリリー

シーンとした店内をのぞき込んでみるも・・・

「あれ、誰もいない?自動ドアも開かない」

――忘れ物のビニール傘を見るリリー

「行こう」

「うむ」

しばらく進んだ先で、アキラがいつも見かけるアンバサの自動販売機に反応する一行

なあアキラ、さっきから同じような箱がいっぱい並んでいるんだが、あれは?

「それ?田舎の目印みたいなもんだよ」

「なんと!この立派な箱が田舎の目印?!じゃあアキラのところの都は一体どうなっているんだ?!この箱がいっぱいあるのか?」

「いっぱいあるよ――多分」

見たことないけど。絶対、中身が違うけどね!中身が。中身がさあ!こんなアンバサばっかりの自販機って!田舎でしかないよ、こんなの!

「それにしても人も車もいない、いったいどうなって・・・あ、ウチだ、・・・ってこんな大人数連れて帰れるわけないだろ!大体、僕は今籠城中なんだ、友達でもない知り合い以上友達未満の不審者ご一行を家に入れる理由がない!」

少年なりの浅知恵を絞り出すアキラ

「・・・ね、ねえ!このまままっすぐいってみない?出口があるかもしれないよ?」

「そうですわ!まっすぐ転がって来られたのですから、それをたどっていけば!」

「うむ、城が見えるかもしれないな」

まっすぐだ!とりあえずまっすぐ行って!えーと・・・どうしよう

「見ろ!見えたぞ、さっきと同じ白い粘膜だ!」

「言い方!その言い方が叡智ですわ!」

「ほら、確かめてみると意外にサラサラで肌触りがいいぞ」

「ホントだなあ」

「すべすべですー」

「ペロッ、これは乳酸菌!」

「ここが目的地ではありませんよ、皆さん。この向こう、大事なのはこの向こう側です!どうかお忘れにならないでください。」

「そう怒るなジャミラ、みんな分かっているぞ、なあ。」

「これ膝とか肘に良くないかな?」 チャンドラ

「踵とかくるぶしにもよさそうですー」 アントラ

「油断大敵、首の肌荒れ!」 テレス

「ホラ、な!」

「どこが、な!なのですか!たまにしかやらないくせに玉のお肌の手入れがどうとか、日頃やらないことはどうか城に帰ってから丹念にしてください!行きますよ、ホラ行きますよ!アキラ様も、ってうひゃあっつ!!」

アンバサのように白い幕の先に待ち受けていたのは、落とし穴のような異世界回廊だった。さて、アキラの運命やいかに?


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