ダンジョンの入口で
朝時間が取れず、変な時間の更新で申し訳ありません。
ジョヴァンニと合流しろと言われたリアムは、地下遺構のある建物へと足を向けた。
本当に合流できればそれに越したことはないが、ライモンドの言葉の意図は地下の隠し通路から逃げろということだとリアムは理解した。
条件が悪く使えなかったが、ライモンドと敵の首魁と思しき男と戦っている間に、一人で敵の手が届くなるまで逃げきるのにあの通路を使うべきだと彼はは判断してああ言ったのだろう。
ダンジョンの入口の前までやってきたリアムは足を止めた。
血溜まりの中、警備の服装の男が倒れている。
学生会室に配置されていた人物だった。レジーナの護衛としてここまで付き従って敵だったというアッシェンに殺害されたのだろう。
彼が完全に事切れているのを確認したリアムは眉を下げ目を伏せて小さく祈りを捧げた。
ダンジョンへ降りる階段を見下ろすと暗闇かと思ったそこは、小さな明かりが灯されていて人が使っている気配があった。
足音を潜めて用心しながら階段を降り、しばらく進むと至近距離で床に倒れる人影が二つ見えた。
警戒し息を殺しながら姿が見えるまで近づくとオリヴェルが二人倒れていて、リアムは慎重に二人の様子を探る。
「だ、れ??」
「……!! オリヴェル先生?!」
「殿下、ちゃん?」
普段の調子と違うぼんやりとした声で片方のオリヴェルが声を発した。どうやらこちらが本物らしい。
「悪いけど、応急……てあて、だけ、してくんない? アッシェンは殺ったんだけど、俺も刺されて、さ」
そこに転がるもう一人がアッシェンで、オリヴェルが彼を殺害したのだろう。
危険はないと判断し、生きている方に駆け寄って指示に従って手当をすると、オリヴェルは息を吐いた。
「このままだとさすがに、やばいと……思ってたんだよね。よかった、殿下ちゃんきてくれて。多分だけど、ヴァンニ達は別の出口を使って……逃げ切ったと、思う。一回ここまできて、引き返したっぽいから。多分これなら、しばらく、もつから……俺の事は置いて、さっさと脱出して、助けを……呼んでくれる?」
とろとろと話すオリヴェルが本当に大丈夫か分からなかったが、彼を連れて共に逃げるのは確かに難しい。
せめてもと、アッシェンの死体からローブを拝借してオリヴェルの身体を保温し、リアムは力付けるように言った。
「ソフィアは西門から馬に乗って脱出しました。多分逃げ切れていると思います」
「……今それ、やめてくんない? 未練がなくなったら、死んじゃうかも」
「それとソフィアに告白の答えをもらいました。先生が亡くなっても僕が支えますから、安心してください」
「あは……。やぁなところ突いてくんネ。殿下ちゃん……分かってんじゃん。それ言われたら、生き延びて、嫌がらせしないとって、なるヨ」
「嫌がらせは困りますけど、なるべく早く助けますから、それまで頑張ってください」
オリヴェルの返事はなく、ただ小さくその首が縦に振られる。
唇を引き結んでリアムは足を先に進めた。
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