表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

怪盗カルヴェロ

稔土:犯行時刻まで…あと10分だ。警備に異常はないか?

依田:ハッ、問題なく!

稔土:怪盗ヨーダめ…今度こそひっ捕らえてくれる!

化野:ネーネー館長サン、そのダイヤ、記念にちょっとだけ触らせてもらえナイ?

稔土:バケノ!貴様…。

二尊院:あら、いいじゃないですか。もう少し時間もありますし。

稔土:し、しかし…。

化野:ヤッター!こんなモノ滅多に観られるモンじゃナイからネ!じゃ、男場おとこば、いやいやお言葉に甘えて…。

斉藤:バケノ!いい加減にしろ!

化野:ア、刑事さんもいる?

斉藤:いるかっ!「森のわがまま姫」を何だと思ってる!世界の至宝なんだぞ!

化野:しっかし何回聞いてもふざけた名前だよネエ、元が何語か知らないケド。マジメな刑事さんの矜持の為にも、そろそろ返しとクヨ。ハーイ。

依田:ちょっ、投げっ…!

斉藤:…警部。もうそろそろ犯行予定時刻です。

稔土:ああ、頼むぞバケノ…と素直に言いたい所なんだが…。

化野:エエーッ、安心して頼んジャッテ下さいヨー。なんなラ、警部さんたちモ帰ってもらって構わナイのニー。

稔土:…ったく…警察をなめおってからに…。

斉藤:予定時刻を過ぎましたよ?館長さん…。

二尊院:そうね。ダイヤはこの通り、ケースの中です。

斉藤:本当に来るんですかね?ひょっとして怖気づいたんじゃ…。

稔土:いや、ヤツに限ってそんなことはない!

化野:あるいは、もうとっくに来ていル…。

依田:ッ…!そこのダイヤは偽物ってことですか!?

二尊院:えっ!そんな!嘘でしょう!?ケースの鍵を!早く!

0:(ケースを開ける音)

依田:ど、どうですか…?

二尊院:…問題ないわ。ダイヤは無事。本物よ!

依田:そう。ならよかったわ。

全員:ナニッ!!

二尊院:キャッ!

稔土:おい、依田はどこだ!ダイヤが!

斉藤:くそっ!どこだ!

依田:あーっはっはっは!揃いも揃ってバカばっかりなのね!大丈夫?この国♡

斉藤:あっ、あそこ!二階の窓に!

稔土:逃がすな!追え!追えー!

依田:あっは!ここまで来て御覧なさいな!(外へ飛び降りる)

稔土:追えー!今度こそ逃がすな!

化野:警部サン!ボクの事忘れてナーイー?ネーネー刑事さんボクが行きタイー!

斉藤:くっ…!仕方ない…!行ってこい!

化野:ワンワン!キャハハハ!

斉藤:どいつもこいつも警察をなめやがって…!

0:(外)

依田:ほーんと、警察もバカ、探偵もバカ。…バカばっかりで張り合いがないわ。

化野:全く同意するよ、女怪盗さん。

依田:ッ!?

化野:ただし、オレは除いて貰うよう頼むぜ。

依田:…あら、なぜ貴方だけここに?

化野:怪盗ってのは、脱出ルートの探索には余念がないんだよな。アンタ、見回りに熱心なのはいいけどさ、一週間前から毎日ってのはそりゃ目立つぜ?

依田:あら…。じゃあ言わせて貰うけど、貴方、なぜ私に協力してくれたの?

化野:ん?なんのこと?

依田:とぼけたって無駄。貴方よ?館長をケースに向かわせる、私の発言を促したのは。

化野:なるほど?

依田:貴方の「もうとっくに来ている」そして私の「ダイヤは偽物」…この二つの発言がなければ、 館長はケースに向かわなかったわ。

化野:ふーん…。

依田:(銃を取り出す)ホールドアップ。…貴方、私に取り入る気なのね?おあいにく様。そんな安い女じゃないのよ、私。

化野:…ハッ、じゃ言わせて貰うが、オレの本当の名を知らねーな?

依田:知らないわ、「バケノ」さん。無名のバカ探偵なんて…。

化野: 手元見てみろよ?

依田:…!な、そんな、嘘!私のダイヤが…。

化野:ひゃはっ、ま、「普段の仕事」じゃ顔なんか見せないし、知るはずねーか!

依田:なっ…!その姿は!

化野:そう、「怪盗カルヴェロ」とは俺の事だよ。お見知り置きを、マイン・シュヴェスター?

0:

0:

化野:ホーラ、チョット手を入れりゃコンナもんサ!どうヨ?コノ鮮やかな語り口!

斉藤:ちょっと待ってください!

化野:ん?ナニ?これ以上文句つけル気?

斉藤:銃向けないでください!文句もなにも、何勝手に展開変えてるんですか!

二尊院:そうですわ。貰った台本だと、依田さんがダイヤを盗んで、それを探偵の貴方が偽物にすり替えてましたのに!怪盗カルヴェロなんて聞いてませんわっ。

斉藤:大体なんですかカルヴェロって!今まで全員、名前からそのまま役名をつけてたでしょう!どっから来たんですか!

化野:エー、トリックスターと言えば道化師じゃナイ!チャップリン知らないノ?

斉藤:名前しか知りませんし、興味もありませんっ。

依田:え、えーとぉ…私は、いいと…思ったけどなぁ…。

化野:そりゃ、キミがここマデ実質主役だからじゃないノ?ざぁぁんねぇぇぇん!コレ以降はボクが主役だもんネー!

依田:ええぇえぇえぇ!!そ、そんなぁ、わざわざ言わなくてもぉ…。

稔土:おい、そりゃねえだろう!あんな思わせぶりな外国語使っといて!

化野:イヤイヤ、意味深な外国語はミステリーに必須でショ!それに、ちゃんと意味があるンだヨ!しばらくすると解き明かされる事になってるノ!依田サンは主役じゃないケド、準主役だシ…。

依田:どうせ私は噛ませ犬なんです…。

化野:話聞いてた?

斉藤:と、ともかく、自分の事しか考えてない展開の仕方はやめて下さい…。

化野:…ハア。ジャ、アンタがやってみレバ?

斉藤:…分かりました。では、僕がやってみせましょう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ