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ある会社員の一日

斉藤:えーっと、忘れ物はないかな、っと…。

依田:あなた、印鑑忘れてるわよ。今日使うんでしょ?

斉藤:ああ、そうだった。ありがとう。

依田:気をつけてね。いってらっしゃい。

斉藤:今日は会議で遅くなるかもしれないから、先に寝てくれて大丈夫だからね。

依田:ううん、待ってる。あなたと少しでも一緒にいたいもの。

斉藤:そ、そうかい…?じゃあ、いってきます。

0:(会社)

斉藤:も、申し訳ございませんっ…!

稔土:あぁ?ゴメンで済んだら罰則はいらねえんだよっ!

斉藤:本当に、なんとお詫びをしてよいやら…。

化野:丁寧に詫び入れてもろて有難いんどすけどなあ、こっちはこんだけ損失が出てますのや。頭下げたら許して貰えるて思い込んどるような、ノーテンキな人のやっすい詫び一つでは引き下がれへんのどす。

二尊院:あ、あの、そのミスは私が…!

斉藤:二尊院さん、いいから。

二尊院:で、ですが…。

稔土:で、どう落とし前をつけるつもりなんだ?さっさと答えろ。

斉藤:…分かりました。責任をとって、僕は辞職します。

二尊院:ちょっと、係長っ…!

化野:はーん、あんたはんのクビ一つで、今回の損害が賄えると?随分高いクビどすなあ。持ち主はミスなんか一つもしいひんような、よお出来たヤツなんやろなあ?

斉藤:…私の退職金で、損失分を補填ほてんいたします。

稔土:ほお、それでお前はいいのか?

斉藤:はい、私はそれで…。

稔土:テメエじゃねえ。そっちのアンタに聞いてるんだ。

二尊院:…私、ですか?

稔土:そうだ。本当に、お前はそれでいいのか?

二尊院:…いえ、よくないです。今回のミスは、私がやったことです。なので、辞職して責任をとるのは、私です。

斉藤:二尊院っ…。

二尊院:いいんです。私の責任ですし、それに…係長は奥さんもいらっしゃいます。私に責任をとらせてください。

斉藤:お前…。

稔土:…もういいよ。

二尊院:え?

稔土:なんかこっちが悪者みたいじゃねえか。こんな流れでやめられても、こっちが胸クソ悪くなるだけだ。

化野:…本気で言うてはりますのん?そんなん、こっちは骨折り損やないですか。

稔土:いいじゃねえか。その分仕事で取り返してもらえばいいだけだろ?

化野:それは、そう…。

稔土:そういうことだから、これまで以上に利益を出さねえと、承知しねえからな。…ほら、帰るぞ、化野。

化野:は、はい…。

斉藤:…ふう~~~っ。なんとか収まったな。

二尊院:そうですね…あの、係長。

斉藤:なんだ?

二尊院:さっきは…ありがとうございました。

斉藤:気にすんな。部下の失敗は上司の失敗だからな。それよりも、失敗した分、ちゃんと取り返すんだ。気合い入れていくぞ!

二尊院:はい!

0:(間)

斉藤:はあ、疲れた…。結局こんな時間になっちゃったな。もうすぐ日付変わるじゃん。もうあいつも寝てるだろうな。…ただいまぁー。

依田:(寝息)すー…すー…。

斉藤:やっぱり寝てるよ。まあ、テーブルで待っててくれたんだろうけど…あれ?なんだこのケーキ。カードもある…『これからも、よろしくお願いします』…?

斉藤:…そっか。今日、結婚記念日だったな。悪い事したな…。

依田:(寝言)んー…あ、なた…。

斉藤:こんな俺を、愛してくれて、ありがとう…。こっちこそ、これからもよろしくな。

0:

0:

斉藤:どうです?これなら文句ないでしょう!

稔土:は?

二尊院:なんですの、このお話は…。

斉藤:普通の会社員の一日を描いたつもりですが…。

稔土:こんなヤクザみたいな客はいねえだろ、「普通」!

化野:それニ、ボク関西弁キライなんだよネ~。肌に合わナイし、トラウマってカンジ?

依田:私も、もっと不幸にして貰いたいですぅ…幸福過ぎて落ち着かない…。

二尊院:あたくしだって、役の中とはいえ、誰かに恩を売られるのはイヤですわ。

斉藤:じゃあ、どうすればいいんですか?全員もう発表しちゃいましたよ?

依田:うぅ、まとまらないぃ…。

二尊院:このまま話し合っても埒があきませんわよ!多数決でいきます?はいじゃあ二尊院のシナリオが良いと思った方!

稔土:なんで自分の分の投票を募るんだよ!

二尊院:あら、あたくしはあくまでも代表委員として募っているだけですわ。

斉藤:はいはいもうそこまでにして下さい!僕はさっきの二本で疲れました。皆さんも五本もシナリオやって疲れてるでしょう?ここで一度休憩して、お茶でも飲みましょうよ。

二尊院:そうですわね、ここは一旦休戦といたしましょう。

依田:私も、さすがにちょっと…疲れてきました。

化野:えー、でもォ、最初に敵同士って言ってたデショ?呑気にお茶なんかしていーノォ?

斉藤:…まあまあ、少しくらいはいいじゃないですか。睨みあうばかりだけではなくて、お互いのことを知るのも重要だと思いますよ?

化野:ソォ?じゃア…。勝手にすれば?

斉藤:では、皆さんの分のお茶を僕が出しますね。……はい、どうぞ。

二尊院:(お茶を飲む)

二尊院:はぁー…やっぱりお茶をいただくと、落ち着きますわね。

稔土:(お茶を飲む)

稔土:よく言うぜ、さっき出来たばっかのキャラのくせによ。茶を飲むなんてシャレた趣味はねえけど、こういうのも悪くはねえかもな。

依田:(お茶を飲む)

依田:そうですよね…飲んでみると、心が落ち着くというか…だんだん…

二尊院:眠く、なって、きました、わ…

稔土:おい、まだ終わって、ねえ、んだ…。お前ら、寝るんじゃ……



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