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神のいない世界  作者: ウニ
裏 表
56/64

孤独

 






 闇よりも暗く深い空間に、悠は1人佇んでいた。

 空を見上げても、どこまでも続く深い闇がぽっかりと口を開いている。

 辺りを見回すも、永遠に続いているような闇に阻まれ先が見えない。

 いつまでもここにいる訳には行かないと、とりあえず前に進むことを決めて1歩踏み出した。



 *



 しばらくの間歩き続けたが、先に進んでいるのかその場でぐるぐると回っているのか、一向に進んでいる気がしない。

 足を止めて、どうするかと考えるも何も無いこの空間でできることは限られている。

 結局のところ歩き続けるしかないと結論を出すと、仕方なくまた歩き始めた。



 *



「…暇すぎる!」

「うるさいぞー、静かにしてろよお前」

 神樹の連絡を待っているが、5日たっても一切の連絡が無い。

 斑目はその間、適当な理由をつけて荒崎と悠の家に居座っていた。

 確かに神樹から連絡がないのは心配だが、霊力の枯渇はそう簡単に解決する問題でもなく、体も負傷していることを考えるとすぐに回復はしないと斑目は考えていた。

 早くとも1週間は神樹からの連絡は来ないだろうと、見立てを立てると、一々本拠地に戻って仕事をこなしながら悠と荒崎の様子を気にするぐらいならとここに留まることにしたのだ。

 荒崎はイライラとしながらリビングを行ったり来たりしていたが、不意に動きを止めると何かを閃いたかのように手を叩いた。

「よし、行くか」

「どこによ?」

「神樹さんの工房!」

「まだ連絡来てないけどぉ?」

「うるせーよ!このまま何もしないで待ってる訳にも行かねぇだろ…!」

「おい、待てって!」

 荒崎は斑目の静止を聞かずに家を飛び出していくと、j9も荒崎につられるように外に飛び出した。

  そうして1人と一機で神樹の工房までの道を走り始めた。

「ったく!しょーがねぇやつ!」

 斑目は急いで支度をすると、荒崎の後を追うように家を出た。



 *



 神樹の工房に着くと荒崎は呼吸を整え、工房のドアをノックした。

 けれど、ドアが開くことはなくしんと静まり返っている。

 荒崎は不審に思いもう一度ドアを叩いたが、一向に反応がない。

『おい、アイツ留守なんじゃねぇか?』

  j9の言葉を無視してドアに手をかけて開こうとした時、後ろから伸びてきた手によって阻まれる。

 後ろを振り返ると、そこには荒崎の後を追いかけてきていた斑目の姿があった。

「そうやって不用心にドア開けようとすんなって」

「…お前も結局来たのかよ」

「まあね、可愛い部下が心配だったし」

「もうあんたの部下じゃねーけど!?」

「まあまあ…。それよりも、神樹さんいないの?」

「まだわかんねーよ。あの人居留守とか普通に使いそうだし」

「確かにねぇ…」

 斑目はしばらくドアをじっとみていたが、ふぅと息を吐くと突然指を鳴らした。

「なに…」

「ああ、r0呼んだ」

「は…?」

 それからすぐに斑目と荒崎の元に大きな虎の機獣、r0がどこからともなく現れる。

 r0は喉を鳴らしながら斑目に頭を擦り付けると、それに応えるように斑目がr0の頭を撫でた。

「あの人、俺達が来るの予想して、ドアになんか仕掛けてるかもしれないからr0で蹴破ろうとおもって」

「いや、え?あんた加減を知らないのか?」

「お前にそれを言われるとは思わなかったわ」

 荒崎は斑目の思考について行けず、斑目の予想外な行動に思わず身震いする。

 斑目はそんな荒崎の事など気にもせず、呑気にドアを指さした。

「よし、あのドア吹き飛ばせるかr0?」

 r0は小さな声で一声鳴くと、斑目は荒崎をドアから離れたところに押しだし、そして──

 r0の繰り出したパンチが、容易くドアを吹き飛ばした。

「おい、おい…。あんたこれ、やりすぎだろ」

「あれま?意外に脆かったみたい」

 斑目は悪びれることもせず、r0を先頭にドアを潜り工房の中へと入っていく。

 荒崎は唖然としながらも、斑目の後に続いて扉をくぐった。



 *



 ドアには特に細工のようなものがされている形跡はなく、何事もなく工房内に入ることができた。

 荒崎がきょろきょろと辺りを見渡していると、斑目は何かを気になるものがあったらしく、どこからか見つけた小瓶を手に持っているようだった。

 斑目に近づき手の中にあるものを覗き込むと、瓶の中には薄青色をした半透明の液体が入っている。

 荒崎は首を傾げ斑目に問うように視線を流す。

「…気になる?」

「まあな…。けど今は神無さんと神樹さんが優先だ」

「そうだね、じゃあとりあえずこいつは保留しておくかぁ」

 斑目は手の中の小瓶を自身の上着のポケットに滑り込ませると、部屋の中にある扉を端から開き始める。

「…何やってんだ、あんた」

「なにって、神樹さんと悠くんの探索だけど?」

「いや、それは分かる。そうじゃなくて、あんたなんでそんなことしてんだ…?」

 荒崎は呆れたように声を上げると、j9と協力し斑目を掴んで扉から引き剥がす。

「なに、なんか気になるものでもあったの」

「ちがっ…くはないな。あんたの行動が訳わかんなすぎて、逆に気になるわ」

 斑目は、はてと不思議そうな顔をしたが、荒崎はそんな斑目に対して、ありえないものを見るような目で斑目を見た。

「…あんたは知らないかもしれねぇけどさ、普通他人の家のドアぶっ壊して部屋入らねぇんだよ」

 そう、斑目は何故か開けるドア全てを壊して部屋に入っていた。

 荒崎は、斑目の事をまるでよく分からない謎の生物に対して接するように、常識を説く。

 だが荒崎も斑目が蹴破ったドアを使って工房内に無断で侵入しているという点では、斑目と何も変わらないかと、ため息をついた。

「あー…、ごめん。──なんて言うか、いつもの気分で色々やってたわ…。……これ、謝って許してもらえるかなぁ…?」

「…あんたが神樹さんに許してもらえる未来がみえねぇ」

 斑目も悠のことは心配していないというスタンスを荒崎の前では取っているが、それでも本心は真逆のようで、今回はこんな意味不明な行動に出てしまったのだろう。

 何となく、そのことを察した荒崎は大きなため息をついて、斑目の破壊活動を止めさせると、何も触らないよう斑目にキツくお願いをしてから、いつも悠が神樹に調整をしてもらう部屋の扉の前に立ちドアに手をかけた。

 なるべく音を立てないようそっとドアを開き、隙間から中を覗く。

 隙間から見える範囲に悠の姿はなく、荒崎は首を傾げてドアを全開にする。

 部屋の中にはベッドと椅子が一セットずつ置いてあるのみで、人の気配はない。

 荒崎が部屋の外に視線向けると、工房の奥の方でなにやら音が聞こえてきた。

 先に気づいた斑目が、静かに気配を消しながら音の聞こえた方へと近づいていく。

 そうして、音の聞こえた場所にあったガラクタの山を見ると、何やらモゾモゾとしているものが布をかぶりながら山の中で蠢いていたのある。

 斑目は警戒しながら動いているものを確かめようと手を伸ばし、布を剥ぎ取った。



 *



「いやー、ほんとごめん。まさか落ちるとは思わなくてさ。私ももう歳なのかって思うわ」

「…いえ、その、こちらこそすみませんでした。急に押しかけた挙句に──」

「ああ、そっちは後で請求するから楽しみに待ってろ」

 斑目が顔を青くしてガックリとうなだれると、神樹はそんな斑目の姿を見てケラケラと笑った。

 斑目が見つけたガラクタに埋もれた布の塊は、過労で倒れていた神樹だった。

 どうやら徹夜で作業をしていたようで、眠気の限界で倒れた時ガラクタの山に突っ込み、気がついたら山に埋まっていたようだ。

 神樹は手にマグカップを持ちながら、いつもの椅子に腰かけた。

「んで、君らがここに来た目的は悠くんのことでおーけー?」

「…神樹さんから連絡が無いので、その、神無さんのことが心配で……」

 荒崎が歯切れ悪く神樹の問いに答えると、神樹は手元のマグカップを口に運び、1口飲み込む。

「まあ、そうだろうね。連絡しなかった私も悪いか…」

 神樹は椅子から立ち上がると、工房の奥にある鍵のかかった部屋の前に立つ。

「あいつに会わせてやるよ。…まともに話ができるかどうかはわかんないけどな」

「それって、どういう…」

「まあ、とりあえず付いてこいって。説明はちゃんとするからさ」







 

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