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世界改変魔法少女と魔法反射少女

作者: 相模茄子

短編ギャグ

登場人物は2人の実験作

 悪の秘密結社(全然秘密じゃない)アンチノミーたちと日夜戦う魔法少女たちがいた。

 赤の魔法少女、ケアルホワイト。

「あなたたちの好きにはさせない! 町の平和は私たちが守るんだから!」

 青の魔法少女、ケアルグリーン。

「さあ、みんな今のうちに逃げて! 私たちがアンチノミーを倒すわ!」

 河本 千代美(こうもと ちよみ)

「なんで私だけ本名で活動してんねん!!」

 彼女たちは町の平和を守るため、力を合わせてアンチノミーに立ち向かうのだ。

 

 


 アンチノミーってなんなん?

 なんか世界がおかしくないかと疑問を覚えたのは、あたしが10歳の誕生日を迎えた次の日の頃だった。

 朝起きて、お母ちゃんがごはんを作りながら、はよ顔洗いー! って大きな声であたしに声を掛ける。

 お父ちゃんにおはようのあいさつをしてから、弟と妹を連れて洗面台に向かうあたしの目が、点けっぱなしのテレビでニュースを見たときにそんな疑問が浮かんだ。


『……会では、秘密結社アンチノミーによる被害者の会から送られた寄付金を受け取り……。』


 ニュースの内容は全然頭に入ってこなかったけど、なんで秘密結社が堂々とニュースに流れてんねん。なんて寝ぼけ眼をこすりながら突っ込みをしたのを覚えている。


 ――――

 

「ちーちゃん、帰ろー!」

「あーい、あけちゃん。帰りましょかー。」


 あたしのことをちーちゃんって呼ぶのは幼馴染のあけちゃん。

 家が近いあたしたちは学校が終わったら、いつも一緒に帰る。


「あけちゃんも10歳だね、大きくなったねぇ!」

「1日しか変われへんやろ、なんで大人ぶるんよ。」

 あけちゃんは1日だけあたしよりも誕生日が早い。そのたった1日の差を昔からすごく気にして、ずーっとお姉さんぶっているのだ。

 幼馴染だからこその気安さで頭をはたきながら、ガッコの鞄を持って2人並んで教室を出る。

 お昼過ぎでまだ上級生が授業をしているので、あたしたちよりも年下の子たちと先生以外は廊下にはいなかった。


「あんな、あけちゃん。」

「なーに、ちーちゃん。」

「気になってたんやけど。どうしてみんな、あけちゃんの頭の上に乗ってる動物の事注意しないんやろか。」

「え! ロップのこと見えるの!?」

 

 大げさに驚いて飛び上がるあけちゃん。

 そりゃそうやろ、白くて目立つしそこそこ大きいんだから。朝から頭に乗っけて置いてからに。


「いや、突っ込み待ちなんかと思ってたんやけど、せんせも注意しないやん。なんか段々怖なってきたわ。」

「ぷい! そんな、僕の気配を消す魔法が効いてないぷい~!」


 突然その白い動物がしゃべり始めたとおもったので、思わずそれの耳だろう部分を掴んであけちゃんの頭から引っ張り下ろした。


「喋った!?」

 

 驚きながら廊下の窓を開け、勢いをつけて動物を外に投げる。

 ぷい~! なんて間抜けな声を出しながらそれは放物線を描いて2階から中庭に落ちていった。


「あー! ロップ!」

「あけちゃん、あかんって! なんであんなん乗っけてんの!?」


 あけちゃんの肩を掴んでがくがく揺らす。

 幼馴染のこの子は昔から抜けていることがあったが、あんなワケのわからないものに惑わされているとは思わんかった。


「ちがうの、ちーちゃん! あれは魔法の国のマスコットなの!」

「なにわけのわかんないこと言ってるん! しっかりしてや!」

「あれはマスコットで、じつは私は魔法少女なの!」

「まだまだ私ら子どもやけど、ちゃんと現実見て情報を選び取らな碌な大人になれんで!」

「ちがうの、聞いてよちーちゃん!」

「万が一、あけちゃんの言ってることがホントだとしてもや!」


 あれ、めちゃめちゃおじさんの声でしゃべるやん!!

 しかも渋カッコいいとかじゃなく、ぼそぼそした普通のおじさんの声やん!


 ――――


「魔法の国がピンチなんだぷい! 魔法少女の力がひつようなんだぷい!」


 どうにかして黙ってくれんかな。

 あけちゃんが説得に応じてくれないので、あたしはあけちゃんと一緒に絶対に元凶の白いたれ耳を拾いに行った。

 どうでもいいけど、さっきも大声で話していたが誰も気にしないのって、どうなんや。


「どこにあるんや、マイクとかついてるやろコレ!」

「ぷいー、ロップは魔法動物だぷい! 機械じゃないぷい~!」


 上にも下にもひっくり返しても、なにもついていないのを見てひとまず乱暴にこねくり回すのを止める。


「ロップ、もしかしたらちーちゃんも魔法少女の素質があるのかも!」

「ぷい! 僕もそう思っていたぷいよ!」


 そんで、人のことを放っといてあけちゃんとおじさん声動物がなにやら盛り上がっているがあたしはとてつもなく嫌な予感がしていた。


「じつは、この世界にもいる秘密結社アンチノミーがロップたちの世界の大事な魔法の力を……」

「ああ、勘弁してや! なんか今朝からおかしいおかしいと思ってたんや! これ、ぜんぶアンタのせいなんか!」

「ぷい! ちがうぷい! 秘密結社アンチノミーが悪ものだぷい!」

「そうなの! とにかくちーちゃんも、力をかして!」


 あけちゃんが決意を固めたような顔であたしに右手を差し出してくるので、それを手に取ってぐいっと引っ張りおじさん声の獣からこの子をかばう様にして守る。


「たちの悪い……、これ洗脳とかやろ! いくらなんでもあけちゃんはこんなにあほの子やないで!」

「あ、あほじゃないもん!」

「ぷい! つべこべ言わずにこの魔法少女の変身の力を受け取るぷい!」

「あ! こいついま本性出したで!」


 白い獣が光りを放ち、あたしに向けてなにかを放ってきた。

 腕の中にいるあけちゃんも自分のポケットから指輪のようなものを取り出すと、空に掲げて高らかに宣言した。


 ――――返信っ!

 ――――ぷい~~~~


 まばゆい光があたりを包む中、あの獣の悲鳴のようなものも聞こえた気がする。

 ゆっくりと目を開けて、自分のからだを確認する。

 よかった、何ともなっていない。

 それから、隣のあけちゃんに目をやると真っ赤な可愛らしいフリルがたくさんついたドレスに身を包んでいた。


 そして、そのさらに向こうの隣には、色違いのドレスを着ている私が立っていた。


「――いやなんでなん!?」


あたしの突っ込みの声が中庭に木霊した。


「あれ、ちーちゃんがふたり?」

「青の魔法少女、ケアルグリーン! あなたたちの好きにはさせない! 町の平和は私たちが守るんだから!」

「うるさ! なんで急に叫ぶんこの人! てかあのおじさんの声やん! おい、お前やろこれ!」

 


 これは、魔法が効かない私に降りかかる、いくつもの不幸な物語。


 


 ――――――


 河本 千代美(こうもと ちよみ)

 唯一、世界改変に抗える力を持っている。

 幸か不幸か、その力のせいでこの子だけは元の世界の常識があって苦労している。

 魔法が効かないし、反射させることもできる。

 

 ケアルホワイト。

 本名 池辺いけべ 明けの明星(るしふぁー)

 世界改変の魔法を使う史上最強の魔法少女。

 全く悪意なく世界を作り変えてしまった。大好きな魔法少女アニメのように。

 自分を主人公に、幼馴染のちーちゃんと一緒に魔法少女になりたくて世界を作り変えた。

 卵か先か鶏が先か問題で、この子が魔法の世界を作ったのか、魔法の世界がこの子を見出したのかはわからない。

 

 ケアルグリーン。

 あけちゃんはちーちゃんと一緒に魔法少女をやりたかったのに、

 ちーちゃんには魔法が効かなくて魔法少女になれなかった。

 だから魔法少女の姿のちーちゃんが作り上げられた。ちーちゃんにそっくりの子。

 変身バンクだけ用意されているが、中身がないので用意された行動しかできない。

 昔のギャグマンガに出るご都合解釈ロボットみたいな役割。

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