白き清浄の泉<スーパー銭湯 北陸の秘湯 白泡美人>
――ついに、この奇妙な五つの世界は神竜聖ドラン王国によって統一された。正確にはその一部郎党によって制圧された。
なおアキラの家の周囲は真ん中に残っている模様
勝利を宣言し、高らかに勝ち名乗りを街宣で上げるリリー
「アンバサの民の皆さま、お騒がせしております!リリー・アン・バサダーです!ありがとうございます、ありがとうございます、若さと行動力のリリー・アン・バサダーです!ご声援ありがとうございます!アンバサを守るリリー!アンバサの安心安定の品質と安定供給を必ず実現してまいります!自転車の方、お気をつけてありがとうございます(自分の自転車にのるアキラ)!お車の方、安全運転でありがとうございます(ランダーに乗るジャミラ)!沿道からも沢山のご声援ありがとうございます(手を振るチャンドラ・アントラ・テレス)!私、リリー、リリー・アン・バサダー、アンバサのご加護を受け、必ずやアンバサのお役に立ってまいります!リリーをよろしくお願いいたします!今後も張り切って全力で頑張って参ります!」
はるか遠き天空を眺めリリーは独り言ちる
「そう、私はただの圧政を敷く暴君ではない。皆から慕われ愛される王でありたい。だが、争いの種となる力はひとまずこの身にあずかろう。そして、だから、ゆえに、今まで出会ったすべての民をここに開放する!」
「ええっ?」アキラ
「あの」 チャンドラ
「あれをー」 アントラ
「なかにはとんでもない者もおりましたが・・・?」 ジャミラ
「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて、おこがましいとは思わんかね・・・・・・」 テレス
「いざ、大解放~!!!!!」
アンバサのシャワーだ!シャンバンの栓を抜いたかのように、五つの世界に再びアンバサが降り注ぎ、悋気を鎮め、毒気を抜かれ、牙を捨てた、シノービ、メトロ、チューゲン、マジエル、すべての世界の住民が心も体もその頭脳も新たに今、甦った!だが爪はまだ残っているぞ!
復活の白いエネルギーの放出は温泉が噴き出したかのように見え、一同はそれぞれの世界から皆、同じものを見た。そして、皆が皆、なぜかこの世界の中心部、アキラの世界へと足を運ぶのだ!雄大なるアンバサを求めて!
だがその時、一転にわかに掻き曇り、空は群青で覆われた。まるでこの世界に蓋のように覆い被さる新たなる異世界!その中でうごめく青い影が5つ!
なんだ?!
アッツ真っ暗に!
有毒のぬるぬるとぬるぬるとしたぬるぬるの深く、重く、濃い霧が立ちこめる・・・
これが洗脳毒霧であることはいまだかつて、そしてこれからも誰にも知られることはないのだ
たちまち苦しみ、おかしくなる一同
「原液だ!原液を持て!もちろん瓶に入ったやつだ!」 リリー
「姫様、今はペットボトルしかありません!」 ジャミラ
「リッチな感じの濃いやつはいかがでしょうかー」 アントラ
「水で割ってしまえば入れ物など同じではないか」 チャンドラ
「3倍か、5倍か、それが問題だ」 アキラ
「贅沢するなら2倍!2倍!」 テレス
が、全員けろっと耐える
「あれ?今何か言ったか?大丈夫かみんな?!一瞬めまいがしたような気もしたが・・・何だか知らんがとにかくヨシ!!」
例の猫のようなポーズをバッチリ決めるリリー、大丈夫か、大丈夫なのか、大丈夫じゃないのか!?
「さあ帰るぞ、家へ!」
「家?」 アキラ
――長かった戦いが終わり、しかし、さりとて城へ帰ることも未だできない、結論的にアキラの家でゴロゴロと居候をするリリーたち
「枠のないふわふわのイス!くーっつこれだ、これ以上ない至福だ!はーっつ、最っ高―!お前をもう離さないぞ、ビーズクッションとやら!」
「姫様、低反発は私のものですからね、お間違えなく」
「私はやっぱり羽のヤツが一番だな、多少は歯ごたえがないと」
「水枕サイコー」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ま゛っさ゛あ゛じい゛ずーーーーーー」
アントラの汚い声が響く
リビングで連日開かれる女子会が今日も幕を閉じた夜半過ぎ・・・
コンコン!ガチャ
「どしたのリリー?」
年頃の女子がパジャマ姿のだらしない格好で男子の部屋を訪れる叡智を理解していない両者であった、だがその真剣なまなざしはまさに真空のようにアキラを吸い込んだ
「聞いて欲しいアキラ、この家には重大な問題があるのだ」
「重大な問題?」
「風呂が狭い」
「へ?」
「風呂が狭い!あれでは風呂ではなく、拷問器具ではないか!」
「いや、ごく普通の家庭の一般的な大きさだと思うんだけど・・・」
「足が風呂桶の向こうに届くようなものは風呂ではない!断じてない!ないったらないのだ!」
「ね、念のため聞くけど、どれくらい広かったらいいの?」
「泳げるくらいの広さがあってこそ風呂ではないか!常識というものに欠けているぞ、アキラ!」
「そういうことは、ホテル王に言ってね!」
「姫様!夜分に殿方のお部屋に猪突猛進するなどいけませんよ!十分、叡智ですよ!」
こう見えてチーム一の常識人なのだ
「イヤダ、風呂が狭いのがいけないノダ!」
だが!眠気まじりで拗ねて甘えるリリーの心中は、どうだ?この可愛さの前にはひとたまりもあるまい!といった打算と計算が暗算で渦巻くものだった!ジャミラ破れたり!
「あー、じゃあ、明日、銭湯とか行く?(確か、ちょっと離れたところにあったと思うんだけど・・・開いてるかな?・・・いやそもそもこの世界今どうなってんの?うーん、行ってみたらわかるか)じゃ、明日ね!おやすみー」
「お、おやすみ・・・・・・ヤッタ!何だか知らないけどやったぞ!」
ドアが閉まった瞬間、ピョンピョン飛び跳ねて喜ぶリリー
「よしよし、それを相手の目の前でやるともっと効果的なのですよ、と心の声で言いながら口では何も言わずに頭をなでるジャミラなのであった」
殿方を叡智な目で見ないで、下さ、い・・・ ジャミラ
翌日―――――!!!!!・!
看板<スーパー銭湯 北陸の秘湯 白泡美人>
名物、アンバサ風呂・アンバサウナ・アンバサミスト・バックトゥザアンバサ・シャワーリングインフェルノアンバサ
「どうなってんの?これ?!」 アキラ
はしゃぎまくるリリー達
「これ全部が風呂でできてるなんて!城の風呂よりもすごいぞ!」
「いやー桶でも十分なんだけど、このサイズはさすがにちょっと興味あるな」
「のちのち魔法で再現するためにも、隅から隅まで調べつくすですー」
「がんばれゴエモン風呂!」
「みなさん落ち着いきゃほー!」
「「「「やほーーーー!!!!」」」」
エントランスから受付を経て脱衣所へと一直線!
そして!ナチュラルにアキラが一緒に入りかけて、さすがに押し戻すリリー
「いいか、今のは決して私が淫らな行いに手を染めようとしたのではない、断じてその様な思惑はないのだ、日頃からの付き合い、そして労いの念を込めようとした結果、ほんの少し、ほんの少し行き違いが起きてしまい、わずかに過ちが行われかけるというゆゆしき事故が、そう事故が起こってしまっただけなのだ!そうだなジャミラ!」
「ええ、ご安心くださいリリー様、こちら混浴となっております」 ジャミラ
「「はぁ?」」
ハモるアキラとリリー
「アキラのバカ!アキラの世界はどうなっているのだ!男女が一緒に風呂に入るなど、一緒に入るなど、ちょっとは一緒に入りたいけど、これ本当は入っちゃだめなやつのはずだろ!どうなってるの!」
「い、いやボクにもちょっと何が何だか・・・スーパー銭湯とかあんまり来たことないから」
「何?スーパーだと?・・・そうか、スーパーなのか、スーパーならばしょうがないな、スーパーなだけに男女が混浴してもしょうがないと言うことなのだな!そうか、わかった許そう!タトゥーはだめでもロシアンアイドルはだめでも混浴は許そう!何しろもう家族みたいなものなのだからな、そうだ!これは家族風呂だ!家族なら一緒に入っても何の問題もないな、そうだな!」
「へ?」
「目玉を渦のようにぐるぐる回転させながら顔を紅潮させてアキラの背中を強引に押し込んでいくリリー」
――脱衣所にて
ぼろんぼいん!!
「え?」
「ほぅ!」
「あ!」
「フン!」
「お前…そんな身体をしていたのか…」 チャンドラ
「な、なんですの、藪から棒に失礼な」 ジャミラ
「いっつも真っ黒だから、わかんなかったけどやば!すごーい」 アントラ
「だらしねぇな」 テレスが腹の駄肉を見てつぶやく
「ハイハイ、脱いだ皆さんはさっさとお風呂場の方へどうぞ。アキラ様も、いつまでも固まっておられなくて結構ですよ?もっと自由に!」
フーン♪フーンフーンフーン・・・♪
「油断するといつもはガマンしている何かまでうっかり出てしまいそうな、この開放感…叡智ですわ」
ザザッ・・・表に怪しい影が立ち並ぶ
そして早くも、ガラララッ
「邪魔するぞ」
えっつ!シノービの方々!
ジャミラが亀甲縛り鎖バニーを見て一言
「普段からその恰好なのですか?」
「・・・言いたいことはそれだけか!」
さすがに怒気をはらませながら答える御館、その背後で言葉なく笑いながら赤面する4人
「いえいえこちら、お風呂ですので、脱がれますよね?ささ、どうぞどうぞ」
「ふん、お前たちのものでもあるまいに、勝手に入らせてもらうぞ」
大事なバニーイヤーを丁寧に外す御館
そして、おのおの忍び装束を脱ぎ捨てて、引き締められ張り詰めた弾けそうな体をさらして、浴場へ向かいそのスラリとした肢体を濡らすシノービたち
「はぁ」 頭
「へぇ~」 上
「ふん」 中
「ひっ」 下
露天風呂があると思いやってきていたシノービだったが・・・
「想像していたのとは少し違ったが、なに、実に快適」 オギン
そうこうしている間に、しぶきがまだ立ち上がっているのを目がけて、チューゲンの銀髪赤目褐色ギャルが、徹アンの疲れを癒しに来た。疲れないんじゃなかったのか?
「今日はトップのウチがおごりだし!」
「え?お金いるのココ?」
「タダだから来たんじゃなかったっけ?」
「え、マジ?やばくない?財布とかないんですけど?」
「アキラのとこだから多分、大丈夫でしょ、ウチらだったら顔バスは固いね!」
「じゃーん、ここぞとばかりに拾っておいたタダ券だし!」
「「「「「どやどや~~~~!!!!!」」」」」
「いやー、なんかいい感じのスパがあるって聞いてー」
「ほらこれ!シャワーリングインフェルノだし!」
「バックトゥザアンバサはヤバいっしょ!」
「「「「「はやくはやく!急げ!脱げ、脱げ!はい、歩いていきまーす!ご安全に~!!!!!」」」」」
脱衣所の下りもそこそこに、早速、チャイナドレス跡という謎の日焼け跡をさらして浴場に突入するギャル!
「ね~!何あのやばい噴水、チョーやばかったし」
「あれは間欠泉だよ、ワトソン君、ふふん~」
「ノンノンノン、モナミ、あれは間欠泉ではありません」 どやあ
「じゃあ何だっていうんだしポワロさん?」
「メントスアンバサのしぶきに決まってんだろー!」
「行くぞ、オマエラ~!」
「「「「「みんなおまたせー!!!!!」」」」」
「ふふーん、で、アキラどこ?混浴でしょお、ここぉ?」
「ねえ、耐えられるかな~?」
「耐えられるって何に~?」
「え?それは~ウチらの魅力に~?」
「いや~ン負けたらどうなるのぉ~?」
「「「「「アーキラくーん!あーそーぼー!!!!!」」」」」
「早く風呂に入ってくれ・・・」
洗い場の影で耐えている、やはり耐えているぞ、アキラ
「よいですか、此度はあくまで偵察が目的、くれぐれも無用な争いは起こさぬように」
「わかっております、プルト様。ですが、それ以前に全員やはり重度のアンバサ不足でして、今すぐにでも補給をしないと、基本動作すらままならない状況ですので、ご心配されるようなことは何も・・・そうだな、レッダー」
「オレの身体がなんだって?今すぐにでもドカンといけるぜ?」
「口から蒸気が漏れているぞレッダー、ジョーヌも気をつけろよ、髪質が悪いぞ今日は」
「あなたのお口も潤滑が不足していてよ、ブラオ」
カツーンカツーン、高音が湿気の中でこだまする足音!そして相変わらずクルっと回るツノがピタッと止まり…
「失礼いたします」 プルト
「邪魔するぞ」 ムゲン
「おう、来てやったぜ感謝しな」 レッダー
「ふ、まあまあだな悪くない」 ブラオ
「なかなかにかわいらしい施設でしてよ」 ジョーヌ
「あ、あのー、メカの方々にお風呂は必要なのでしょうか・・・」
湯船の中からジャミラが思わず問いかける
「ぁあん?アンバサの補給に来ただけだろうが」 レッダー
「ええ、その通りです」 プルト
「われらの無限大のエネルギーもやはり燃料がなければ」 ムゲン
「というわけだ」 ブラオ
「でしてよ、たっぷり吸収させてもらうから覚悟なさい、ふふ」 ジョーヌ
「では、失礼いたします」 プルト
するすると湯船に足を踏み入れるプルト達
吸収って、ここお風呂なんですけど・・・ ジャミラ
んっ
湯の中で足を開いてつま先立ちでしゃがみ込み腰に力を入れてそらして片手をそっと美しい曲線を描くヒップに添えるメトロの完全生命体
水面に渦が巻く!掌に搭載されたアンバサ圧縮装置で液体のアンバサを高粘度のアンプル状の粘液と化しているのだ。そして、まさに股間に何の問題もなく設計されているエネルギー吸入口から自ら手ずから自ずからそっと挿し入れる!
アッーーーーー!!!!!
まちがってもこれは絶頂ではない、完全生命体なのだから!絶対にピンク色のパイナップル的な絵面では全くないのだ!
「こ、これは・・・ぁっん」
「ふぅふぅふぅふぅふぅふぅ」
「ちょっとヤバかったぜ、へへへ」
「ふぅううううう」
「あっへぁあああ」
あっ!ジャラミが倒れた!アンテナも折れた!
だが当人達の切り替えは早いはずだ、メカだけに!
「よぉ軟弱者!今日は元気か?」
洗い場に隠れるアキラに無理やり近づいて腰を据え、絡みにかかるレッダー
「や、やあ、腕白者・・・その・・・」
メカとはいえ裸体が急接近することに驚きと喜びと心細さとを感じるアキラ
「なんだ?」
「今日は体の模様がないんだね」
少年の目は鋭い。
「ああ、これか、熱が高まると消えるのさ」
つまり水玉が消えて裸になるのだ
「いや実に想像以上の熱さだよ、少年」
「こんなに熱くては、アタクシの自慢のものもしぼんでしまいますわ」
「お前の自慢のものはどうだ?なぁ軟弱者、えぇ?いうほど軟弱なのかぁ?」
突然、テレスが言葉を放つ
「上からくるぞ、気をつけろ!」
「「「「「どいて、どいて~~~~~!!!!!」」」」」
テレポートでこの温泉施設の上空に直接、現れ、高い天井を突き破って落っこちてくる魔女っ子たち
大きな噴水が湯船の中に上がる、天井が突き破られたせいで日光が指し、逆光が生え、虹がかかる。
とっさにリリーをかばう御館・・・だったが相手に気づかれる前にそそくさと離れ、一人気をもむ。それを目撃しながら、あらぁ、と一人怪しげな妄想にふけるジャミラだった
まさかテレポートがこんなに難しいとは・・・トホホ
ハート型のブローチを手にしたモモが嘆く
「「「「「さて!!!!!」」」」」
「イタダキイタダイタ ジバラハイヤンイヤンイヤン」
「ピンキータッチでゼネコン下請けさんになーれー」
「オーライオーライ」
まさに急ピッチで魔法による修復作業が進む
鉄骨が、屋根が、天井が、壁が、断熱材が、照明が、屋内設備が、浴槽が、床下配管が、みるみるうちに元通り
「ねー、落ちてくるのが私たちでよかったでしょー!?」
裸マントはヘルメットをかぶって現場監督をしている!風呂場に違和感のない服装、これがTPO!
作業を目で追ううちに目と目が合ってしまう二人、リリーとオギン。吸い寄せられるように、湯船の中を近づき胸のタオルと鎖を突き合わせる
「なんだ、我慢比べか?いい度胸だ」 リリー
「こちらが負けるとでも思っているのか?溶岩風呂でもまだ足りぬくらいだ」 オギン
「行くぞ!」
「応!」
ザバン!!だが・・・アンバサ風呂の効能効果効力は二人の想像をはるかに超えていた!
「さすがに無理だな」 リリー
「ああ・・・」 オギン
そそくさと立ち上がる二人
「熱い・・・熱い闘いだったな・・・」 リリー
「覚えているぞ」 オギン
「それだけ遠くにきたということだな、お前も、私も」 リリー
「手を差し出すリリー」
「なんだ、この手は」 オギン
「よいではないか、握手だ」 リリー
「ふっ…」 オギン
ぺちんと二つの愛らしい手が直に交わされる、かと思いきや
ニヤリ・・・ぐいっ!バシャーン!手を引かれ湯の中に突っ伏す御館
「わはははは、引っかかったなぁ?」
「おのれ…」
ブクブクと浮かび上がってくる御館
「ふははは、いつものリリーは許しても、大胆リリーが許さない、うらんでつらんでひねくれて、まだ思い出すあの痛み!これは逆鱗牙の分!・・・かわいそうな逆鱗牙、でもこうして混浴温泉施設が立派に出来上がりました」
「・・・一体、何の関係があるのだそれに!」
ふん、と、順光で仁王立ちするリリー!見える!
そしていきなりしゃがんで両の手を組み合わせキュキュっと水面で締め上げる!
「今、復讐のアンバサスプラッシュ!」
できる人もできない人もいる水鉄砲だ、これがアキラの分!
「ふう、何かと思えば…」
子供の遊びに付き合う親御さんのような顔をして、オギンが今軽く本気を出す
「本物の水芸とはこのようなものよ!シノービ忍術!水龍大瀑布!ちなみに、生身でキサマとやりあったのは私ではないぞ!」
温泉中のすべての水を練り上げ干上がらせて巨大な水龍、いや白龍と化し、リリーにたたきつけるオギン
「ふへ?」
ちゅどどどどーん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
当然、巻き添えをくらい、押し流される全員。そして誰もいなくなった
「やれやれ、今日は忙しいなあ・・・」
穴の開いた壁を見つめて工程表の修正をしながらヘルメット姿の裸マントがつぶやいたとたん、オギンが憂さ晴らしに残っていたお湯でぶっ飛ばすのだった
湯はかけ流しなので適宜補充されます。センサー感知識で常に適量、適温が保たれ、自動清掃ロボットが、愛すべきお客様に、ハートフルな今日と最高の笑顔をもたらす!最高、最新式の温泉施設、その名も白泡美人!ご予約はこちらまで!→■
体を洗っていたアキラが湯船にやってくる。頭を洗っていたので何も気がついても聞こえてもいなかったのだ
「あれ?みんなどこいったの?」
無人となり、空になった湯船でアキラと二人きりになるオギン。ほとんど裸の相手とほとんど意中の相手、互いの理由で目が合わせられず、壁の大穴に向かって並ぶ二人
「あ、あの時以来だな…二人きりになるのは…」
「えーと、あの時って、あ!あ!そうだね、久しぶりだね!こんな格好じゃなかったと思うけどね!」
「ふふ…そうだな」
「鎖はつけたままなんだね」
「そうだったな」
ジャラララッと解き放ち裸身をあらわにするオギン。そして、際どい所を覗こうと振り向いた・・・かのように見えたアキラの顔に足下に残っていたお湯をぶっかける
「バカ者・・・見たければ堂々と見ればよいのものを・・・」
「女だけが捨てられるシノービの里・・・不要とされた婦女子の掃き溜めとなっていたあの里にお前がやってきた時は、みなが救いの希望を感じたというものよ、何せみんなカップリングで腐っていたからな・・・これで、閉ざされたこの里も何かが変わると思えた。だが今になってみれば分かる、閉じていたのは私たちの心だったと」
「やはりこれまでの非礼を詫び、礼を言わねばなるまい・・・・・・私の名はオギン」
「ボクはアキラ」
「なぁアキ・・・」
「ねえオギン」
…オギン!?
ドキン!!!!!?????
いや、その、あの…えっと…えへへ…
名前を呼ばれだけでドギマギして、ふにゃけちるオギン、これがシノービの御館の姿!
「ところで気になってたんだけど」
「ど、どうした?」
汗と冷や汗とを同時にかきながら、必死に冷静をよそおって応えるオギン
「尺八ボウガンってなんなのあれ?」
「・・・なんだ、主殿は尺八をご所望か…ふふふ…かまわんぞ、尺八でも口吸いでも四十八手でも!」
前を隠していたタオルすら打ち捨てて、浴槽の底に這いつくばり、四つん這いでにじり寄り、甘い吐息を漏らしながら唇をなめ淫気を増して目をピンク色にたぎらせて近づいてくるくノ一!まさにメスの所行!深夜に放送されるビデオシネマもかくや!すでに全裸だ!
気配に押され座り込んでタオルでまたぐらを隠しながら風呂の縁を後ずさるアキラ
「あわ・・・あわわわわわ」
オギンの顔が思わず近づく、何に?何かに!
「ほお、ずいぶんとかわいらし…いや…」
立ち上がって横を向き
「け、けっこうご立派なものをお持ちで…」
――アキラそこちょっと代れ!!!!!
「は、は、激しい叡智の気配!近いですわ!強いですわ!いけませんわ!」
あふれ出る白い濁流の中をタオルを確保しながら片手クロールで遡ってくるジャミラを先頭にリリー達、そしてギャル達、プルト達、魔女っ子達、
――さーてラスト一本、タイムいくぞー?!