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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第五章 恩師救出と教え子の旅路
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78話:結婚式

 ヘレンが黄昏ていると、結婚式の開始時刻になり馬車へと移動する。その顔にはベールが掛かっている。ミシェルは既に馬車に乗っていて期待を顔から滲ませている。

 結婚式は開始地点からパレードを行う、その時はヘレンは顔にベールを被せたままで巡回する。その後には王都の大教会にて結婚式を行いその時にベールを外し、式が終わったらベールを外したまま王都中を顔を見せながら帰りのパレードを行う予定になっている。

 彼女はベールを被っていて気が楽だった。キツイ香水の匂いは防げないがまともに顔をみることが無いのは彼女にとって幸運だったのだろう。

 少しだけ、リラックスした雰囲気が伝わったのかミシェルは顔をほころばせてヘレンを隣に迎い入れる。身震いしそうになる体を必死に抑えてヘレンは彼の隣に立ち。それから騎士が合図をすると、ファンファーレと共に馬車が進みだす。


(ここからは、邪魔が入る余地などない。今宵も楽しみだが、今は誓いのキスで我慢しておくか)


 歪んだ淫欲を顔に浮べたミシェルは今夜の事を想像していた。隣のヘレンは何も言わず人形として自分を立たせている。


*  *  *


 パレードの音楽を流しながら英雄の凱旋パレードの様に華々しく街中を進んでいく。

 パレードが始まってもヘレンの心は落ち込んだままだ。薄い布の先に見える景色は、薄暗くて酷く寒々しく見える。しかし、映る景色の人々は皆が皆楽しそうで嬉しそうにしていた。ヘレンは別の世界に来てしまったような感覚を覚えて身震いしてくる。ヘレンは表面上は周りに向けて穏やかに手を振っていたが、彼女の内心はボロボロで、今にも泣き崩れたいという気持ちでいっぱいだ。


「見えているかい? 民衆達の幸せそうな表情を」

「はい、大丈夫です」

「私の父がこの民衆達の幸せを作ったが、いずれは私がその後を継ぎこれよりもより大きな幸せをもたらせるだろう」

「ふふ、その近くで見守らせてくれると嬉しいですわ」


 口調だけは穏やかにベールで隠した顔で小声でミシェルの話に付き合う。


「ああ、傍にいてくれ、そして目に焼き付けられるだろう。ガイネア王国の繁栄へと導く英雄の傍で」

「はい、夢のようですわ」


 ヘレンは自慢げなミシェルの話を聞きながら憂鬱な気分になっていく。彼女はミシェルの横にいる事など望んでいないし、逃げられるのなら逃げてしまいたい。けど、周りが世間がそれを許さない。それにもうここまで来たら逃げるのは不可能だ。彼女が暗殺されるぐらいでないと彼女の心が救われることは無いだろう。だから、彼女は心を殺す、従順な人形としてこの男の傍にいることで自分の家族を守るために。


「ご覧、そろそろ大教会だよ」

「はい」


 ミシェルが大教会を指差すとヘレンは無機質な返事を返す。

 すると、後ろから騒ぐ声が収まった。先程まで耳をつんざくようにミシェルを褒め称えたり、ベント公爵家を褒めそやす声が聞こえていたのにいきなり収まった。

 ミシェルもヘレンも妙に思って振り返ると一人の男が立っていた。黒い外套を羽織って、その顔には白い仮面をつけている。不思議な圧迫感があり、明らかに異常事態にも拘らず誰も民衆の中に引き戻そうとしない。

 すると、黒い男は歩き始める。別に走っているわけでは無い、急ぐ必要もないという感じだ。

 この一団の護衛隊長ーー、ダント=バンルはハッとするとすぐさま剣を引き抜いて、部下に命令する。


「その不審者を、即刻捕らえよ! この結婚式を穢す不届き者を仕留めて、王国の威信を、銀光騎士団の武を知らしめるのだ!」

『『『了解!』』』


 馬車を囲っていた騎士が全員黒い男の方を向く。護衛として隊長含めて三人が残り。ミシェルはヘレンを傍に寄せて、成り行きを見守る。


「心配はないよ。彼らは私が団長を務める騎士団の精鋭、出生も能力も認められた選ばれし者たちだ。あの程度の男なん、……て、へぇ?」


 ミシェルが自慢を言い切る前に彼には信じがたき光景が飛び込んでくる。


*  *  *


 黒い男ーー、ジンはヘレンとミシェルを護衛する一団と対峙していた。


「おらぁ!」

「しっ!」


 先ずは二人が飛び出て、ジンに斬りかかっていく。最悪殺してしまっていいように手加減はない。しかし、ジンは見切ってのど元に一撃ぶち込むと同時に電流を流して沈める。と同時に横に集まっている民衆から同じ様な黒い人が飛びだし後ろにいた騎士達三人以外を取り押さえる。


「くそっ! 離せ!」

「何者だ貴様ら!」


 騎士達は無様にはいつくばって、騒ぎ立てる。何ともまぁ、プライドが高い騎士たちからすれば、みっともない状態である。

 ジンは歩いて進んでいく。それを阻めるのはもう三人の騎士だけだ。ダントは馬の上に載ったまま、アイコンタクトで部下に指示して突撃する。二人の部下はそれのサポートに回る。ダントが正面から突撃し、上から切り掛かろうとする。しかし、その前にジンが詰め寄って鳩尾に掌底をかまして馬の上から弾き落す、ダントは掌底の衝撃で気絶した。サポートの騎士はジンが着地した瞬間を狙って斬り付けようとするが、着地の際に体を捻ってギリギリで躱す。


「はっ………っ!」

「うっ!」


 ジンは擦れ違い際に一撃ずつ打ち込んで黙らせる。

 そのまま馬車に飛び乗る。車上と周りには重い緊張が包んでいる。


「ぐっ………うおっ!」


 ミシェルはジンへと殴りかかると、投げ飛ばされて床に倒される。そのまま、新たな黒い男がミシェルを抑え付ける。


「くそっ! お前ら何者だ、離せ!」


 ジタバタと暴れるミシェルを無情に黒い男は押さえつける。ジンはウェディングドレスに身を包んだヘレンに近づいていく。

 ヘレンは仮面をつけたジンの正体について気づいてはいたが、たじろいで後ろに引いていく。

 ジンは彼女の近づきつつも、懐から拳銃を取り出して近づこうとする兵士を威嚇射撃で牽制する。


「動くな。黙ってみてろ」


 一言それだけ言うと、誰も動けなくなってしまった。

 ミシェルの父のベント公爵や、ヘレンの父のグルトンが駆け寄ろうとしているが、ジンを刺激しない様にと兵士たちに止められている。グルトンは本心で娘が心配だから、駆け寄ろうと思っているのだろうが、ベント公爵は家の面子が傷つくと思っているからだろう。


「さて、初めましてというべきかな」


 ジンはヘレンに拳銃を突き付ける。グルトンの依頼とは違い完全に彼女を殺そうとする構えだった。


 終盤以外のの結婚式ってラノベだと大抵ブチ壊されるよね。何でだろう?

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