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神のいない世界  作者: ウニ
裏 表
51/64

焦燥 ──探索──

投稿再開です。

これからもよろしくお願いします。

 







 崩壊した建物へj9を先に行かせたあと、荒崎は少しでも早くそこへ辿り着くために必死に足を動かしていた。

 凄まじい揺れと轟音が鳴り響いたその場所は、悠が指揮体を破壊しに向かっていた所だった。

  焦る気持ちを抑えながら荒崎は前に歩を進めた。


 *



『マスター!やばいことになった!』

 建物のすぐ近くまで着くと先発隊として向かわせていたj9が慌てたように空から降りてきた。

 荒崎は足を止めると腕を伸ばし、j9を腕に着地させ話を促す。

「何があったんだ?」

『何も無かったんだよ!』

「は…?」

『全部崩れちまってるんだって!もしかしたらあいつも下敷きになってるかもしれねぇぞ!?』

「…っつ!」

 j9の言葉を聞くやいなや、荒崎は止めて居た足を動かし先程まであった建物の前に向かう。

 だがそこには、j9が言うように建物の原型はなく瓦礫の山だけが残されていた。

「そん、な…」

『待てって、マスター!とりあえず、一旦落ち着け!』

 荒崎の後ろから飛んできていたj9が、瓦礫の山に突っ込んでいこうとする荒崎を止めるが、荒崎はj9を振り払い強引に進んでいく。

『マスター!』

「うるせぇ!早く神無さんを見つけないと…!」

 荒崎がj9を無視して前に進むと背後から何者かの気配を感じ取る。

 荒崎はその気配の正体を確かめるため慌てて振り返ると、そこには荒崎のよく知った人物が立っていた。

「…なんでここにいるんだよ。──咲也」

「いやぁ、ね?気になって様子見にきたんだよ。なにせ話によると、相当面倒な指揮体らしいしね」

 突然現れた人物は、斑目だった。

 荒崎は飄々としている斑目を警戒していたが、斑目に構っている場合ではないことを思い出すと、斑目から視線を逸らし後ろにある瓦礫に向き直る。

「そういや、悠くんいないの?お前一人でここの指揮体壊せるとは思わないから、悠くんもいるとは思ってるけど」

「…神無さんはここにいる」

「いやここにはいないでしょ。だって…、いや待て。まさかとは思うけど──」

 斑目が顔色を変えて荒崎の背後にある瓦礫の山を見る。

「まさか、ここの下敷きになったのか…!?」

「…神無さんが指揮体の破壊に向かったときの目的地がこの建物なんだよ」

「おーけー、わかった。俺も手伝うからさっさと悠くん見つけよう」

「あんたに言われるまでもねぇよ。…j9!」

『おうよ!上からあいつのこと探せばいいんだな?』

「瓦礫の中で温度の高い場所を探してくれ!」

『任せろ!』

 斑目はj9が飛び出すのを見送ると、手を動かし何かを呼ぶような動作をする。

「何やってんだ、あんた」

「r0の事呼んだんだよ。お前のj9じゃあ悠くんの事を見つける事はできても助けられないだろ?」

 それから数分も経たずに、斑目の下にr0が現れる。

 自身の傍らに身を寄せるr0の頭を撫でながら、斑目はj9を目で追う。

 j9は瓦礫の山の上を旋回しながら、荒崎に言われた通りに熱のある場所を探す。

 だが思った以上に瓦礫の壁が分厚く、なかなか見つからない。

 荒崎がその事に焦れ始め、つま先で地面を叩き始める。

「おいおい、そんなに焦ったってしょうがないだろ?落ち着けよ」

「落ち着けるわけないだろ!早く神無さんのことを見つけないと…!」

「お前が焦ったところで自体が好転する訳でもあるまいし、冷静になれよ。お前がそんなんだと悠くんの生存確率が下がるぜ?」

「は…!?」

「主人の感情は包魂機にもろに伝わる。お前がそんなんじゃ、j9も集中できないだろ?お前は今ここで1番冷静になっていなきゃならないんだよ」

 斑目の言葉に荒崎はぐっと唇を噛むと、自分の感情を抑えるために深く深呼吸をして、呼吸を整える。

「そうそう、リラックスして落ち着いてろよ?重要な場面で適切な行動を取れるってだけで生き残る可能性が高くなるからね」



 *



『見つけたぞ!あいつはこの真下にいる!』

 荒崎が斑目に言われた通りに呼吸を整え、冷静でいることに務めていると、j9が大きな声を上げて荒崎のことを呼んだ。

「どこだ!」

  j9の声のする方へ弾かれたように荒崎が向かうと、後から荒崎に着いてきていた斑目がr0に指示を出す。

「r0、ここの瓦礫を退かせ。j9は悠くんのいる場所までどのぐらい距離があるか教えてくれる?」

『────』

『おう!まかせろ!』

 r0が無言で斑目の言葉に頷き瓦礫を掘り返しはじめる。その横でj9がr0に対して指示を出しながら少しずつ瓦礫の山を崩していく。

  『あともう少しだ!早く掘れ!』

 だいぶ深くまで掘り進み、掘った穴が2~30mになった頃、ようやく瓦礫の色が変わってきた。

 j9がr0のことを急かしながらどんどん奥へと掘り進む。

 そして、r0の爪が周囲の瓦礫とは異なる質感の壁に当たる。

 r0が斑目のことをちらりと一瞥すると、斑目はr0の視線に応えるように頷く。

 慎重に爪先で瓦礫を崩しながら、さらに深くに前足を突っ込んでいく。

 すると、前足を差し込んだ所に何も無い空間がある。

『すぐそこに反応がある!急げ!』

 j9のその言葉に、r0は迷わずその周囲の瓦礫を崩し慎重に、穴を広くしていく。

  すると、r0が広げた穴から何かが飛び出してきた。

『うおっ!?なんだ…!』

「きみは、悠くんの包魂機…q2だね?」

『──肯定。貴殿の包魂機のおかげで当機のみ外に出ることができた。当機の主人を早急に救出してほしい』

 r0の広げた穴から飛び出してきたq2は、浮遊するだけの霊力もないのか、飛び出してきた勢いのまま地面に落ちると動きをとめた。

 そんなq2の様子に危機感を覚えた斑目は、r0に先程よりも早く瓦礫をどかすように指示を出した。

「神無さんは、無事なのか…?」

『死んではいない。だが──』

「自分で動けないぐらいにはやばい、ってことだろう?」

『────』

 r0が微かに声を出し、斑目にだけ分かる合図をだす。

 斑目はr0が広げた空間を覗き込むと、r0の頭を撫でた。

「ああ、r0よくやった。…あとは、俺が中に入って悠くんのことを連れ出してくるから、お前は上で待機してろよ?」

「まて!俺が行く!」

「却下。お前じゃ悠くん見つけても、抱えて出てこれないでしょ。大人しくここで待ってな。r0はこいつが勝手に動かないように見張っててくれ」

 斑目は一方的にそう荒崎へと告げると、r0の開けた穴の中に飛びこんでいった。



 *



 穴の中は薄暗く粉塵が待っているせいで視界が悪い。

 斑目は持っていたペンライトの電源を入れると、ライトで前方を照らし、中の様子がどうなっているのか確認をはじめた。

『──案内が必要だろう』

「きみ、大丈夫なのかい?」

 斑目の後に着いてきたのだろう、q2がグラつきながらも穴の中へと落ちてきた。

『当機の残存霊力は僅か。自力での移動は困難』

「あー…、わかったよ。俺が持てばいいのね」

『肯定。当機が指示を出す。貴公にはその通りに進んでほしい』

「…さりげなく俺の事下に見るのやめない?」

 斑目は溜息をつきながらも、q2を持ち上げると小脇に抱え、q2が出す指示に従い行動をはじめた。








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