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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第四章 召喚勇者と見守る守護者
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61話:初授業とお昼ご飯

 初授業の日。

 ジンは言った通り、優夢達を迎えに来た。インターホンが無いので、扉を強く叩く。


「千治さーん! いらっしゃいますかー!」


 傍から見れば借金取りの様な感じである。そんな借金取りはガンガン扉を叩く。すると中から祈が出てきた。


「ほい、お時間ですよ」

「もう、ですか?」

「やっぱり、異世界来てまで学校は嫌ですか?」

「そうじゃないです」


 ちょっとふてくされてような感じになる祈。しかし、直ぐに持ち直してジンを家のリビングに案内する。そこには優夢達がジンを待っていた。


「準備はどうです?」

「出来ました」

「じゃ、行きましょうか」


 ジンは言葉は少なめに確認を行い、そのまま外へ出て学校へ案内していく。

 学校まで付くと、その門の隣にあった守衛室に行く。


「話は伝えていた通り。後ろの奴等が新入生だ。学生証は後で発行しておくから、暫くは確認無しで入れてやってくれ」

「分かりました。職員室で手続きはしておいてください」

「了解」


 守衛室にいた守衛さんに一言伝えてジン達は学校へ入っていく。四人はジンの後について学校へ入っていく。学校の内装も外装も自分達の世界の学校とよく似ていた。


「あの、ここすごく元の世界の学校の構造に似ているんですけど」

「似せて作ったからね」


 そう答えるジンの表情は何処か寂しそうにしていた。その表情を見ていると優夢の胸が少しだけ締め付けられる様に苦しくなった。そんなモヤモヤした感じを面に出さないようにしながら優夢は皆と進んでいく。


「で、ここが職員室。困ったことがあるならここに来ると良い。ちょっと待っててね」


 ジンは職員室に入っていく。職員室に入り、奥側にあった机の上の書類を取る。そこから優夢達の名前を探す。所属と教室を確認すると部屋から出て行く。


「お待たせ。三階の一番奥の部屋が教室になってる。だから皆でそこに行ってね」

「はーい」

「うん、良い返事。じゃあ、行ってらっしゃい」


 ジンは慈愛に満ちた表情で全員を見送る。そのままジンは職員室に戻って書類をあさるのだった。


*  *  *


 祈達は教室の前に立ち戸を開ける。内装は普通の学校の様で、そこにはすでに何人か同じような生徒がいた。

 人種的に日本人に見える。しかし、新学期特有の気まずい空気が流れている。全員仲良くとはいかないようだった。仕方が無いので取りあえず全員固まって座る。

 その後、何人か入ってくるが、特に会話もなく全員が座る。気まずい空気で数分過ごしていると、チャイムが鳴った。一度は聞いたことがあるような、キンコーン、カンコーンと言う感じのチャイムが鳴る。そこで教室の前方のドアが開いた。


「こんにちはー、授業を始めましょうかね」


 入って来たのはジンだった。先生っぽい格好をして、指示棒を持っている。


「さて、新学期という事で自己紹介からやっていこうかな。ほとんどの人は初めまして、俺の名前はリョウです。何もなければ仲良くしましょうね」


 普通にジンは自己紹介した後に端の生徒から自己紹介を促す。

 そんなこんなで全員の自己紹介が終わるとジンは次の話に移る。


「先ずはこの施設の紹介からしましょうか。案内するのでこちらへどうぞ」


 教室のある建物を全員で出ると、ジンは全員に向き直り紹介を始める。


「先ずはここ、特別棟。正直に言ってコンセプトとかはない。色んなクラスを詰め込む予定の今はクラスが一つの棟」

「私達のだけですか?」

「他には何もないよ。普通のクラスはまた別の棟にあるから、次はそっちを見てみましょうか」


 ジンは別の棟がある方向へ歩いていき、全員それに付いて行く。そして、様々な場所を紹介していく。講義棟、研究棟、教育棟、図書館棟、食堂、と一通りグルッと見て回ると特別棟に戻ってくる。


「一通り見て回りましたが、何か質問は?」

「利用時間とかは決められているのですか?」

「講義棟、教育棟、食堂は利用時間は決められてますが、他は解放されているので好きに利用してもいいですよ」


 ジンはその後はいくつか質問に答えて、教室に戻った。教室に戻るとジンは全員にプリントを配る。


「それはここの簡単な見取り図だから好きに使って」


 すると丁度良く学校のチャイムが鳴る。


「うん、チャイムもなったし10分休憩。好きにしてていいよ、次も遊びみたいなものだし」


 ジンはそのまま教室を出て行く。

 授業が終わると、朝よりも少しだけ喋りはじめる。周りの話が盛り上がっていくと、話しかける人が出始め十分経つまでにはだいぶ打ち解けた雰囲気が出始める。

 十分経つとまた、チャイムが鳴る。


「じゃあ、また授業だけど、今日は魔法の基礎をやってみましょうかね」


 教室中からワクワクした気分を感じる。ファンタジーの定番だからだろう皆がワクワクする響きが詰まっている。


「ま、その前にステータスを確認しましょう。と言っても、いきなり言われてもって感じでしょうから、、やり方を説明をしますね。最初に手首辺りを深く凝視してみて下さい。コツとしては血管の中を見通す感じで」


 ジンに言われたように全員が同じ行動を取る。ただ、俊哉だけは知ってるような感じである。

 すると全員にPCウィンドウが出てきたようで、うわっと驚く声が聞こえる。どうやら、全員見えるようになったようだ。


「その今出てきたのがステータスな。ある程度の自分の身体能力とかを数値化されてもの。レベルが高けりゃ強いってわけでは無いけど、一応の目安になる値だ」


 ジンは出てきたステータスについての説明をする。続けて注意事項も伝えて置く。


「ただ、同じように他人を見れば同じように人も見れてしまう。そして、その情報はかなり重要だ。知られたりしたら誰かに悪用される可能性もある。なので、皆にこれを配ろう」


 そう言ってジンは教卓の下から大きめの箱を取り出す。そして中身を取り出して皆に見せる。それはネックレスだった。


「さっき見た様にステータスを見る事は鑑定っていうんだけど。これはそれを阻害する為の道具なんだ。何があるか分からない以上は全員付けて自分の個人情報を守ってくれ」


 そう言って、ジンは箱をもって席を周り。順々にアクセサリーを渡していく。全員に渡し終わると前に戻って説明を続けていく。


「それはもう上げるから自由にしてくれ。今回の鑑定は魔法の中でも基礎中の基礎みたいなものだ。ココから少しづつ発展させていくことになるんだけど、もう少しだけ先に触れていきましょうか」


 そして、ジンは皆に基礎を教えていく。と、思ったのだが流石に室内でやらせるのは危険な奴もあるので外に用意していた校庭へ出る。

 先ずは魔力の感知から始めさせる、その次に魔力の操作、そして魔力への命令。これで魔法が扱える。詠唱は唱えなくても良くて、イメージを固める事は重要になってくることを伝えた。そんな感じで教えていくと、習得速度にも差異が出ていることが分かった。大体、勇者、優夢、それ以外って感じだった。神器や精霊が関係しているのだろう、その証拠に各属性に特化して伸びている。それでもこの世界の一般人からすると異常な習得速度である。これが異世界人クオリティか。そう言えば、ジンも魔法の習得速度は速かった気がする。魔術も教えようかと思ったけれど、制御技術が未熟だと暴発しかねないなので、見送ることにする。


「魔法の練習は危険が無いように、広い場所で暇な時にやりましょうね。後は自由にしてて大丈夫です。お昼も好きに食べて大丈夫ですよ」


 ジンは少しだけ離れて全員の練習を見守っている。危なくなるようなら、魔法で補助したり守ったりして十数分を過ごしてやっとチャイムが鳴る。それを聞くと全員食堂の方へ行くことになった。ジンはそれを見送って職員室に戻った。


*  *  *


 ジンが職員室でお昼を取っている時、特別クラスの人間は食堂に来ていた。昼食を食べに来たが全員思い出した。昼食代が無いのだ。


「どうしましょうか?」

「俺、ちょっと、先生に相談してきます」


 蓮人がそう言って特別棟へ向かっていく。全員やる事もないので食堂の前を開けて少し離れたところで待つ。戻ってきた蓮人はその手に少し大きめの袋を持っていた。


「なんか先生が、使った金額を書いて後で渡してくれって」

「分かりましたー」


 それぞれが返事をして、中のお金を蓮人がそれぞれに配る。そしてメニュー表を見て、料理を決める事にする。見ているとおかしなことに気付いた。


「あれ? 文字が読める?」


 習ったこともない文字なのに意味をしっかりと理解できることをおかしく思う。その理由を考えようかと思ったが後ろから一般の生徒が続いてきた。なので疑問は後回しにして、サッサとメニューを選ぶ。祈達の組は、祈がハンバーグ定食、願が焼き鮭定食、望が牛丼、優夢が青椒肉絲(チンジャオロース)定食にした。

 他の子も定食なんかを選んで席に着き食べ始める。食堂内で彼らは注目を集めていた。顔がいいのと、この付近では見ない黒髪を持った集団だっため注目を集めた。


「なんか、見られてるか?」

「黒髪が珍しんじゃない?」


 信壱の疑問に、少し周囲を見て幸次が答える。彼の予想は当たっていて、彼らの周囲には茶や金髪の色が多く、黒髪は居ない。それもその筈、髪に加護を与えられた人間は髪が白くなるので神様の色に反する黒は不吉な色として見られている。そのため、黒髪の人間が表に出てくる事はほとんどないので、黒髪を珍しがられる物なのである。


「次の授業は何なんだろう?」

「ハードじゃないと良いな」

「そりゃあ無理な話だろ。こんなハードな状況でそれを期待するのも無駄だろう」


 蓮人と俊哉は何か気が合うのかつるんでいる様だった。まだ少しぎこちないが、充分仲良くなれそうである。

 そんなこんなで注目される食事が終わり全員食堂から出て行く。そんな彼らの後ろ姿も注目されるのだった。


*  *  *


「なんか、居心地悪かったです」

「気にすんなよ。黒髪が珍しかったみたいだし、一週間もすれば他の奴等も慣れるだろう」

「そうでしょうか?」


 一番年下の祈がぼやくと蓮人がフォローしてやる。多少垣根を越えて話せるようになったのは、蓮人がお兄ちゃん気質だからだろう。昔から、手のかかる幼馴染を世話してきた蓮人はこういう場面に弱く、また慣れてもいた。


「蓮人、慣れてるんだな」

「ああ、手のかかる幼馴染がいてな。何かに挑戦して、失敗するとスゲー落ち込んでいるんだよ」

「羨ましいね」


 全員で特別棟に戻ってくると丁度ジンが建物から出てきた。その手元には模擬武器が箱にいっぱい入っていた。


「先生、ソレ?」

「次の授業で使うもの。少しハードになるし大体のサイズで動きやすい服を用意しておいたから。着替えて校庭に出てきてね」


 ジンは軽くそう告げて校庭へ向かっていく。生徒全員は教室に戻って自分達の机を見ると、ジャージのようなモノが用意されていた。しかし、今は男女が教室にいるので流石に着替えれない。ふと、黒板を見ると紙が貼られていた。それは男女の更衣室の場所が掛かれている。断る事もないので、移動して着替える。


「何するんでしょう?」

「いい予感は。しませんね」

「戦闘訓練じゃない? 前にやるって言っていたし」

「そうだよねぇ。何があるのか分からなくて少し怖いな」


 そう話しているうちに着替えが終わり全員で校庭に出る。

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