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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第五章 恩師救出と教え子の旅路
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81話:これからのパートナー

 ジンとヘレンは空を飛びながら、久しく会えなかった時間を埋めるように楽しく会話をしていた。

 ムーとシェスカは霊体化してジンの体内にいる。派手に動いてもらったので、少し疲れて寝ているようであった。

 会話を続けていくと、直ぐにヘレンの方が言い辛そうに口を開く。


「それでね、ジン。お父様たちの事なんだけど………、大丈夫かな? 乱暴に抜けてきちゃったけど」

「そうですね。………特に問題はないでしょう」

「そう、なの?」

「はい。今回の式の警備はベント公爵家が主導で進めていたわけですし、責任の所在は彼らにありますね。誰かに押し付けようにも不始末が多くてしばらくは味方からも距離を取られると思いますよ」

「どうにかなるかな?」

「安心してください、俺の方も裏から手を回しておきますので」

「出来るの?」


 ヘレンはジンの正体を知らないからなのか不思議そうにする。


「ええ、任せて下さい」

「そう、なら任せるけど」


 ヘレンはジンにお姫様抱っこの態勢で抱えられて移動している。その状態だと、彼女の女性としての柔らかさを感じざるを得なくて、少しドキドキとしてくる。女性経験は人並みにあるとはいえ、ヘレンの様な美女に迫られるようなことになればジンの鋼の理性もどうなる事か。


「これからどうするの?」

「ミルキアに向かいます」

「お父様に会いに行くの?」

「いえ、先生には協力してあげて欲しい人達がいるので、その方達にあなたを託します。定期的に様子は見に行きますし、気が合わないようなら別の部署に行ってもらっても大丈夫ですよ」

「が、頑張るわ!」


 可愛らしく鼻を鳴らして気合を入れるヘレン。すると、ジンは遠目にミルキアを確認する。


「そろそろ、着きそうですね」

「本当、早いのね」

「森に降りるんで掴まっててください」

「うん」


 ジンは森に降りるとそのまま彼女を抱えて街道へと出る。抱えていた体勢からヘレンを優しく下ろしてやる。


「あ、今思ったんだけどこの格好目立たない?」


 結婚式から逃げ出したばかりなので今の彼女はウェディングドレスを着たままなのだ。

 ジンは慌てず彼女の手に腕輪をつける。


「ん? なにコレ?」

「【衣装交換(ドレスチェンジ)】」

「へぇやっ!」


 ジンが呪文を呟くと、ヘレンの衣装が全て変わる。その際、布がこすれたような感覚があって、変な声が出てしまう。衝撃から戻ると、大分動きやすそうな服装になっていた。


「ちょ、ちょっと、いきなり、な、何すんの!」

「街の中に入った後に着替えさせるわけにもいかなかったので、すみません」

「いや、言ってくれれば、良かったんだけど。うー、それより、早く待ちに行きましょう」

「はい、お供しますよ」


 ヘレンは先を急ぐように普段よりも早い歩調で歩く、ジンはヘレンの歩調に合わせてゆっくりと進んでいく。空は青く、長閑な時間であった。


*  *  *


 街を歩いて目的の宿まで辿り着く。


「ここです」

「ここ?」


 指されたのは何の変哲もない宿だ、特筆すべきこともない普通の宿。


「中に入りましょうか」

「うん」


 ジンは中に入り、受付と手続きを済ませる。伝えられた部屋に向かいその扉をノックする。


「依頼者の方を連れてきました、入れても構いませんか?」

「……どうぞ」


 部屋の中からは少女の声が聞こえる。年齢的にはジンよりも下かな、とヘレンは思った。

 ジンが扉を開けると中には少女が3人、女性が一人いた。その四人とも、とても顔立ちが整っていたので、ヘレンは見惚れてしまう。


「先生、どうしました?」

「ひゃっ!」


 ジンはヘレンの首筋を指で突っつくと、ヘレンは奇声を上げて跳び上がる。


「んじゃ、取りあえず、それぞれの紹介をしていきますね」

「「「「お願いします」」」」

「お、お願いします」


 取りあえず、どちらの事も知っているジンがどちらも紹介する。


「先ずは数が多い方から、一番年上なのが望さん、真ん中が優夢さん、一番下の二人の右が祈で、左が願ですね。それで、こっちの人が自分の恩師のヘレン嬢です」

「「「「よろしくお願いします」」」」

「よろしくお願いします」


 ジンからお互いを紹介をされると、お互いに少し硬いながらも挨拶を交わす。一応、元社会人の望と、貴族として生きてきたヘレンは緊張を顔には浮べていない。祈と願、優夢の三人は人見知りなのか少し緊張した顔をしている、しかし、ヘレンの美貌には興味があるのかチラチラと彼女の方を見ている。


「それじゃ、俺からの依頼を正式に伝えるぞ」

「はい、お願いです」

「俺からお願いしたいのは彼女を目的地まで護衛して貰う事と、自分達のパーティーに入っても大丈夫かどうかを見極めること」

「? 護衛は分かるんだけど、見極めはどうして?」

「彼女はこの世界で天才と称される魔導師だ。そして、かなりの知識人でもある。帰る帰らないにしても、この世界について調べるのであれば彼女の知識は立派に力になってくれるはずだよ」

「ん? んー、そうかもしれない」

「取りあえず、お前らには彼女をつける。俺じゃ気付かない事だったり、相談しにくい事もあるだろうから遠慮なくしてやりなさい」


 ジンが好き勝手に言っているが、ヘレンは少し考えてみて悪い事ではないかなと思い直す。けど、彼女としては研究室に籠っている方が好きなのは否定が出来ない。


「先生も、それでいいですね」

「え、ええ、大丈夫よ。任せなさい」


 取りあえず、ヘレンの所属先は祈達の勇者パーティーで確定になった。

 そして、今度はヘレンへ説明する番だ。


「取りあえず、先生には彼女達に付いて行ってもらいます」

「う、うん」

「彼女達について、何か知りたい事とかありますか?」

「えーと、もしかしてなんだけど、勇者様?」

「はい、地の勇者ですね」

「ええー、大問題よ、これ。普通なら、直ぐに国に報告すべきなのに………」

「彼女たちは国に所属する気はないようですので、強制するのはやめてあげて下さいね」

「し、しないわよ!」

「なら、安心ですね。彼女たちの事、よろしくお願いしますよ」

「それは、分かったけど。具体的に何すればいいの? 彼女たちは元の世界に帰りたがっているみたいだけど、私じゃ返してあげるのは無理よ」

「流石に、そこまでできるとは思ってませんよ。僅かであっても手がかりとか、現地人からの意見とか、習慣の違いからのトラブルの対処とかをしてあげて下さい」

「う、うーん、なるべく頑張るわ」

「はい、期待してます」


 ジンはヘレンに励ましの言葉を贈る。これで、一通り話すべきことは話した。次に護衛についての移動先について話す事にする。


「で、どこまで行けばいいんですか?」

「ああ、一先ずはガロリド皇国のルーカスってところだ」

「ルーカス………。聞いたことない」

「私は、あるよ。カンダ商会の拠点なんだよね」

「………先生の商売敵。………はっ!」

「くだらない事、想像してんな」


 カンダ商会はここ数年で勢力を拡大していて、特に女性向けの商品を貴族、平民分け隔てなく販売しているらしい。その商会の商会長はレズモンド公爵家の次女ーー、エリーゼ=レズモンドだ。一応、商売敵と見れなくはないが、ターゲット層はそこまで被っていないのと、彼女たちの製品は類似製品の開発、改良の役に立っているので潰したり吸収する意味もない。貴族ににらまれても面倒だから放っている。


「あそこには女性向けの商品とか売られてるから、一回、一通り買い揃えておきな」

「あっ、そういえば私、遠出用の荷物とか用意してないけどどうすれば?」

「道すがら、買ってもらうことは………」

「食料とかならともかく、服とか、下着とかは無理かな? その、えっと、私の、大きくて毎回オーダーメイドだったし」

「………なるほど」


 ヘレンのは大きい、何処がとは言えないが。確かに、合うサイズを探す方が苦労するだろう。


「今夜、領主館へ行くのでその時に荷物を回収してまとめておいてください」

「目立たない?」

「隠して行くんで気にしないで下さい」

「私達はどうするんです?」

「付いて来い、夜までは自由にしてて良い。時間になったら迎えに行くよ」

「はーい」


 ジンはそれだけ伝えるとヘレンを置いて部屋から出ていく。暫く五人だけで話す場を作ることにする。その間に彼女たちは風呂に入ったり軽食を食べたりとヘレンと祈達は交流を深めていった。

 空が暗くなっていくと、ジンも戻ってきた。


「それじゃあ、領主館に行く前にヘレン嬢にはしてもらうことがあるので隣に来てください」


 ジンはそう言ってヘレンを引っ張ってジンは隣の部屋に連れ込む。


「本来なら、イヤらしい行為に入るのがセオリーだと思うんですが」

「ええ、ここでするの!?」

「しないんです。代わりにこれを、どうぞ」


 ジンはヘレンに手のひら大の白い玉を渡す。


「何コレ?」

「説明は時間があるときにするんで、それを口から入れて貰えます?」

「いや、入んないでしょ、これ」

「いや、入れるんです」


 ジンは玉を握らせたヘレンの手を掴んで無理矢理口に近づける。すると、玉はヘレンの口元に吸い込まれる。


「んっ、くっ、んんっ! なに、これっ?」

「自分のステータスに新しいスキルがあると思うんでそれを起動してもらえます?」

「ええっと、【メニュー】っていうのが増えているね。これは?」

「それを使ってもらえます?」

「わっ! 色んなのが出てきた」

「それの中に交流欄って項目があると思うのでそれに触れて下さい」

「これかな、って、ステータス欄?」


 ヘレンは起動された【メニュー】の能力にある交流欄の能力を確認していく。


「名前とスキルを組み込んでいきます。もちろん隠蔽のために偽名でね」

「でも、私は隠蔽の能力があるよ。必要ないと思うんだけど」

「隠蔽は完全ではないんですよ。魔力の制御が完璧とはいえレベルの差があると、看破されやすいんですよ。なので、身元がバレない様にこれをちゃんと入力してもらいます」

「う、うん」


 ジンは語気を強めに言って念を押していく。名前に関しては勇者と共に行動するので日本風の名前を用意してやる。


◇  ◇  ◇


千治(センジ) 志穂(シホ) 種族:人間 性別:♀ 年齢:21歳


職業:魔導師


レベル:39


HP :440

MP :440

STR:440

DEF:440

RES:440

AGI:440

INT:440


称号:なし


❖コモンスキル


・戦闘スキル

体術    (Lv3)

射撃    (Lv10)

狙撃    (Lv7)


・魔法スキル

魔術    (Lv10)

火炎魔法  (Lv10)

水界魔法  (Lv10)

緑魔法   (Lv1)

大地魔法  (Lv10)

吹雪魔法  (Lv10)

黄魔法   (Lv2)

無属性魔法 (Lv10)

魔術付与  (Lv10)

魔法付与  (Lv10)

魔術回路形成(Lv10)

魔力視認  (Lv10)

魔力精密操作(Lv10)

使役魔法  (Lv10)

身体魔法  (Lv4)

魔力同調  (Lv10)

魔力浸透  (Lv10)

魔力譲渡  (Lv10)

魔力解放  (Lv10)


・生活スキル

計算    (Lv10)

読み書き  (Lv10)

話術    (Lv10)

共通語   (Lv10)

舞踏    (Lv10)

礼儀作法  (Lv10)

鑑定遮断  (Lv10)

鑑定    (Lv10)

教育    (Lv10)

薬草知識  (Lv10)

教練    (Lv10)

飛行    (Lv1)


・創作スキル

魔道具制作(Lv10)

調合(Lv10)

錬金(Lv10)

修理(Lv10)


❖固有スキル

なし


ギフト  

妖精契約 (契約精霊)アイリーン


・装備

武器 :無手式魔法補助杖

防具 :黒角(ブラックホーン)のレザーアーマー、竜綿のシャツ、竜綿のパンツ、黒角のブーツ

装飾品:隠蔽系統強化型強化布外套


◇  ◇  ◇


 取りあえず、こんな感じになった。


「これで良いかな」


 別に交流欄は見せられるわけでは何のだが、ヘレンはジンに確認を求める。

 ジンは同じメニューではなく鑑定で確認する。


「……問題なさそうですね。これで良いでしょう」


 一先ず、祈達の身内という事にした。知人のいない異世界ならばバレる心配もないだろう、勇者とかにはなんか見つかったと言えば誤魔化せる範囲だろう。ヘレンには髪色を変える魔道具を貸し出して桃色から黒に近い茶髪に変化する。


「それじゃあ、先生にはこれから勇者の叔母として過ごしてもらいます」

「うん」

「それじゃあ、話はここまで。領主館に向かいましょう」


 また、隣の部屋に戻ってヘレンに祈達と夜まで過ごさせる。夜になると黒影魔法で影の中に潜んで領主館に向かった。

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