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神のいない世界  作者: ウニ
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24/64

真相

 






 保健室に戻ってきた斑目と学校の外に出ると、少し離れた喫茶店に入ることになった。

 悠は席につき注文を決めると、斑目に話を促した。

「あんたは何を知っている」

「まあ、色々とね」

  斑目は手元の珈琲に砂糖を入れると、ティースプーンでくるくると黒い液体を回す。

  悠が退屈そうに斑目のその様子を見ていると、斑目が口を開いた。

「君はお父さんについてどこまで知っているんだい?」

「詳しいことは何も。調律師だったことしか知らない」

「だろうねぇ。君のお父さん、神無 隼さんは君をこちら側にこさせないようになんも教えなかっただろうし」

「父とあったことがあるのか?」

「ないない、股聞きした情報を元にした感想だよ」

 斑目は手を振りながら否定すると、あらためて話を始める。

「隼さんは、調律師としてとても優秀な人だったらしい。彼の傍らにはいつも狐型の抱魂機──m9(ミク)が居た。隼さんはm9と共にいくつもの抱魂機を破壊し、国に貢献していた。けれども、ある時隼さんは国が隠しているとある情報について知ってしまった」

「…あんたが言ってたことか」

 悠は先日斑目と話したことを思い出す。

 国が隠しているもの、指揮体の正体、抱魂機の末路について。

 だが、もしそれを知ったことで国に消されるのだとすれば、斑目が今も生きていることに説明がつかない。

 おそらく悠の父は、それ以上の何かを掴んだのだろう。だから、国の人間に殺された。

 悠は苛立ちながら、口に含んだ水と共に入ってきた氷を噛み砕く。

「そのあることを知ってしまった隼さんは、おそらく外部の人間、もしくは信用のできる調律師にリークしようとしたんだろう。だが、隼さんはその情報を伝える前に死んでしまった。隼さんが殺されてしまったことで、真実は未だ闇の中ってこと」

「…それが本当なら、胸糞悪い話だな」

「本当にね。これだけでも酷い話だけど、まだ続きがある」

 斑目は懐から一枚の写真を出し、悠に渡した。

「…これは」

「指揮体だよ。元となっている抱魂機は隼さんの相棒──m9だ」

 悠は写真に写っている指揮体に視線を落とす。

 原型はほとんど残っていないが、悠はその指揮体にm9の機体の特徴を見つけた。

 諜報がメインのm9の瞳は特殊なパーツで作られたモノが使われている。悠は父と共に家に帰ってくるm9と何度か遊んだ事があったため、その特徴的な瞳について覚えていた。

 そして、写真に写る指揮体には、m9に使われているその特徴的な瞳が埋め込まれていた。

「なん、で…」

 思わず悠は写真から顔を逸らす。

 父の抱魂機、m9は死についての理解もしていたし、父が死んだあとは、自身も同じ場所に埋めて欲しいと言っていたことを悠は知っている。

「こっからは俺の勝手な予想なんだけど、m9は弄り回されて指揮体にされたんじゃないかって俺は思ってる。国が指揮体の生まれ方について知っているなら、指揮体を作り出すことも不可能じゃないと思うんだよね」

 悠は斑目の話に思わず怒りのままに、手に力を入れる。力を入れすぎたせいで、悠の持っていたグラスはヒビが入り、テーブルを水で濡らした。

「おちつけよ?ここでキミが怒りに任せて暴れても始末されるだけだぜ?」

 斑目が写真を元の場所にしまいながら、困ったような顔をした。

「…分かっている」

 悠は返事をひとつすると、ゆっくりとグラスから手を離し、深呼吸をする。

「…その指揮体は破壊されたのか?」

「残念だけど、まだだね。存在は確認できてるけど、なんせ元諜報機として活躍した優秀な抱魂機だ。なかなか尻尾を出さない」

「…そうか」

「で、ここで取引の話になるんだけど、俺は君ににこの指揮体の情報をリークする。m9もどこの誰とも分からない輩に破壊されるよりかは君に破壊される方が本望だろうしね。──その情報の代わりに、君には国の隠している情報について探って欲しい」

 斑目は声を潜めながら、協力関係の内容を提示した。

「…俺のリスクが高すぎる。バレた時の代償があまりに違いすぎるだろう」

 悠としても、m9の破壊は可能ならば自身の手でケリをつけたいと思っているが、あまりにも代償が重い。

「まあ、そうだよな。それ言われるとは思ってた」

 斑目は悠の返しを予想通りだと頷くと、持っていたカバンから封筒を取り出し悠に渡した。

「これは?」

「君が持ってきた情報に対する対価、とだけ言っておこう。今回は俺の共犯者に巻き込んだ謝罪の分」

  斑目から受け取った封筒の中をのぞくと、そこには数十枚もの万札が入っていた。

「…悪いことをしている気分になる」

「それが大人になるってことだぜ、少年」

 斑目は茶化すようにケラケラと笑う。

「というか、多すぎないか…」

「命かけてもらうんだから当然だろ?それでも少ないぐらいだ」

 悠は少し考えたが、その封筒をカバンの中に押し込んだ。

 斑目は悠のその様子を見るとホットしたように、椅子に体を沈める。

「君には期待してるんだよね。とっておきのを頼むぜ?」

「過度な期待は勘弁してくれ。俺はまだ学生だ、できることも時間も限られてる」

「ははっ、分かってるよそのぐらい。…手始めに君の縄張りにいる指揮体の情報を持ってきてくれよ。指揮体の形や特徴が分かれば俺の方で元の所有者とかは調べられるし」

 斑目はすっかり冷めてしまったコーヒーを飲みながらカフェの窓から外を見る。

「無茶だけはしないでくれ、頼むから」

「………」

 悠は斑目のその言葉に返事を返さず、不思議そうに窓に視線を移すとそこに映る斑目の横顔を見た。


 




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