2.転校生と異世界転移
小説書くの辛い。けど頑張ります。
誤字脱字など、コメントお待ちしています。
「月野さんは親の仕事の都合で縦須賀に引っ越してきました。一人暮らしでこの街もよく知らないからから、みんな仲良くしてね」
一人暮らしか…親の仕事の事情と言っていたが、それと関係がありそうだ。
「それじゃあ月野さん、皆さんに何か一言を…」
「………一言……」
内田先生の言葉に反応して、月野恵は先生の顔を見て、
「特にないです」
と、無表情で言った。無感情で言った。俺にはそう感じた。
「えっ、あ、あらそう…、え、えーとじゃあ席は…」
月野恵のそっけない対応に少したじろいだ先生は、クラス中を見渡す。
「窓側の一番後ろ、角っこが空いてるわね。そこにしましょ」
そこは俺の席の隣で、生徒の誰もが座りたがる、言わば特等席だ。
ちなみに俺の真前にテッペイ、左斜め前にタチバナが座っている。
月野恵は、先生の言われた通りに俺の隣の席に座った。さっきテッペイたちが言っていたように、仲良く出来るかもしれない…そう思った俺は、月野恵に話しかける事にした。
「よろしく」
声のトーンをなるべく高くして彼女に視線を向ける。すると彼女も隣にいる俺の方を振り向き、
「…………よろしく」
と、素っ気なく頷いた。
「えーと、分からない事があったら言ってよ」
「…………うん」
再度頷く。
緊張しているのだろうか、関わられたくないのかは分からないが、なんだか冷めた反応だな……。
よし、ちょっと質問でもするか。
「月野はどこから引っ越してきたんだ?」
「………………都会………」
「都会…そかそか、実は俺も転校生でさ!東京から引っ越してきたんだよ!」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
沈黙が何故か突然俺達に訪れる。
「…………………」
「…………………」
沈黙が何故か突然俺達に訪れる。
「…………………」
「…………………」
「えっと、月野?」
「…何?」
「え、あ…………やっぱ何でもない……」
話を続け様と思ったが、その冷たく素っ気ない態度に圧倒され俺は諦めてしまった。
「…………………そっか……」
そう小さく呟いた彼女はすぐに前を向く。それに習って俺も黒板の方を向く事にした。
ダメだ、会話が続かない…。今の会話で、俺は極力笑顔を意識したが、月野は無表情、しかも結構塩対応だった。うーん、俺のコミュ力の問題だろうか…。いや、ただ単に月野が俺に興味ないだけか?なんかそれは普通に傷つくな……。
その後、俺は月野には何度か話しかけたが、さっきの会話のように、ことごとく撃沈した。テッペイやタチバナ、他のクラスメイトも話しかけていたが、俺の二の舞となった。
この時、テッペイは「彼氏とかいんの?いや〜居そうだな〜月野ちゃんめっちゃかわいいし!なんなら俺立候補しちゃっかな〜、なんて……」とか、タチバナの場合は「ねぇねぇ、月野ちゃんかわいいね、何処に住んでるの?アドレス教えて!あ、あと"つきのん"って呼んでいい?いいよね!」と聞いていた。
正直キモかった。特にタチバナ。目が特に。
取り敢えずそんなこんなで登校初日だった事もあり授業は午前中で終わった。
放課後……
「ダメだわダメ!全っ然ダメ!何話してもいい反応が無い!どうして!どうしてなのよ!何が悪かったのよ!」
タチバナはそう言い、自分の机をバシハジ叩く。
俺はテッペイ、タチバナと放課後に教室で駄弁っていた。
「そうだよなぁ、月野ちゃん話しても結構そっけない態度だったよなぁ。あれか?"クール系"的な?まあかわいいから全然いいんだけど。つうかゼッテー仲良くなれると思ったのに…」
「いや…ねぇだろ……あれで仲良くは無理あんだろ……」
俺は呆れながらそう言った。
彼女、月野は他人話している時、本当に無表情で、何もリアクションもない。発する言葉も感情が篭ってなく、大体一言ぐらいしか言わなかった。
「ホントにホント、見た目は結構可愛いんだけどねー。いやホント、マジで」
「タチバナ……お前……」
「な、なによヒビノ君!そんな変態でも見るような目して!何もしないわよ!」
「…………………」
「な、なんで黙るのよ!ホントに変な事なんてしないわよ!」
タチバナが必死に弁解してくる。まあ多分、タチバナは本当に変態ではないのだろう……と思う。うん、そうに違いない。別にこの三ヶ月間は特段そんな素振りは見せていなかった。ああ、見せていなかった。
でも、それでもペロペロは流石に確信犯なんじゃ…………いや、いいや。この事はもう考えないでおこう。
月野は本当に美少女だった。艶のある黒髪はショートボブぐらいの長さで、大々的に外に跳ねていた。確か外ハネというやつだったか…。前髪はぱっつんで、そして顔は少し幼い顔立ちだが、とても整っている。
背はタチバナと同じぐらいで、俺とテッペイとは割と身長差があった気がする。
制服はしっかりブレザーを着ていて、しっかりと紅色のリボンをしていた為、しっかりとした性格なのだろう。まあ、転校初日でガッツリ着崩して来る転校生もそうそういないと思うが。
ちなみに同じ女子でもタチバナはリボンこそはしているが、しっかりと締めておらずたるんだるんに緩めていてリボンが垂れた状態だ。
「しかし、タカシが最初話したとき、『ざまあねぇ』とか思ってたけど、まさかオレ達までこんなざまとは…」
「おい、お前そんな事思っ……」
「…おーいタカシ、ちょっといいか?」
俺がテッペイに怒り散らそうとした所に、後ろから声を掛けられた。
「おっ、サブロー!なんか用事か?」
俺は後ろからの声の主、神崎三郎にそう言った。
サブローについて軽く説明すると、身長は確か178cmで俺とテッペイよりほんの少し高いぐらいのモデル体型。さらっさらの黒髪で、俳優顔負けのイケメンで、結構モテるが何故か彼女はいない。月野程ではないが、コイツも結構無表情な時が多々ある。
「タカシって確か図書委員だよな、内田先生が『早速仕事があるから図書室まで来て』って言ってたぞ」
「えっ!?ま、マジか…。うん、分かった。教えてくれてサンキューな」
マジか…。さっきの授業、委員決めだったのだが、俺は『図書委員なんて対した仕事無いだろ!よし、図書委員にしよう!』と思って図書委員にしたのだが…。どうやらハズレだったらしい……。
俺はサブローからの伝言を聞き図書委員の仕事をした。仕事と言っても、ただの役割決めで、本を運んだりとかはしなかった。俺は内心ホッとした。
そして教室へ戻ると、テッペイやタチバナ、サブローなんかは居なくなっていて、他の生徒も居なかった。多分全員帰ったのだろう…。
1人を除いては…………。
「……日比野君……だよね……?」
そう、そこには月野がいた。月野は自分の席の近くに立って俺を見つめている。
「月野か。どうしたんだ?帰らないのか?」
「……ちょっと…聞きたいことがあるの…」
意外だった。月野が俺に聞きたいことがあるなんて…。一体何だ?
「聞きたいこと?」
「うん…、さっき、『分からない事があったら言ってくれ』って」
ああ、そういえば言ってたな俺。
「それで、何が聞きたいんだ?俺に分かる範囲だったら何でも答えるぞ!」
俺は笑顔でそう言った。すると月野は、感情の籠ってない言葉で、こう言った。
「……この学校の体育館裏が何処にあるか知りたいんだけど………」
それを聞いて、脳裏にあの言葉が浮かんだ。
『その子は放課後、体育館の裏…人気のない所に行く』
そう、夢の中の…病室でのアイギスとの会話。
「……日比野君?」
「えっ、あ、そ、そうか、体育館裏か、体育館裏はだな……」
驚いた顔をしていたからだろうか、月野は首を傾げる。が、別に不思議そうな顔はしていない、無表情で傾げる。
俺は体育館裏が何処にあるかを言った。それを聞いた月野は「分かった、ありがとう」と二言返事でバックを持ち、教室を後にした。
『だから貴方にはその子の後を付けていってほしいの』
確かアイギスはこうも言っていた。しかしどうしたものか………。付けていった方がいいだろうか?いや、これはれっきとしたストーカーでは無いだろうか。
なら、誰かと一緒に付けて行くと言うのは………
『あ、そうそう!、絶対に一人で付けて言ってね!他の人と一緒に付けちゃダメだよ!』
いやダメか…。アイギスはこうも言っていたしな…。
何故か分からないが、アイギスの言っていた事には従った方がいい気がしてならない…。第六感的なものがそう脳に指示している気がする。
まあ、なんだかちょっと気になるし、興味本位ということで着けて行ってみるか。こっそり着いていけばバレないだろう。
そうと決まればと、俺は急いで後を追った。
しかし、悩んでいた時間もあって結構離されていたらしい。月野はもう体育館裏に着いていて、一人ポツリと突っ立っている。
体育館裏はいつも誰もいない。本当に無人だ。体育館を使う運動部の人達も、ここに居るのを見た事がない。
「…ふぅ」
俺は体育館の曲がり角に隠れて、曲がった先には月野が居る状況だ。月野は深呼吸をして、肩にかけてある自分のバックを漁った。
そして、月野はバックの中からあるものを取り出した。
ステッキだ。先端に星が付いた、魔法少女が持っているようなオモチャのステッキだった。
なんでステッキなんか持っているんだ?とゆうかそんな物なんで学校になんか持ってきているんだよ?
まさか、月野はそういう趣味があるのか?高校2年生にもなって?なんて…………
なんて、そんな馬鹿みたいな事を考えていた時だった。瞬間だった。
ツキノはそのオモチャのステッキをゆっくり、透き通る様な晴天の空に突き上げている。
そしてこう言った。
「――転移――」
………………へっ?てんい?な、なにを突然。
「お、おい月野…お前何やって…」
月野の訳の分からん行動に、俺は思わず曲がり角から姿を現し、月野の元へと向かってしまう。
これがやばかった。
「えっ、日比野君…」
月野が初めて、少し、ほんの少し、ホントちょびっと驚いたような顔をしたような気がして、「あ、そんな顔もするのか」と場違いなことを思った途端、月野の持っていたステッキの先端、あの星が光出した。
そして、俺はその光に包み込まれた。
…
…………
…………………
…………………………
…………………………………
「………くん」
誰が、俺を呼んでいる……。
「………びのくん」
なんだか、聞いたことのある声が……。
「日比野君」
「ハッ!!」
俺の名前を呼ぶ声が正確に聞こえ、やっと目を覚ました。
どうやら月野が俺を呼んでいたらしい。
「大丈夫?日比野君…」
「ああ、なんとか……ありがと、起こしてくれて」
俺はどうやら気絶していたらしい。しかしなんで俺は気絶なんて………。
「……は?」
俺は唖然とした。ここは何処だろうと周りを見渡したら、理解不能な景色が広がっていた。
「ごめん…君がいるのに気がつかなくて…」
月野がそう言ったが俺は聞いちゃいなかった。
俺がいたのは学校では無く、保健室、でも無く、ましてや病室でもない。
「どうして…こんな所に…」
俺がいたのは、何処までも広がる草原だった。
あと1、2話で主人公覚醒です!
毎日投稿頑張ります!
※出来るとは限りません。ご了承ください。