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退屈を嫌う教師は恋バナで掻き回す

「サンドーロ子爵夫人は熟女の魅力がヤバいね。もう結構な年増なのに、あのオッパイとか腰とかエロエロが滲み出てると思わん?」 


 オリヴェルがするすると手を動かして飾り守を量産しながら、女子達を教えるデイジーを見てにやつくのを、たどたどしく紐を組む手を止めたリアムは強く嗜めた。


「ライも女子も近くにいないからって好き放題言っていいわけじゃないんですよ。オリヴェル先生。口を慎んでください」


「ライモンドパイセンも絶対あの人タイプだと思うけど? あの人、澄ました顔してるけどムッツリだし、絶対胸が大きくて腰の強そうな女が好きでしょ。あっ! そうか、ごめーん。殿下チャンは貧乳が好きだから巨乳には興味ないヨネ」


 煽られていると分かっても腹が立つ。

 胸の大きさで真っ先に思い出すのは浮気現場で押し付けられたエミーリエのそれで、一時期感じた嫌な気持ちこそなくなったものの、そこにはしゃげる心持ちにはならない。

 さらに、ソフィアに絡めてからかってくるのも許しがたい。むしろそこが許しがたい。


「別に胸の大きさにこだわりなんてないです」


「え? 貧乳好きだから姫さんなんじゃないの?」


「先生のこと軽蔑します」


「殿下ちゃん、ぷりぷりしちゃってからかいがいがあってたのしー。大好き。流せないとドツボにハマるって学ばないヨネ。別に一般論で適当に答えりゃいいのに。ねえ、美少年」


「僕も別に興味ないです。こういうとこでそういう話すると、学生会の評価も下がるんでアンタの口車には乗せられません。形が重要とか言って欲しかったですか。クズ先」


「うわっ、クズ先って……可愛い顔に見合わずキッツ。でもモテ男君だけあって含蓄すごいー。ユル騎士とバンニは清楚っぽくてオッパイ大きい子好きだよね」


「おっぱい大きいのは好きですけど、ここでオレに振るのよしてください。それとユルゲンとオレの間にアネットで軋轢産んで面白がろうってのも透けて見えてますけど、オレ、アネットのことはカールマンに迷惑かけられ同盟会長兼、仕事のできる後輩としか見てないんで」


「え! そうなの? つっまんな!」


「アネットはいい子ですし、好きになるユルゲンの気持ちも分かるんですけど、恋愛感情はないですね」


「!! 俺もアネットが好きなんて一言も…!」


 俯いて耳を朱に染めて黙って大きな手でちまちまと組紐を組んでいたユルゲンの指がコントロールを失って紐をきつく締めた。

 せっかくそこまでうまく出来ていたのに台無しである。

 そして、アネットの事が好きな事がばれていないと思っていたらしい。

 図らずも全員の声が重なった。


「「「いや、バレバレだから」」」


「えー、じゃあバンニは誰が好きなワケ? クラスメイト? 学生会役員? はっ! まさか俺と姫さんの仲を引き裂かんとする第三の刺客??」


「あんたにだけは絶対におしえませんよ。暇つぶしに邪魔したりからかったりしてくんでしょ?」


「エー、ソンナコトハシマセンヨ。ここが最高に暇で、耐えられんのは事実だけど」


「ソフィアとリアム殿下の様子を見てたら絶対に言えませんね」


 しれっと言ったジョバンニの視線がオリヴェルの隙をついた一瞬、ソフィア達の机に流れるのをリアムは見た。

 ソフィアではない、アネットでもないならば、残りはレジーナだ。

 学生会でも二人で意見が合うことも多いし、納得感が強い。

 レジーナは身分差などあまり気にしないだろうし、ジョヴァンニは出来すぎなぐらい有能な男だから案外お似合いではないだろうか。

 レジーナの隠れた思いなど知らないリアムは暢気にそう考えていた。

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