邂逅
短めです。
どのぐらいの文字数が適切なのか試行錯誤中です。
手紙の送り主と思われる男との戦闘後、悠は神樹の元に戻った。
「送り主やっぱ来たのか?どんな奴だった?」
「よく分からん。そもそもあいつとは会話が成立しない」
「なるほどなぁ。手紙の印象通りだった、って訳か」
悠は苦虫を噛み潰したような顔をすると重い口を開いた。
「二度と関わりたくないな」
神樹は笑いをこらえるように、悠を見ると昨日と同じく茶封筒を悠に渡した。
「色つけといた。いつものガラクタのお礼に」
「助かる」
悠は神樹から茶封筒を受け取るとカバンに押し込んだ。
「霊力の調整は?やってくなら準備するぞ?」
「…いや、今日はいい。また今度頼む」
「そうか?あんたがいいならいいけどね。あんたみたいな戦闘スタイルのやつは自分の体が商売道具なんだから、ちゃんと自分でメンテしろよ?」
「忠告どうも」
悠はカバンを背負い直し、ドアに手をかけると外に出た。
「…ほんとに分かってんだか」
そう呟いた神樹の声は悠の耳には届かなかった。
*
翌朝、悠はあくびを噛み殺しながら通学路を歩いていた。
カバンの中にはいつも通りq2がいる。
『今日も暑くなる。対策を推奨する』
「そうは言ってもな…」
まだ早朝にもかかわらずだいぶ暑くなってきた道を歩きながら、q2の言葉に耳を傾ける。
『交通機関の利用を推奨』
「金がかかる、却下だ」
q2は悠の言葉に不満を示すようにカバンの中で体を揺らした。
『…ならば、定期的な水分の補給を』
「それぐらい言われなくともやってる」
q2と話しながら歩いているうちに学校までたどり着いた。
いつも通り8時過ぎに教室に入り授業を受ける。
放課後になり校門へ向かうと、何やら不自然な空間ができている。そこを通る生徒がなにやらヒソヒソと話しながらその空間を避けて通っていた。
悠は訝しげに思いながら歩を進めると、そこには━━
「…よお、昨日ぶりだな」
「おまえ…」
そこには、昨夜出会った調律師の男がいた。
「手紙じゃお前は誘いに乗らないって学んだからな!今日は直接言いに来た」
「…どちら様ですか?」
とりあえず、悠はとぼけることにした。
こんな所で下手に目立ちたくはない。
そもそもこの男とは関わりを持ちたくない。
そう思い男の横を通り過ぎると、早足でその場を離れる。
「は?ちょっ、待てよ!」
男が慌てたように悠の後を追いかけた。
悠はしばらく男を無視して歩くと、人通りの少ない道を選び進む。
「おい!俺を無視するな!」
悠の後を着いてきていた男が、我慢ならない様子で悠の肩を掴んだ。
「…お前なんなの?」
「はぁ!?それはこっちのセリフだ!無視しやがって!」
悠は男と改めて対面する。
男は悠よりも体躯がよく、正面で話すと顔を上げる必要があった。
「不愉快」
悠は顔を顰めると、肩を掴んでいる男の手を振り払う。
「それもこっちのセリフな!?お前!俺の事バカにするのやめろよ!」
「いや、こんな不審者みたいな知り合いいないし」
「不審者じゃねーから!…くそ、お前といるとペース乱されるな!」
男は頭を掻き毟ると落ち着いたのか、深く息を吐いた。
「お前、今日もビルの上に来い」
「嫌だけど」
「うるせぇ!お前に拒否権はねぇんだよ!いいな、絶対こいよ!?」
男は言いたいことだけ言うと走り去っていった。
「…一体なんなんだ」
悠は疲れたように頭を振ると、今夜どうするかを考え、ため息をついた。




