8.元の世界へ
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「さてと、そろそろ元の世界に戻ろう。その……ココロのチカラを他人に話しちゃいけないっていう理由も気になるし」
「うん、そうだね。早く戻ろう」
そう言ってツキノはキョロキョロと周りを見渡し、近くの路地裏を指さす。
「あそこの路地裏に行こうか。道の真ん中で転移したら歩行者に迷惑だし」
「迷惑ってゆうか、大騒ぎだろ……急に人が消えたりなんかしたら……」
こんな人目しかない大通りで転移なんてしたら、歩行者はなんて思うか……。
「ん〜……、いや、多分騒ぎにはならないんじゃないかな?何処かにワープしたと思われるんじゃない?」
また聞き慣れない単語が出てきたな。
「ん?ワープ?それはどういう………」
「あ、そういえばワープの説明をしてなかったね」
そう言うとツキノはバックからあの草原で見せた赤いクリスタルを出して俺に見せてきた。
「これはワープクリスタルって言って、他の国や街なんかにある"ワープ塔"に転移、ワープすることができるの」
「転移………ワープ………あの星付きのステッキとは違うものなのか?」
「うん。このワープクリスタルはこの世界の物だし、クリスタルで異世界に転移は無理だよ。転移出来るのはこの世界の中だけ」
またややこしいのが出てきたな。つまりワープクリスタルはこの世界の街や国に瞬時に移動……つまりワープ出来るのか。差し詰めどこでもドアみたいな物だろう。そして………
「もしかして………ワープ塔って言うのはさっき俺らがワープしてきたところか?」
「そうだよ。あの赤いクリスタルが埋め込まれた塔がワープ塔。あそこにこの国にワープしてきた人達が集まるの」
「へ〜。やっぱり魔法の世界なんだなここって」
「まあね。すぐ慣れるよ」
「そ、そうか………。実はもう……なんかもう慣れてきちゃった自分がいるんだ………」
RPGのような街並みを歩き、獣のような人々を見て、剣や魔法を眼の当たりにし、ココロのチカラに目覚め、あんな怪物たちと戦って、しかも倒してしまった訳だしな。まあそりゃ慣れてくるか。
さてと、こんな所で道草を食う訳にもいかない。疑問も解けた事だし早く元の世界に戻ろうかな。
「ツキノ、そろそろ戻ろうか」
「あ、そうだね。路地裏に行こう」
ノホホーンとした声でそう言ったツキノは路地裏に向かう。オレも後をついて行った。
そして、路地裏でツキノは体育館裏で見せたようにステッキを空に翳し、「転移」と唱える。すると、俺たちはそのステッキから発せられた光に飲み込まれた。
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「………んっ」
次の瞬間、俺らが居たのはあの体育館裏だった。
「戻って……来れたみたいだな………」
俺は安堵して息を吐くようにそう言った。
ああ、見慣れた風景だ。西洋風でもない。はたまた大草原でもない。俺にとってはごく普通の、普通の学校の風景だ。なんだろう……俺、生きて帰って来れたんだな。なんか数時間前の事なのに1、2ヶ月ぶりに見たような感覚だ。………え、待って。結構グッときたわ。なんかマジで泣きそう。
「うん。そうだね」
ツキノは無表情でそう言う。どうやら俺のこの感動には無関心のようだ。
…………ツキノは転移や異世界に慣れている節がある。何度も何度もこういう経験をしてきたのだろうか?それも含めて、ココロのチカラの他言禁止の事を聞くか。
やっぱり毎日投稿キツいですね。出来る時に投稿します。