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「傘」貸してあげる  作者: 椿 桜
お姉ちゃんを取り戻す
7/8

一変した日常

「私は、柊 小春。

 この学校の地縛霊で貴方の力を貸して欲しいの」


もう一度聞いても意味が分からない。

地縛霊?目の前に居るのに?

私には、霊感はない筈。

今まで、霊が見えた事は無い。

そんな冗談を聞いている状況じゃないのに。


「あの、地縛霊だか何だか知らないですが

今は、そんな冗談を聞いている場合じゃないんです。

私のお姉ちゃんが危ないんです!」


正直言うと、お姉ちゃんの話も

今朝の光景を見るまでは半信半疑だった。

だって、物語で起きるような事が現実で起こったなんて

にわかには信じられなかったから。

でも、お姉ちゃんの怯えた姿は

演技じゃなかった。


だから、もっと真剣に向き合っていたら

こんな事にならなかったかも、、、


手遅れかもしれないけど、もしかしたらまだ間に合うかも。

今は、この訳の分からない人の相手をしている暇はない。

私は、お姉ちゃんが居た場所に戻ろうと背を向け歩き始めた。


「待って!!貴方のお姉さんを救う方法を私は知ってる」


その言葉を聞き、私は足を止めた。

お姉ちゃんを救う方法を私は知らない。

あの場に無策で行くつもりだった。

助けるどころか私も同じ目に合うかも。


この人をまだ信用したわけじゃない。

でも、藁にもすがる思いで話だけでも聞いてみようかな。


「その話は、ほんとですか?

 ほんとに、お姉ちゃんを救う方法を知ってるんですか?」


柊さんの方を、真っすぐに見ながら私は尋ねた。

柊さんは、「場所を変えましょ」と一言だけ。

この場に、これ以上長居するのが危険なのは私も同意だったし

冷静さを取り戻した今、この学校の空気の異常さに気づいた。

お姉ちゃんの事で、頭がいっぱいで気づかなかったけど

身体が重すぎる。

異常なほどの重力を感じるんだけど。


「私の家で続きを話すのはどうですか?」


柊さんは、何も言わずに頷き

二人で、家に向かう事に。


校門を出た時、先程までの身体の重さが嘘のように消えた。

振り返り、学校の方を見たらその景色に全身が震え

恐怖で私は全速力で走り出していた。


まず、学校の周りは明るいのに学校だけは真っ暗だった。

雨も学校にだけ降っていた。

まるで、学校だけ別空間のような。

そして、何より土曜日の昼前で人が一人も居ないのはおかしい。

学校だけでなく、私が今居るこの場所さえ『異質』だ。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

一秒でも早く家に帰りたかった。

柊さんは、置いてきちゃったけど地縛霊なら

何とかする筈。

ん?地縛霊って離れれないから地縛霊なんじゃないの?

全族力で走りながら頭もフルで回して考えて気付いた。

でも、場所を変えるの提案したの柊さんだよね?

は?どういう事??


そんな事を考えながら走っていると家に着いた。

急いで玄関の鍵を開け家に入った。

鍵もちゃんと閉めて。

リビングに入り、ソファに倒れこんだ。

朝から色々ありすぎた。

お姉ちゃんを失い、地縛霊を名乗る柊さんに会い

その他にも、信じられない光景を目の当たりにしてきた。

夢みたいな出来事すぎた。

寝て起きたら、全て無かった事になってないかな。

そして、私は眠りについた。

「いつまで寝てるの」


誰かの声が聞こえる。

誰だろう。

どのぐらい寝たんだろう。

目を開けると目の前には柊さんの顔があった。

うわ!?

って、え!?

私の身体から、柊さんが生えてる!?

え、何?どういう状況??

困惑している私を見て、柊さんは溜息をついた。


「貴方ねぇ、6時間も眠っていたのよ?

 外を見てみなさい。薄暗いわよ」


柊さんに言われて、急いでリビングのカーテンを開ける。

ほんとに、外は薄暗かった。

次に、時計を見た。

時刻は17:25

そんなに、私は。

眠っていたの。。。


そして、柊さんが目の前に居て

お姉ちゃんが居ない事で朝の出来事が

夢ではなく現実なのだと突き付けられた。


あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘…


私は、地面に膝をつき頭を抱え叫んでいた。

声にならない声が、家中に響き渡る。

柊さんは何も言わず、私の背中を擦ってくれた。





大変お待たせ致しました。

「傘」貸してあげるの第二部が開始となります。

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