38話:超級迷宮攻略の成果
トウガの魔法の副作用で倒れ込んだ六人はジンが思いのほか早く復活して、全員を安静にさせる。
「鰐の回収もやっておくか」
ジンはインベントリにアシャラーハの遺骸を仕舞いこむ。泥の除去も忘れない。すると、部屋の中心に宝箱が現れる。今度は土くれではなく普通の材質で出来てるようだった。
「迷宮の攻略報酬だな」
「お、おお……、それが」
「大丈夫かよ」
プルプル震えるトウガが近づいてきた。ジンは頭を掻いて取りあえず、スキル【奇跡の御手】を使用して全員の身体を抱えて宝箱を見せてやる。ついでに使った装備を回収する。
「じゃあ、開けるぞ」
ジンが声を掛けると、フタに手を空けて開けてみる。大量のクラッカーを鳴らしたような音と煙が発生した。すると、光の玉が発生して六人の身体の中に入っていく。
「んだ?」
「………固有スキルが増えてるね」
「本当だ」
「今はやめとけ、何が起こるかわからんし」
煙幕が晴れるとともに報酬の実態もわかってきた。魔石、刀、ハルバード、鎖鎌、ペンダント、双刀、コンバットナイフ。それぞれの能力を鑑定してみる。
◇ ◇ ◇
・泥刀【魂剛】 等級:超級
破壊、形状変化無効。魔力を籠めると口沼を生産できる。スキル【暴食】の能力が染み込みやすく、能力が操りやすくなる。所有者には魂に他者からの干渉を防ぐ防壁が形成される。防壁の強度はスキル【暴食】のレベルに応じて上がっていく。また、スキル【暴食】を保有していない人間が装備するとMPとHPを全て吸収される。
◇ ◇ ◇
・ロロパータ 等級:超級
破壊、形状変化無効。魔力を籠めると口沼が生産される。スキル【暴食】の能力が染み込みやすく、操りやすくなる。闘気を注入すると暴食の能力を付与された斬撃を撃ちだすことが出来る、使い続けると素面の闘気にも効果が写る。スキル【暴食】を保有してないモノが装備すると体を捕食される。
◇ ◇ ◇
・屍鎖【活狩】 等級:超級
破壊、形状変化無効。魔力を籠めると口沼が生産される。スキル【暴食】の能力が染み込みやすく、操りやすくなる。鎖部分は口沼で精製された泥鉄が使用されていて、鎖部分に触れると指定した物を捕食可能。別で魔力を籠める事で鎖の長さの調整可能。スキル【暴食】を保有していないものが装備するとMPとHPを吸収され貯蓄される。
◇ ◇ ◇
・ラクウスのペンダント 等級:超級
破壊、形状変化無効。魔力を籠めると口沼が生産される。スキル【暴食】の能力が染み込みやすく、操りやすくなる。所有者の魔力に対してマーキング能力を付与、魔力、魔法を当てる事で対象にマーキングを可能。マーキングした対象からステータス値を吸収。全て魔力に変換して所有者に還元。スキル【暴食】を保有していないものが装着するとMPとHPを全て吸収して魔力に変換して貯蔵する。
◇ ◇ ◇
・双刀【岩蝕】 等級:超級
破壊、形状変化無効。魔力を籠めると口沼が生産される。スキル【暴食】の能力が染み込みやすく、操りやすくなる。二つ一組で一つの装備。地属性の適性が上昇。一方で鉱物(砂、岩、地面等を含む)を突き刺し吸収、もう一方を振うと吸収した鉱物を放出可能。スキル【暴食】を保有してないモノが装備すると装備部分が捕食される。
◇ ◇ ◇
・ラグーラ 等級:超級
破壊、形状変化無効。魔力を籠めると口沼が生産される。スキル【暴食】の能力が染み込みやすく、操りやすくなる。魔力を籠めて振うと軌道上に斬撃が残り、任意のタイミングで斬撃として打ち出すことが可能。撃ちだす前も撃ちだした後も【暴食】の効果が残る。傷をつけた場所から【暴食】の侵食が始まる。スキル【暴食】を保有してないモノが装備すると肉体を捕食される。
◇ ◇ ◇
(口沼ってなんだ?)
追加で説明が出てきた。
◇ ◇ ◇
・口沼 等級:不明
スキル【暴食】の効力が含まれた泥。ありとあらゆる物質、魔力、エネルギーを飲み込み、そん効果、能力を自身に反映させる。
◇ ◇ ◇
スキル【暴食】
魔力を消費して【口】と呼ばれる物質を生成する事が出来る様になる。コレに包まれた物質、エネルギー、概念は【胃袋】と呼ぶ別空間に送られ任意で開放可能。【胃袋】にあるモノは【消化】する事で効果、能力、特性を任意で反映させる事が出来る。
◇ ◇ ◇
(そういや、ワニは口沼は使ってたな。迷宮の壁にも使われてたし。案外、使われるモノなのかな? 暴食は攻略特典ってことかね)
ジンは一旦すべての武器、装飾品、魔石をインベントリに回収する。
「後で山分けな」
「「「「「了解」」」」」
ジンは今回の迷宮攻略の目的を思い返す。迷宮核の破壊による超級迷宮の移動、が今回の攻略の目的だ。
「新しいスキルを得た事で少し方針を変更できるようになった」
「というと?」
「迷宮の消滅だ」
「消滅、とは?」
「この世からこの迷宮を消滅させるんだ。口で説明するのも難しい、先ずはやってみよう」
「行き当たりばったり、だねぇ」
全員が攻略の後に現れた扉の前に立ち、何時でも出れる準備はしておく。ジンはマップの効果で迷宮核の位置を補足してスキル【暴食】の能力を核に発動する。迷宮核がこの世から消えて、迷宮が崩壊した。
そして迷宮によって封じられていたモノが、解放された。
* * *
迷宮が消滅する前に全員は脱出はできた。迷宮が解放されると同時に迷宮を構成していた物体は消えて代わりに棺桶が出てきた。
「伝説通りなら迷宮の封印を解いたからこの中には悪魔が入っている筈なんだが」
「まぁ、迷宮を消滅させたわけだしね」
「超級迷宮だから最強の悪魔らしいけど」
「竜王もいるがどうなる事か」
今ここで改めて封印するよりも対処する方が早いと踏んでジン達は意を決して棺桶のふたを開けてみる。そこにいたのは、
「………」
「………」
「………赤ん坊?」
角と蝙蝠の様な羽のついた赤ん坊がいた。取りあえず、鑑定で確認。
◇ ◇ ◇
**** 種族:悪魔 性別:♀ 年齢:0歳
レベル:1
HP :100
MP :100
STR:100
DEF:100
RES:100
AGI:100
INT:100
称号: 異世界転移者 七大悪魔【暴食】 名前を奪われた者 記憶を奪われた者 年を奪われた者
コモンスキル
・戦闘スキル
超異常耐性 (Lv10)
超衝撃耐性 (Lv10)
超斬撃耐性 (Lv10)
超強魔耐性 (Lv10)
超聖天耐性 (Lv10)
深紅耐性 (Lv10)
青耐性 (Lv10)
緑耐性 (Lv10)
黄耐性 (Lv10)
藍耐性 (Lv10)
橙耐性 (Lv10)
・魔法スキル
なし
・生活スキル
なし
・創作スキル
なし
固有スキル
暴食 (Lv1)
悪魔魔法 (Lv1)
神代魔法 (Lv1)
悪魔魔法 (Lv1)
経験値二倍
金剛体 (Lv1)
超高速再生 (Lv1)
高速魔力回復 (Lv1)
魔剣開放 (Lv1)
魔剣生成 (Lv1)
自己調整 (Lv1)
武神への道 (Lv1)
剣神への道 (Lv1)
魔導神への道 (Lv1)
追い詰める知謀(Lv1)
怪力無双 (Lv1)
高速移動 (Lv1)
高次元斬 (Lv1)
防人の誓い (Lv1)
身体調整 (Lv1)
亜空庫 (Lv1)
ギフト
悪魔王の加護
・装備
武器 :なし
防具 :なし
装飾品:なし
◇ ◇ ◇
悪魔の赤ん坊だった。しかも、称号を見る限り年と記憶がないらしい。その事を受けてジン達は。
「育ててみるか」
「そうだな」
そんな結論に至った。ドルムアースも賛成し。悪魔の赤ん坊を育ててみることになった。
「考えてみると、何でスキルが無くなったりレベルが1だったりするんだ?」
「記憶がないからだろうな。それで習熟度が無くなったから、こんな感じになってるんだろうな」
「なるほどな」
赤ん坊はジンが抱え連れていっている。そんな中、カガリが質問してきた。
「さて、育てると言っても誰が育てるか」
「うーん」
「俺は仕事が忙しいからな」
「面倒見れない」
「じゃあ、俺がやりたい」
「トウガ………」
急に心配になった。トウガが面倒を見られるのかと思ったが、何で面倒を見たいと言い始めたのだろうか。ジンは疑いの目でトウガを見ると。
すると、トウガは言い訳を始める。
「色々理由はあるけど、俺も孤児だったからな。こいつを見捨てたくなかった」
「そんなもんかね」
「お前らじゃ、育てられないんだろ。見捨てられたなら、俺くらいはこいつを助けてやりたい」
覚悟は強いというか、こんな奴だったけとジンは疑問に思う。ただ、懸念点がある事もまた事実。
「赤ん坊とは言え、悪魔を育てるんだ。こいつを使っておけ」
「魔方陣?」
「従魔を作るための【無地の魔法陣】だ。こいつを此処に貼り付けて魔力を流す」
「おう」
トウガが言われた通りに赤ん坊にそれを施す。ジンはそれを見届けると次の指示を出す。
「名前を付けな」
「今か?」
「今すぐな」
「そうだなー」
トウガは少し考えた後に口に出した。
「女の子だし、朝美、アサミにしよう」
「良いんじゃない?」
「よし、お前の名前は【アサミ】だ!」
「だあぁう!」
「お、笑った笑った」
眠っていた赤ん坊が名前を付けると同時に淡く光り、目を覚まして笑った。その後は一旦トウキョウのジンの自宅に全員が集まった。アサミはトウガが抱えている。
「じゃあ、報酬を分け合うか」
ジンは庭に布を広げてその上に報酬として出てきた物品を並べる。最初はそれぞれ要望を上げてみる。
「俺は刀が良い」
「私は鎖鎌が」
「俺はハルバード」
「ナイフで」
「私はペンダント」
「私は双刀」
被らず、平和に決まった。結果として、ジンは刀、トウガはハルバード、ミナモはペンダント、ノモルは鎖鎌、カガリはナイフ、オウカは双刀を指定したが特に被ることなく終わった。
「はい、それぞれとっていってー」
「ほーい」
「俺、取れん」
「はいはい」
ジンは巾着袋にハルバードを詰める。明らかに容量を無視したものだったが、巾着袋は難無くハルバードを納めた。
「じゃあ、今日は解散」
「明日からの仕事を頑張ろう」
「おーう」
今日の所は一時解散、今日の疲れを癒して明日に備えて貰う事にする。




