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「傘」貸してあげる  作者: 椿 桜
学校の噂
3/8

託された思い

次の場所は、教室ね。

教室には、女生徒一人しか居ない。

放課後かな。

女生徒は、外を見ていた。

外は、雨が降っている。


きっと、傘を忘れたんだね。

という事は、、、

この後に起こる事を見なくても

分かってしまった。


私が見ているこの夢は

過去に『…』の被害にあった人達の記憶なんだと思う。

私に、何かを伝えようとしている?

誰が?何の為に?


考え事をしていると

シャ―――――と音がした。

誰も触っていないのにカーテンが閉まっていく。

女生徒は、恐怖を感じ走って教室から出ようとする。

が、ピシゃっと教室の扉が閉まる。


「何処行くの?」


女生徒の背後から声がする。

女生徒は、恐る恐る振り返る。

そこに居たのは、消えた二人目の女生徒だった。


(分かりにくいので、この夢の主人公 女生徒を女生徒A

消えた女生徒を女生徒Bと呼ぶ事にします。)


先程まで、教室には女生徒Aだけだったのに。

音もなく突然現れた。


「な、何で?■■■がここに居るのよ

 転校したんじゃないの?」


幽霊でも見たかのように怯える女生徒A。

怯えながらも、何とか扉を開けようとしている。

しかし、扉はビクともしない。

女生徒Bがゆっくり近づいてくる。


「いや!近づかないで!!」


恐怖で腰が抜けたのか。

立つ事が出来ずに、反対側の教室の扉に後ずさっている。

教室内の机や椅子が

女生徒Aの逃げ道を塞ぐように動き始めた。

そして、周りを囲まれてしまった。

正面の通路だけを残して。


私は、この夢を被害にあった人達の記憶だと思った。

でも、今目の前で起きている事が

現実で本当に起きていたの?

こんなの、フィクションでの出来事じゃないの?

これが、仮に実際に起きた事なら

私は、とんでもなく危険な噂に足を踏み入れてしまった。

興味本位だったのに、、、

覚悟を決めたつもりが恐怖が私の全身を襲う。


私が、後悔している間に

女生徒Bが女生徒Aの目の前まで来た。

女生徒Aは、あまりの恐怖で声も出なくなったみたい。

口をパクパクしている。

女生徒Bは、微笑んだ。


「傘を貸そうと思って」


懐から、折りたたみ傘を取り出した。

いや、折りたたみ傘ではない。

傘が伸びたの。

色は、青。


「ダメ!その傘を受け取っちゃ。逃げて!!」


女生徒Bが叫んだ。

先程までの雰囲気とは違う。

だが、女生徒Aは傘を受け取ってしまった。

受け取る直前の様子は、おかしかったように感じた。

まるで、操られているかのような。


そして、女生徒Aは消えた。

今まで通り消えてしまった。


「チッ、危うく失敗する所だった。

 まだ自我があったなんてな。

 まぁ、もう完全に消えたようだが」


呟いた後、女生徒Bも消えた。

消えたのと同時に教室は、元の状態に戻った。


こんな危険な相手に私は目を付けられたのか。


「どうすればいいの?」


私は、ポツリと呟いた。


その言葉に反応してか

周りが真っ暗になった。

朝の時と同じ感覚だ。


目の前をスポットライトが照らした。

これも朝と同じだ。

また男生徒が居るのかな?と思ったが

目の前に居たのは、夢で見た三人

更に全く面識のない人達が大勢居た。


その中に居た男性が話始めた。


「私達は、奴の被害者です。

 貴方は、奴を見て唯一逃げ延びた人。

 奴を見た者は、誰一人逃げられない」


誰一人逃げられない?

じゃあ、あの噂は一体誰が流したんだろう。


「噂は一体誰が流したのか

 という顔をしていますね。

 噂を流したのは奴自身です

 しかし、目的までは分かりません。

 分かっているのは、奴が力を使えるのは

 この笠美ヶ原高校だけ」


男性は一旦言葉を切った。

深呼吸をし続きを話し始めた。


「そして、奴の弱点は■■■

 理由は不明ですが■■■を恐れています。

 もう、時間がありません。

 奴に気づかれてしまう。

 どうか、奴を倒して私達を救って、、、」


肝心の所は、聞き取れなかったのだけど

私が見た夢にヒントがある筈。

それと、あの男性の声は今朝の、、、


「さやか~。もう学校終わりだよ。

 早く帰ろうよ~」


この声は、栞の声ね。

栞の声を聞くと、安心する。

帰ってきたと思えるから。

私にとっての学校での居場所のような存在なの。

他にも、友人は居るけど

栞と居る時が一番楽しい。


今、私が抱えてる悩みを

栞に話せたらどんなに楽かな。

でも、話すという事は

巻き込む事になっちゃうから話せない。


「栞、いつもありがとね」


私は、笑顔で感謝を述べた。

これから、私の身に何が起こるか分からない。

だから、別れの覚悟も含めた感謝の言葉。


「え~、さやか。いきなりどうしたの笑」


突然の感謝の言葉に栞は驚いていた。

これでいいの。

栞には、何も気にせずいつも通り過ごして欲しいから。


そして、私達は二人で帰宅した。


~自宅~


家に着くと妹の美雪が心配そうに出迎えてくれた。

私は、今日起きた出来事を美雪に話した。

美雪は、聞き終わると


「渡された手鏡って普通の手鏡なの?

 どんなのか見せて欲しいな」


私が見た限りでは何処にでもある手鏡だった。

しかし、何か仕掛けでもあったりするのかな?

私は、美雪に手鏡を見せようと

ポケットに手を入れた。


「無い!手鏡が無い!!

 確かにポケットに入れた筈

 もしかして、保健室で落とした!?」


絶体に肌身離さず持っているように言われたのに。

でも、帰る時にベッドの周りは確認した。

じゃあ、何処に行ったんだろう。

慌てている私を見て


「お姉ちゃん、一旦落ち着こ?」


美雪の冷静な対応。

ほんとにどちらが姉なのか、、、

本当に、美雪はしっかりしている。

私には、勿体ない妹だよ。


「無くなった物は仕方ないとして。

 代用品として家にある手鏡持ち歩くのはどう?」


確かに、それは良い案かもしれない。

私は、頷いた。


「それと、傘は常に鞄に入れといて

 雨の時に『…』が現れるなら

 予報に無い急な雨の時が特に危険だから」


そこまでは、考えていなかった。

傘を常に持ち歩いていれば

傘を借りる必要もないもんね。

納得したように私は頷いた。


今日の夢を見て、恐怖に襲われたが

美雪が居れば大丈夫かもしれない。

美雪の事は、何が何でも守る。

だが、事前対策も必要だ。

何も起こらないのが一番なのだから。

その知恵は、美雪を頼ろう。

私より、頼りになるから。


~一方その頃~

夜の笠美ヶ原高校


「この手鏡をあの女に渡したのは誰だ?

 正直に答えたら苦しまなくて済むぞ

 バレないとでも思ったか?」


誰も居ない筈の教室から

声が聞こえた。

教卓に座っている男生徒。

席に座っている大勢の人。


「私だ。他の者は関係ない」


一人の男性が席を立った。


「そうか、お前か。前から反逆の意思があるのは知っていた。

 だが、行動していなかったから見逃がしてやってたのに。

 俺に、逆らうとどうなるか他の奴はよく見ておけ」


男は青い炎に包まれ消えた。

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