アンバサA対ピンキナーガ
「いいわよ、どっちが本物のアンバサの使者か、勝負よ!」
「アンバサファイト!」
「レディー!ゴー!!」
アンバサA対ピンキナーガ!巨神と巨神が今、その力を決するがためにガッシと組み合う
文字通りのロボットプロレス!!力比べから始まるのがお約束だ!
おおっと、相手の片腕を取ったピンキナーガが、アンバサAを青いビームロープに向かって投げつける!そして、ロープの反動を生かして戻ってくるアンバサA!腕を振りかぶっているぞ!待ち構えるピンキナーガもその腕を構える!激突――っ!おおっと、ラリアットの交錯でダブルノックダウンだ!!
勢い立ち上がる両者!
「みんな距離をとれ!」
「「「「はい!!!!」」」」
「足下を狙え!」「アンバサビーム!」 アントラ
ピンキナーガの動きを牽制で動きを止めるアンバサA
「今だ打て!」「ガトリングアンバサ!」 チャンドラ
思わず飛び上がったピンキナーガに向かって、手首からミサイルが連射される!
「アンバサバズーカー!」チャンドラ
追い打ちとばかりに打ち込まれる腕に仕込まれた火を噴く巨大バズーカ!ピンキナーガのダメージは大きい!
「超アンバサハンドスピナー!」 ジャミラ
そしてこれは新機軸!ピンキナーガの懐に急接近して近接戦に持ち込み、掌に仕込まれていた回転翼が展開し、ロータリーカッターのように相手を切り裂くのだ!
「超アンバサケンダマジックコルト!」 テレス
おおっとこれはどこかで見たことがある!吹っ飛ぶ相手に追い打ちをかけんと、腰の二丁拳銃の電撃けん玉ガンから球が勢いよく発射され、ピンキナーガをコテンパンに打ちのめした後、絡みついて電撃を発し、パイロットの骨が透けて見えるのだ!シビビビビビー!!!!!
「やるわね、こうなったら!奥の手!」
「星辰の彼方!虹彩の渦より来たれ!魔双剣クレオス!そして!クレメス!」
五重の虹のリングがピンキナーガの頭上に現れ、中から長短二本の剣が降ってくる
「これこそは伝説にうたわれし、雌雄二振りの大魔法剣!」
「剣が!」ジャミラ
「2本!」テレス
「降ってきましたー!」アントラ
「卑怯な!」チャンドラ
「絶対強いやつではないか!」リリー
振りかぶられた右手の雄剣クレオスが大上段からアンバサAに斬りかかる!ハンドスピナーでかろうじて受け止めるアンバサA!だが続けざまに、左手の雌剣クレメスが脇腹をなぎ払わんとする!おおっと、けん玉のタマが発射され、ピンキナーガの腕に絡みつきそしてすかさず電撃を与える!思わず距離を取ったピンキナーガだったが、体勢をたちまち立て直し、両手の剣を回転させて雌雄のコンビネーションアタックだ!上上下下左右左右BA!そして止めの回転飛来剣、両腕をクロスして解き放たれた雌雄の剣が左右から同時にアンバサAに襲いかかる!右か!左か!撃ち落とすならどっちだ!バズーカが火を噴く!狙いは左のクレメス!質量が軽い分、今の攻撃で軌道は逸れた、だが右のクレオスが残っているぞ!どうするアンバサA!アンバサビーム!だがそれをものともせずに迫るクレオス!ガトリングアンバサ!ダメだ、切り払われる!今、正面からまっすぐに飛んでくる大剣!アンバサAの頭部が真っ二つに裂かれんとしたその時!まさに激突寸前で止めた!真剣白刃取りだ!掌のハンドスピナーで相手の力を相殺して両手で挟み込んだのだ!だが相手は魔剣、はじき返し受け止めたそばからたちまち相手の手元に戻っていく!
「まだ抵抗する気?」
「それならこうよ!」
「クレオス!」
「クレメス!」
「相思・相愛!」
雌雄二本の剣が今、ここに合体して一つになる!
「これぞ極天を彩る無敵の剣!」
「「「「「決魂剣!グレートシンギュラリティイマジネーションクレオス!(サンライズパース)」」」」」
「名前が・・・!名前がクレオスになったぞ、アキラ!あれだな、両性の合意の下に結婚したにもかかわらず、どちらか一方の姓を選ばないといけないからと体裁を繕いながら、事実上、夫の姓に変更されるのを余儀なくされるというアレだな!(どや)」
「時々、社会事情に詳しいな・・・」アキラ
「私もその・・・ァッん!!!・・・ァキラとその・・・する・・・することになったら・・・セ・・・セ・・・・・・選択的夫婦別姓というモノについて真剣に考える必要がありそうだな!!(きゅんどや)」リリー
いけません叡智はいけませんというモールス信号のように激しく上下するジャミラの叡智アンテナにひとときの平穏が訪れたのだった
「ガイアノーヅ・メガ・ザブ!」
アンバサAの成形色がグレーの下地に塗り上げられていく
せっかくの色分けカラフルボディが!
「ターミヤ・エアーブラッシング!」
この大面積が一瞬にして!
「ジタデル・レーザーペイント!」
細かいところまで、精密に塗装されていく!
「ガムダンマーカー・エクストラスラッシュ!」
細やかなペン先がまるでメッキのように機体の各部を彩っていく!なんと!スミイレまで!
「トップコード・フィニッシュ!」
「「「「「うわぁぁーーーーーーーーーーーーーっっつ!!!!!」」」」」
「さあ、いい加減に観念なさい!」
「もはやアナタは一歩たりとも動けない!」
「手も足も出ないとはまさにこのことね!」
「そのまま立ち尽くして朽ちるがいいわ!」
「そう、ショーケースの人形のようにね!」
「・・・人形?まさか!葬祭少女メイデンを製造販売しているメーカーとは・・・?」
「へぇ~よい子たちみんなを新しい世界に魅了しようとしたあの名作キットシリーズを知っているなんて見上げた心がけじゃない…(倒れたアンバサAを見下ろしながら)」
「注意しろ、見下ろされているぞ!(見上げながら)」
「ふふふ、さあ大変ね・・・」
ミンキナーガの肩から、アンバサAを見下ろす愉悦に浸るランゼ
だが、ランゼの裸マント、いやローブをまとった姿を見て驚くリリー
「き、きさま、もしやあの闇商人!」
「そうよ、この番台見忘れたか!」
ドン!自分の前に商売の時に使う赤いロゴ入りの番台をマントの中から出してみせるランゼ
「おのれ!メーカー自らが闇商売に手を出すとは不埒不届不快千万!標準ヤスリも高番手になろうかというもの!おかしいと…おかしいとは思っていたぞ、流通の絶対量に対して闇ルートの商品が多すぎるとな!」
「マニアにしかわからない着眼点ですわね…マッタク」
「リリーは被害者だ!それに趣味に、ホビーに貴賤は無いんだ!」
「アキラ!」
その目はキラキラと!しかしこの機を逃すかと、瞬時に、スッと真顔になってリリーが言葉を放つ!
「…今度、衣装メーカーのナゾンについてじっくり語らせてくれ!さらに大スケールならロビツ!超高品質ビッグスケールならオークスだ!!どうだ?!覚えたか?!オークスの本社はな、なんと古の都にあるのだ!それからそれから・・・(きゅん)」
「わ、わかった…わかったから…・・・しまった…想像以上の厄介オタクだ」
「やっちまったなー」
「タイヘンダネー」
「見えない世界の扉が開く」
「どうぞお二人で仲良くまったりと、お茶の用意ぐらいは致しますわ(んべー)」
「で、どれ?」 モモ
「え?」
「どれがいいの?お気に入りのキットの一つくらいはあるんでしょう?!」 モモ
「ハッ!!!そんな、一つなんて・・・一つなんて選べない・・・選べない、けど!・・・あの・・・これから作ろうと思って積んでいる、あの・・・」
今までの窮地がなかったかのように、顔を明るく高揚させて高ぶる思いを抑えきれないリリー、だが、その時!
「何?!積んでいるですって!!!」 アッコ
「アナタよくも高尚にして気高く崇高なメーカーの志に泥を塗ってくれたわね!!限られた生産ラインと製造ノルマ、常に迫り来る納期、そして苦渋の決断!発売延期のお知らせという艱難辛苦に耐えて悶えるメーカーの誠意を踏みにじったわね!」 ランゼ
「・・・裏切ったわね!パパと同じで私を裏切ったのよ!」 サリー
「たとえ再販したとしても、それを買う資格は、アナタにはないわ!出禁よ!」 メグ
「そ、そんな・・・再販してくれないのか・・・?」
「許ざん!!積みプラなど万死に値する!!世にあふれた積みプラの亡者どもよ!その目を見開いて己の迎える最後の様を焼き付けるがいい!!もはや情け容赦も仁義も無用!!」
「GSIクレオス!修羅場モード!」 アッコ
「剣が別れた!」 チャンドラ
「せっかく結婚したのにー」 アントラ
「今、世の中の離婚率は、三組に一組!離婚はもはや当たり前と言ってもおかしくはないのだ!(どや)私とアキラとなら大丈夫だと思うのだが・・・(きゅん)」リリー
「皆そう思って結婚するのですよ、リリー様・・・」
「・・・社会事情にやたら詳しいな」 アキラ
二つに分かれた剣の間から膨大なエネルギーがあふれ出す!
「絶縁剣!不和断絶!」
目の前を打ち抜くプラズマがごとく、互いの一挙手一投足に嫌悪を抱き不満をたぎらせストレスが脳天をかけめぐり、落雷のごとき速さで青い紙に判をつくように相手をバラバラにする永遠を誓って結んだはずの縁を絶ち切る絶縁剣!!
「さあ、今生の別れを惜しむがいいわ・・・」
「「「「「離魂理由第一位『『『『『星核の風威血』』』』』!!!!!」」」」」
「「「「「ぐわぁあーーーーー!!!!!」」」」」
絶体絶命の窮地!合体が強制解除されバラバラになってしまったアンバサA!
リリーが叫ぶ
「あぁ・・・母なるドランの地の聖なる竜よ、竜よぉ~お前の運をくれぇ~っ!」
その時、バラバラになったアンバサマシン、その配置、配列は五芒星を描いていた!
心をつなぐ電撃の光が五機を星形に形どる!
これは・・・ググっと力を入れて向き直るリリー
「キサマが悪事をなすのなら、こちらがすることこれ善事、これは、これこそは、超善事!
超善事トラァーーーーーック!!!!!」
叫ぶ!
魔方陣を組んだアンバサマシンから、突然、飛び出してくる巨大デコレーショントラックがドラゴンの意匠をまとい、ミンキナーガに直撃する
ただ一度のみ許された、魔法の壁すら乗り越える禁断の究極防御無視の絶対即死攻撃が今、入った!
その影はまさに、竜!百歩神拳!実体無きエネルギーが、襲いかかる神竜の姿をまとい、相手の胸中へとえぐり込むように飛び込み、そして唸りとともに一瞬で命を奪う!
「「「「「きゃあーーーーーーぁぁぁっつっつっつ!!!!!」」」」」
一瞬、一瞬の出来事であった!
シーーーーーン
苛烈、熾烈を極めた戦いの決着とするには、あまりにもあっけない幕切れ、唖然呆然とする最期、巨大ロボごと消え去った魔女っ子たちの影をまだ追って、リリー達の神経は張りつめていた。
そして、やはりアンバサAには最後の試練が残されていた!