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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第四章 召喚勇者と見守る守護者
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63話:国際法と貴族への対応

 初日の授業から翌日の朝。

 全員登校し終わった後に数分してチャイムが鳴った。


「じゃ、また授業を始めましょうかね」

「はーい」


 数人から返事が聞こえる。どうやら昨日の事は他の守護者達がケアをしてくれたようである。ジンは少しだけ感謝はしつつ、授業に入っていく。


「んじゃ、今日の授業に入りましょうね。今日の授業は国際法と貴族への対応だ」


 ジンは持ってきたプリントの束を全員に配る。五枚くらいの紙にまとめられていて、中身を見ると法律のようなモノが簡単にまとめられていた。


「今配ったのが、俺が簡単にこの世界の法律の基準になっているものを簡単にまとめたものだ。順々に説明していくぞ」


 そう言って、ジンはこの世界の基本法について説明していく。

 国際法とはこの世界の情勢が安定していた時に全世界の国家全部で決めたこの世界で基本となっている法律である。その内容は殺人、盗み、詐欺などの刑事事件に関係する法から、土地の利用権や商売上のルールなどの民事的な法律を網羅しているものである。


「うーん、俺も六法全書を暗記しているわけでは無かったけど民事に関しては類似点が多いよ」

「んー、六法全書って何ですか?」

「あー、そう言えば君はまだ小学生だったか」


 勇の疑問にジンはどうしようかと頭を悩ませる。忘れていたけど小1くらいの人間にこういう話は難しすぎると思い直した。


「仕方ない、君達は別室でお勉強だ」

「えー」

「大丈夫だよ。なるべく優しく教えるし」

「えー」

「ええい、とっとと行きなさい」


 ジンはレスを召喚して隣の教室へ連れていく。姫奈は心配そうにその後ろ姿を目で追っていく。


「気にするなとは言わないが、信用してくれ。別に取って食う訳じゃない。中学生くらいの知識を教え込んでいく。教科書はないから社会は出来ないけどそれ以外ならそこそこの知識を与えるよ」

「う、うーん、大丈夫なんですか?」

「大丈夫、大丈夫。脳に接続して知識を流し込む、見たいのじゃないから」

「いや、別にそんなの予想していたわけでは無いですよ」


 えげつないジンの予想を姫奈は否定する。他の奴等も流石にそこまではと思った。


「切り替えていこう。続きを話していくと基本的な法の体制としては六法全書とほぼ変わりないから。日本の法律とあんまり変わりはない、あっちでやってはダメな事はこっちでもダメな事だ」


 ジンはつらつらと内容を話していく。正直あんまり説明することはない、平民同士の諍いはほぼ日本と変わりはない。したがって、そう言う話は直ぐに落ち着いた。


「それじゃ、午前の本題。貴族について話していこう」


 異世界の定番の住人である貴族について説明を始める。

 貴族の爵位の順位順としては基本的に、男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵、王族の順に高い地位を持っている。辺境伯や名誉職もあるがそれはそれぞれに違うことも説明に付け加える。


「まぁ、情勢に応じて変わっていくんだけどな」


 そこまで説明すると複雑になってくるので、今日の所は説明はしない。


「各国で貴族の扱いも変わってくる。政治をするだけだったり、絶対的な権力者だったりな。まぁ、聖王国以外ならまともな人間の方が多いぞ」

「先生! 国の名前が分かりません!」

「地理や昨今の情勢については、明日話すから今日はそうなんだくらいで良いぞ」

「はーい」

「続きを話していくと、貴族は特権階級に生きている。したがって、あんまり対抗するのはうまい手ではない。けれど、本当に嫌な事は断って良い。昔、人妻に手を出した貴族がその旦那に殺されたが、軽く拘留されただけで終わった事例もある」

「………何が基準になってるんでしょう?」

「貴族の特権に、無礼打ちというのがある。貴族の名誉を穢した人間を問答無用で殺せるというものだ。けど、この特権は厳格にルールが定められているんだ。さっきの一件の非は貴族側にあったわけだから、こういうのは何も文句は言えないんだ」


 ちょっと、全員が安堵する。少なくとも自分達側に非が無ければ、解放されることが分かって安堵もするのだろう。


「けれども、その一件は親から見放されていた貴族の人間が起こしたものだから、何時もそうなるとは言えないんだけどね」

「………黙ってやられろってことですか?」


 悔しがる感じであすながジンに抗議する。ジンに抗議をしても意味はないのだがそこには突っ込まないことにする。


「別に無礼打ちは払いのけても構わないよ。そう言う場合は自動的に扱いが決闘ってなされて武力で決着が着けられる。勝っても特に問題にはならない。ただまあ、あんまり人を馬鹿にする言動は控えましょうね」

「問題解決になっていないような」

「まぁ、基本関らなけれな何も問題はない。物珍しさにつっつくことはやめて置けよ」


 最後に全員にそう釘を刺して締めくくった。


*  *  *


 そんなこんなで時間は進み。ジンは生徒全員に色んなタイプの貴族への対処法を教えていく、簡単なのから厄介なのまで理由と対処法に至るまで図解付きのプリントも配り詳しく説明していく。


「ま、説明した通り。扱いやすいのもいれば、触れれば泥沼に引き込んでくるのも様々だ。何かあるようならサッサと逃げる事をお勧めするよ。下手に触れれば国を相手取ることになる」


 最終手段の強引な手も教えて置く。逃げは消極的な手法ではあるが、こういう身分制度がはっきりしている社会ならかなり効果的な手でもある。


「じゃあ、一と二時間目続けてだったから早めに終わろうか。これにて解散。好きにしていいよ」


 ジンはそのまま教室を出て行く。教室にはこれから何をしようかと迷う生徒達だけが残された。その中で生徒の一人、姫奈は弟たちの安否を心配しジンを追い掛ける様に教室を出る。すると隣の教室から弟たちの声が聞こえてきた。


「勇、エリカ、大丈夫だった!?」

「よく出来ましたね。花丸を挙げます。では続きを解いていってくださいな」

「はーい」


 姫奈が飛び込み勇んできてみれば、エリカと勇がレスと一緒にいい子で授業を受けていた。教師以外は普通の小学生のような授業風景だった。


「あ、お姉さんが見に来てくれましたよ」

「どうも」


 何となく緊張したように姫奈はレスに挨拶する。見た目は骸骨なのでエリカ達がビビっているかと思ったがそんな事なく強く懐いている様だった。


「そちらの授業は終わりましたか?」

「あ、はい」

「では、もう少しやったらこちらも終わりにしましょう」


 レスはそう言うと教えたところの少し難しい問題を出して答えが出るまで待っている。姫奈は何となく授業の邪魔をし難いので隅に椅子を置いて待つ。

 数分すると、二人とも課題を終わらせた。


「出来たー」

「先生見てー」

「ええ、見せて下さい」


 レスは答案を受け取り採点を始める。採点の結果は、


「お見事です。二人とも満点したよ」


 優しく二人の頭をなでると、姫奈の方へレスは誘導して自分は何処かへ消えてしまう。エリカと勇は不思議に思ったが、皆で何処かへ行くことにする。


「何処にしようかー」

「本読みたいー」

「私もー」

「それじゃあ、図書館に行こうかー」


 呑気な姉弟は図書館棟を目指して歩き始める。徒歩で歩くと大きめのドーム状の建物が見えてきたそこに入ると大量の本が棚に所蔵されていた中には数人いるだけでかなり持て余しているようである。


「静かにいこうね」

「うん」

「分かった」


 エリカと勇を引っ張って図書館棟の奥へ進んでいく、ジャンル分けにされていて姫奈達は取りあえず分かりやすそうな絵本のコーナーへ向かっていく。


「………」

「………」

「………」


 全員静かに集中して絵本を読み込んでいく。分かりやすく文化が紹介されているのでこういう話を見て文化をすんなりと学べる。

ジンの授業を聞いた後だと、貴族の権利を正当化させるような内容がたくさん入っていると感じる。こういう所から正当化する為の教育が始まっていくのだろう。


「巧みなものだなぁ」


 姫奈はちょっとだけ関心する。英雄の功績なんかがどこまで本物で、史実がどれくらいあっているのかは知らない。それでも、こういう所から侵食して影響力植え付けるのだろう。


*  *  *


 昼食後、今回は武道場に全員が集められた。


「えー、本日から暫くは体術を教えていきますね。先ずは、体操とストレッチから」


 ジンは予定通りに体術の訓練から始める。最初はストレッチや体操から始め、怪我をしない様に体をほぐしていく。その後はランニングをしてから、基本的な型や受け身の取り方を丁寧に教えていく。生徒全員が素人なのであんまり強く強くは出来ない。


(………やりにくい)


 あんまり気にしすぎるのも失礼だろうが、それでも力の差がありすぎるから気を抜いてやれば殺してしまう。まぁ、組み手をやるわけでは無いので、今は気にしなくても良いが、段階を踏んでいくと過激になってくるので頭の中には手加減を意識して訓練を付けていく。


「ん、良い感じに動けるようなので。今週中には発展に入れそうですね」

「はーっ、はーっ、きっつ!」


 俊哉が弱音を吐く、延々と投げられ受け身を懸命にやり続けたおかげで体の節々が痛く体力も限界に近い。俊哉はまだ体力がある方で、祈なんかは疲れすぎて大の字になって寝ている。

 今回、彼らを鍛えて分かった事は、学習速度がかなり高い事だ。座学もそうだったが、習得速度が一般人と比べてもかなり高い。一回言ったことは直ぐにできるようになってる。教える側としてはありがたいが何が原因なのか分からないので慎重に事を進めようと意識する。学習速度が上がって何かおかしくなるような事にはなって欲しくはない。


「取りあえず、今は休んでていいよ。飲み物用意してくるね」


 ジンは武道場を出て数秒で飲み物を用意してくる。コップにスポドリもどきを注いで全員に配る。全員一気にそれを飲み干してもう一回倒れ込む。暫くは立ち上がれなさそう、なのでしばらくは休憩にする。


「なぁ、先生」

「んー?」

「先生は強いんだよな?」

「そこら辺の人よりはねぇ。なんか、イメージでもあった?」


 信壱があおむけに寝ながらジンに何となく疑問に思ってたことを聞いてみる。


「強い人って普段何してんだ?」

「どういう意味?」

「いや、この世界って強い奴が偉いとこみたいなのがあるんだろ?」

「場合によるがね」

「だったら、普段何してるんだろうかって思って」

「所属とかにもよるけどね。冒険者なんかは魔物倒したりしてるよ。他にも騎士とかは、訓練をしていたり仕事してたり。正直一貫して行動していることは無いかな」

「ほーん」


 のんべんだらりと話しながら、10分ほど休憩した後にランニングに入る。こっからは体力と筋力強化のメニューに切り替え。ランニングと同時に筋トレもして基礎体力を伸ばす。セット間に休憩を挟みつつ、最後にクールダウンして今日の授業は終わりになった。


「今日は辛かったねぇ」

「でも、最後の方はなんか楽だった気がするね」


 話している内容を聞いていると、頭だけでなく体力の適応力も全員高くなっている。ジンがこっそりステータスを見てみると、レベルが上がっている。簡単にレベルが上がるのは、ジンと同じで異世界人の特徴なのだろう。

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