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神のいない世界  作者: ウニ
全ての始まり
3/64

初動

今回は短めです。






 悠がしばらく待っていると、神樹が部屋に入ってきた。

「やあ、お待たせ。ちゃっちゃと始めちゃうね」

「なるべく早めに済ませてくれ」

「分かってるって」

 神樹は悠の体に両手をかざし、悠の体を巡る霊力に干渉を始めた。

(っつ…!こればかりはいつまでたっても慣れないな)

 悠は自身の霊力を他者に干渉されることがあまり好きではない。

 まるで自分の体を別の何かに作りかえられているかのような感覚が気持ち悪く、ある程度信用できる人物以外に、霊力を整えることを任せようとは思わない。

  一通りの調整が終わったのか、神樹が悠の体から手を離した。

「はいおしまい。どう、体は?」

「…ああ、問題ないな。さっきよりも軽くなった」

 悠は霊力の調整が好きではないが、やはり整えたあとは体の調子がかなり良くなる。

 ベッドから降り、軽く伸びをし神樹に目を向けた。

「体調が良くなったようで何よりだ。…はいこれ、きっちり4万入れてあるから。またおいで」

 神樹は現金の入った茶封筒を悠に渡すと、部屋から出ていった。恐らくまた、作業台の上にあったガラクタで遊びに戻ったのだろう。

 悠はq2を入れずにカバンを背負うと、部屋から出た。

「調整屋、また後で来る」

 神樹の返事を聞かずにそのまま建物から出ると、外はまだ明るく日が出ていた。

 悠は人通りの少ないほうへと進みだす。

『報告、付近に機械魔獣の気配を感知。戦闘行動への以降を推奨』

 しばらく歩いているとq2が機械魔獣の気配を察知し警戒を始めた。

「━━q2」

『了解、物質創造開始。━━近接攻撃装備展開』

 その瞬間、悠の姿が変わる。

 q2によって全身が黒で統一された戦闘を効率的に行える装備へと作り替えられた。

「…行くぞ」

『適正反応の追尾を開始。情報の常時提供を行う』

 1人と一機の姿は、日の落ち始めた街の中へと紛れていく。





「…あれか」

 しばらくq2の案内に従い進んでいくと、廃ビルの中に機械魔獣が居座っているのを発見した。

『戦力差は歴然としている。畳み掛けるか、否か』

「雑魚に構ってる時間が勿体ない。行くぞ」

 現在悠が身を潜めていたのは、機械魔獣のいる向かいの廃ビルの屋上だ。

 悠は迷うことなく勢いをつけビルから飛び降りた。

 q2のプラグをワイヤーのように使い、勢いのままにビルの中へと飛び込んだ。

 機械魔獣はいきなり現れた悠に驚いたのか、たたらを踏み、一瞬の隙が生じる。

 その隙を見逃すことなく、悠は機械魔獣へと突っ込んだ。

 そして━━

「…q2」

『近接攻撃武器展開』

 悠の手の中に突如として現れた刀によって、機械魔獣の首は胴体から切り離された。





「…呆気ないな」

『不自然な点がある』

「分かってる。こいつが弱ってたことだろ」

 たった今破壊した機械魔獣には、悠が今つけたキズ以外に無数の傷跡がついていた。つまり、それが意味することは、この場所に悠以外の調律師が現れたということにほかならない。

『肯定。この近辺に調律師はいない。貴殿がここの唯一の調律師と言っても過言ではない』

「…周囲の警戒レベルを上げるか」

 調律師は日本では数が多いとはそもそもの数が少ないため、国内のすべての市町村に調律師を設置することは不可能だ。

 そのためフリーの調律師でも、自身のナワバリを持つことができている。

 だがそこに別の調律師が現れた場合、その場所は調律師同士の戦闘によって奪い合い、そこをナワバリにする者を決めることになる。

 悠はあまり自分以外の調律師に興味が無いが、この時ばかりは気にしなければならない。

 ここが奪われるとなれば、別の場所を探すということになるため、正直面倒なことになる。

『同意。索敵範囲を半径5キロから10キロまで拡大し、襲撃に備えるべきだろう』

「それはお前に任せる。俺は今まで以上に目立たないように行動しよう」

 q2の提案に同意すると、悠はこれから起こる面倒事に顔を顰めながら、機械魔獣の部品の回収を始めた。





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