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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第三章 勇者の準備
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40話:爺さんの葬式

 長年、ニホン商会が出来る前から支えてきた爺さんの死は商会に衝撃を与えたが、営業や経営には特に問題はなかった。別に薄情なわけでは無くて、衝撃を受けるだろうからと備えていただけだ。

 爺さんが死に、その葬式も行われることになった。そこで問題になったのが葬式の方式だ。最初は葬式の方式を和式と洋式どっちにしようか悩んでいたが、ユリネが言うにはこの世界の方式だとジンたちが言うのだと洋式に近いのだが、それとは少し違うらしい。悩んだ結果、死ぬ前の爺さんに少し聞いてみたら和式の葬式をやってみてくれと言われた。

 取りあえず、お葬式の準備。前世の経験で一番長生きしたノモルを主導して準備を整える。ノモルは何と、お経も唱えられるらしい。

 葬式開催の決定から数日、急ピッチで準備を整え、最初は小規模な会場で粛々と行う。その次は、世界中から知人を呼んで告別式を執り行う。

 ジンは最初はそんなに来ないかと思ったが、爺さんの人望なのか何なのか二千人規模の人間が来てくれた。各国の要人も参列してくれており、豪華な顔ぶれだった。


「獣王国からは王族が出てるし、小国もちらほら王族の姿が、あっちは商売敵の商会長が揃っているな」

「王様は来ないんだな」

「当たり前だろ。王は国防の要だし離れられん、暗殺されたらそれこそ国が地獄絵図だしな。王族が来るのがその国の最大の歓迎してるって印だ」

「そんなもんか」


 ジンが説明すると、トウガも納得する。そろそろ開始の挨拶を出すことにする。

 挨拶するのは勿論ジンだ。商会代表として無難に挨拶を行うと粛々と式典を進めていく。個人を悼む気持ちは異世界でも共通何だと転生者たちは感じ取った。


*  *  *


 葬式の行事が一通り終わると、宴会が開かれた。故人の魂をにぎやかさで慰めるというのが習わしらしい。ニホン商会が執り行う葬式だという事で盛大に、騒がしい宴となっている。


「ワハハハー!!!」

「アハハー!!」

「歌えー!! 呑め―!!」


 出席した人物は笑いながら、故人の為に笑い、歌い、泣いて、踊った。

 そんな中、ジンは懐かしい人物を見つけた。


「お久しぶりです。ヘレン先生」

「おっ! 久しぶりね、ジン」


 ヘレンは身長が伸びてすっかり少女から女性に代わっていた。体つきも女性らしく一部分を強調するような形でたわわに実っている。


「うんうん、ジンはすっかり逞しくなっちゃったね」

「ありがとうございます。先生はすっかり綺麗になられて」

「ふふふ、ありがとう」


 そんな事を話し合いながら、ジンとヘレンは久しぶりの親交を深める。どちらもソフトドリンクで酔いはない。会ってない間の出来事や、ヘレンの研究の進行度とかを聞いていく。


「それで、それで、迷宮のお宝はどうだったの!? 凄い? 凄かったんでしょ!」

「ええ、凄かったですよ。ただ、凄すぎて若干呪いの装備っぽいのもありますから、お見せするのはまた今度にしますね」

「え、ズルいズルい!」

「先生こそ、今はどんな研究してるんです?」

「えー、知りたい、知りたい? しょうがないなー」


 ヘレンは酔っているのかと思う程ジンに絡んできていた。


(酒じゃないよな)


 ジンはヘレンの飲み物を確認してみると、特に怪しい所はなかった。所謂、雰囲気の酔ったという所だろう。


「私はねー、魔石のねー、属性ごとの魔力効率とかを調べてるんだよー」

「そうなんですか」

「そだよー、大きさで発動したり補助したりの魔法の効率も変わるけど属性ごとでも効率が変わるみたいだからねー。それを調べるのは面白いんだよー。ジンがねー、お姉さんに協力してくれたらねー、もっと効率がいいんだよー」

「時間が出来ましたらねー」


 ジンはヘレンの依頼をやんわりと断る。ヘレンはその後長い事ジンに絡んで来たが、疲れて眠ってしまった。ヘレンの家の侍女が拾って宿泊施設に連れ帰っていった

 ジンなそんな宴を抜け出して、墓地に来ていた。こっちでは土葬が主流なので彼の遺体はこの下に埋まっている。ジンは宴の席から酒を持ち出して爺さんの墓に備えた。


「爺さん、宴に参加したかっただろうけど、これで我慢しておいてくれよ」


 小さい器に酒を注ぐと、それを墓前に備えてジンの方も一杯飲み干す。完全に未成年飲酒だったがジンに状態異常は効かないのでこういうのは効かないのだ。


「レドロスの件は俺が解決しておく。心配するなとは言わないが、期待はしておいてくれ」


 そんな事を話しながら、ジンは爺さんとの思い出を語っていく。

 その途中でポロポロと涙を流す。表面上は平気そうに振舞っていても、涙を流し悲しんだ。知り合いが死ぬのは前世を抜けば今世で二度目だ。


「ありがとな、爺さん。また、来るよ」


 残りの酒が入った酒瓶はお墓に備え、ジンは墓地から宴会場に戻っていった。

 爺さんの墓には文字が刻まれていた。


“商会設立を支えてきた英傑、ここに眠る”

“名:クロノム=ナイトール”

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