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神のいない世界  作者: ウニ
全ての始まり
2/64

開幕




都心から離れた薄暗いアパートの部屋で一人の少年が体を起こした。

 少年は窓のカーテンを開けると、後ろを振り返る。

q2(キュウツー)、おはよう」

『起床を確認。活動を開始する』

 部屋には少年の他には人影がないが、もう一人分の声がした。

 声の持ち主は四角いドローンのような見た目の機械。

 少年が生み出した包魂機(エクスマキナ)だ。

 q2と呼ばれた抱魂機はふわりと空に浮き上がると、その四角い体からプラグを2本伸ばした。

『動作に異常なし。日常行動及び戦闘行動、可能』

「なら良かった。なにか問題があれば報告しろ」

『了解』

 少年…神無 悠(かんなし ゆう)調律師(チューナー)である。悠の抱魂機、q2は悠の父が残した唯一の遺品に魂を埋め込んだものだ。

 悠は寝巻きのジャージから、通っている高校の制服へと着替えパーカーを羽織りフードを被ると、背負いカバンの中にq2を入れ家から出た。

 悠の通う高校は都心にあるため、朝は早めに家を出なければならない。さらに一人暮らしということもあり、節制が必要なため毎朝徒歩で通っている。

 悠が家を出たのは、早朝6時。この時間帯には人通りが少なく、悠はカバンに入れたq2と会話をしながら高校へと向かう。

「今日は涼しくて良かった」

『現在の気温は26℃、最高気温は32℃になる』

「最悪だな。保冷剤持ってくればよかった」

 既に7月に入っているということもあり、日々気温が上昇していく。

 悠はげっそりとしながら通学路を歩いた。



 *



 悠が高校に着くと、既に8時を20分ほど過ぎていた。いつもよりゆっくり歩いたせいか着くのが遅くなったようだ。

 教室内には既に何人かの生徒が登校してきている。悠はそちらには目も向けず、自身の席にカバンを置くと着席した。

 目深に被るフードを外さずにカバンから教科書や課題などのその日使うものを出し終わると、やることはもうない。q2を一撫でしてからカバンを閉じると、図書室で借りた本を机から出し読み始めた。

 それから20分ほど経つと、クラスの担任教師が教室内に入ってくる。

 教師は入ってくるなりフードを被ったままの悠を見ると顔を顰めたが、何度注意されても直さない悠に注意することをやめたようだった。

 日直の号令に従い挨拶を終えれば、教師が連絡事項を告げ教室から出ていった。

 何も変わらない、悠の日常だった。

 放課後になると荷物をまとめ、教室から出ていく。

 だが、いつもこのタイミングで邪魔が入る。

「神無くん、少しいい?」

「…またあんたか。要件はなんだ」

 同じクラスの学級委員長である藍原 咲希(あいはら さき)は、毎日のように放課後になると悠に話しかけてくる。

 悠はそれをうっとおしそうにしながらも、毎回足を止め彼女の話を聞いていた。

「今週末までに提出の課外授業のプリント、提出してないの神無くんだけなんだけどもう書けた?」

「それは…」

「藍原やめとけよ、そいつどうせまた欠席なんだから!」

 藍原に返事を返そうとしたところに、別の男子生徒が入ってくる。

 悠はそれをちらりと見ると、藍原に視線を合わせ直した。

「俺は行かない。欠席にしておいてくれ」

「あ、まって!」

 藍原の制止を聞かずに、悠は階段を降りるとそのまま高校から出た。



 *



 高校から出ると繁華街に向けて歩く。繁華街の手前には薄暗い路地が口を開いている。

 悠は迷わず路地の方へ入ると、薄汚れた赤い色の旗が上がっている建物の中へと歩を進めた。

「調整屋、いるか?」

「おや?君か!こっちだ!今少し手が離せなくてね」

 建物の中には眼鏡をかけた赤毛の女が、作業台の上にガラクタを並べなにやら楽しげに手を動かしている。

神樹(かみき)、昨日渡したガラクタの総額は?」

「ちょいと待ってくれ、こいつをやってからでいいか?」

「…わかった、なるべく早めにな」

 悠は赤毛の女──神樹の態度になれたように、近くにあった椅子に腰掛けた。

 悠がカバンを開くと、中からq2が姿を現した。

「いつも悪いな」

『問題ない。今日の予定は?』

「普段と同じだ。この辺り一帯の機械魔獣の探索及び撃破」

『了解した』

 q2との会話が途切れ、しばらくすると神樹の作業が終わったらしく声をかけられた。

「やあ、待たせて済まないな。昨日の報酬だろ?これでどうだ?」

 神樹は指を4本立てると、悠が首を振った。

「少ない、もう少し乗せろ」

「いや、これでも頑張った方よ?」

 悠は仕方ないとため息を吐きながら、追加で要求を伝える。

「…分かった。だが、プラスでメンテナンスを頼む」

「それならおやすい御用だ。隣の部屋で横になって待っててくれ。準備する」

 悠は溜息をつくと、神樹に刺された部屋へ向かい室内にあったパイプベットへ横になった。

 調律師である悠の体には霊力が巡っている。適度に流れを整えなければ体が思うように動かなくなるのだ。

 だが、霊力の流れを整えることは調律師には不可能なためそのほかの人間、調整師(アジャスター)に頼む必要がある。

 国に所属している調律師は専属の調整師が存在するが、 国に所属していないフリーの調律師である悠にはそんな存在はいないため、悠と同じく国に所属しない調整師である神樹に頼んでいる。

 神樹を待つ間、悠は自身の近くに浮遊しているq2を眺めていた。




週3~4で投稿を考えています。

遅筆ですがよろしくお願いします。

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