第3話 運が悪い
余談だがアンリミでいじることが出来るのは、身長と髪の色と目の色と髪型ぐらいだ。
ゲーム内でのクロは、銀髪碧眼で黒川のように胸まで伸びた長い髪を持っている。そして誠に大変なことにクロと黒川の顔が全く同じなのだ。
それに髪型も身長もそれほど変化が見られないようなので変えているのは、髪色と目の色くらいのようだ。
それに彼女はかなり長い間ログインを辞めていた。この学校に入学するためには転入試験を受ける必要がある。きっとその為に勉強していたと考えればますます可能性が高くなってくる。
この時点でもう俺は、黒川紗帆はクロであると断定している。
黒川がクロだとして何が問題かと言うと俺がユウだとバレる可能性がある事だ。最もそれは下手をしなければバレないだろう。理由としては2つある。
1つ目にゲーム内での俺のアバターは常にスカーフをしており顔の半分は隠れている。たまに外す時もあるものの現実での俺は、眼鏡をかけているし、ゲーム内でのように髪を綺麗に整えていたりはしないし、髪色と目の色も違う。正直似ても似つかないと思うので大丈夫なはずだ。
2つ目にあの彼女の見た目だろう。彼女の容姿は多分学校内の美少女ランキング(智哉によると男子内で毎月更新されているらしい)で5本の指に入るくらいには高いだろう。そんな彼女は、きっとスクールカーストにおいても上位に位置する存在のはずだ。それに比べて俺は、基本的に人と話さないようなぼっちの人種。スクールカースト底辺が関わるような存在ではないのだ。
以上の理由により俺は、多分バレないと思う。いやバレないで欲しい。いくらゲーム内での彼女と言えどバレたら失望される気しかしないからだ。主にこんなにだらけている姿に。
そんなことを考えている俺の耳に悪魔の声が聞こえてきた。
「折角、転校してくれたしここで席替えとするか」
「「「「「おおぉぉぉ」」」」」
みんなが歓声をあげる中なんでだよぉぉぉと叫びそうになるのを俺は、必死で抑えた。このクラスには、1人辞めてしまった子がいてその人の分の席が空いている。しかもその子は、俺とかなり離れている場所に位置しているので席替えさえなければどう足掻いても関わる必要がないのだ。
なのに・・・なのに・・・変な可能性を残してしまうんですかね。
俺は、隣にならないよう必死に祈った。
◇ ◇ ◇
「よろしくね、大城くん。」
「・・よろしく、黒川さん。」
結果として俺は、見事ハズレを引いてしまった。おかしいだろ30人中(黒川を除いて29人)のうちたった人だけが隣になれるのにも関わらずそれが俺なんだぞ?周りからは、嫉妬、羨望、殺意など様々な目が向けられている。
どうしてこういう時ばかりに俺は、ハズレを引いてしまうんだ。羨ましいと思っているそこの奴ら頼むから今すぐ変わって欲しい。あぁ、胃がキリキリする。
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