37話:超級迷宮【暴食の沼】(その3)
四階層目は一、二階層目と同じ通路型の迷宮を進んでいく。道中宝箱も多く配置されているので、鉄雲とマップを駆使して宝箱を開けていき、回収も並行して行う。
「強欲じゃない?」
「穴の前に連れてこれないなら、ここに捨てていくよ」
「それが出来るんだから嫌だねぇ」
「超級迷宮の宝なんて一生暮らせるだろ」
「否定はできないな」
六人全員は空中を飛びながら迷宮内を進んでいく。確認した限りでは泥に落ちたら、泥にその性質が付与される感じだ。火薬の入った弾丸を取り込んでたのなら多分今の泥は火気厳禁だ。
「あっ、オウカ、十メートルの後左側に敵三十体」
「はい」
オウカが氷の弾丸を使って泥の化け物を殲滅する。死骸を拾う暇もないのでおいていく、前から来る魔物はトウガとジンが殲滅して回収していく壁の泥と同じ性質を持っている奴は捨てていく。
「あと、どれ位?」
「約千メートルかな、まだいける?」
「関係ない」
オウカが次の穴までの距離を尋ねるので答えても周りの人間は表情を乱していない。
波打つ泥の壁に四方を囲まれた状態でも敵を倒しつつ進んでいくこと数分、下に続く穴のある部屋に辿り着いた。鉄雲も追いついて、回収したお宝を泥と分けてインベントリに回収する。
「だいぶ溜まったな」
「これだけでも潜った甲斐はありましたね」
「入り口ふさがってるから攻略が前提に成るけどな」
「そこが問題だよな」
「確認できてる中で全ての超級迷宮は途中で撤退が認められてないみたいだけどね」
「終わったら、有休を申請するんだ」
「死亡フラグだな」
ボス戦前にそんな事を言うのはやめて欲しいと思ったが、それが通じる奴でもないだろう。
「まぁ、無事突破できたら認めてやるよ」
「わぁー」
全員、気合を入れて、下への穴を通っていく。
* * *
穴を通って下の階へ進むと、中ボスフロアよりも巨大な大広間に辿り着いた。
全員、大広間に着地すると周囲を分担して確認する。ココは長方形の広間の端の方だったらしい。それでもかなりの大きさではある長辺が10キロ、短辺が5キロはある。
そこでジン達と反対側の端に魔物が出現する。
「来たぞ、ボスだ」
全員が鑑定でボスの能力を確認する。
◇ ◇ ◇
アシャラーハ 種族:汚泥巨鰐 性別:不明 年齢:0歳
レベル:1
HP :1000000
MP :1000000000
STR:100000
DEF:100000
RES:100000
AGI:100000
INT:100
称号:迷宮ボス 災厄の化身 暴食の象徴 超級の魔物 名持ちの魔物 膨れる食欲
コモンスキル
・戦闘スキル
突進 (Lv10)
覇気 (Lv10)
状態異常耐性 (Lv10)
衝撃耐性 (Lv10)
斬撃耐性 (Lv10)
強魔耐性 (Lv10)
聖天耐性 (Lv10)
火炎耐性 (Lv10)
流水耐性 (Lv10)
暴風耐性 (Lv10)
迅雷耐性 (Lv10)
吹雪耐性 (Lv10)
土塊耐性 (Lv10)
・魔法スキル
魔弾生成 (Lv10)
魔力解放 (Lv10)
・生活スキル
なし
・創作スキル
なし
固有スキル
超再生 (Lv10)
高速移動 (Lv10)
口沼生成 (Lv10)
口沼耐性 (Lv10)
沼の侵食
ギフト
迷宮の加護
◇ ◇ ◇
レベル1なのに随分と高いステータスだ。確認が終わると全員が一旦散る。直後、泥でできた巨大なワニが突っ込んで来た。随分と素早い事だけ理解して、方々から攻撃を加えるが体に纏わりついた泥が攻撃を吸収する。
「効かないのねー」
「カガリ、上飛んで爆撃しろ」
「了解」
ジンはカガリに爆撃させる。カガリは言う通りに爆撃する。ジンは数個、吸収させて何個かは魔力を籠めた弾丸で空中爆破する。爆風で泥が吹き飛んで、アシャラーハの皮膚があらわになる。その隙をオウカとノモルが攻撃する。引き裂かれた革をまた泥が覆った。病気とかになんないのだろうか。
ジンはもう一度革への攻撃を行うために、竜巻を作って表面の泥を弾き飛ばす。しかし、飛ばない。正確には飛んでも生産されてるからきりがない。
「ミナモ、水で包んでくれ」
「はいよ」
ミナモは大量の水でアシャラーハを包む。鰐なのに水中を移動は出来ないようでおぼれている。
体表の泥は水中に広がっていく、ジンが水中に渦を発生させると攪拌されて一ヵ所に凝集される。
「オウカ、凍らせろ。トウガはそれを砕け」
「あいよ」「了解」
オウカがミナモの水を凍らせるとトウガが氷を殴って氷ごとアシャラーハの体の破壊を試みる。
「ん?」
「あらら、もう少し待てばよかったかな?」
「一気に攻めるぞ、ぼさっとすんな」
カガリとノモルが追撃で攻撃を加える。
アシャラーハは自分の周囲に魔力でできた弾丸を生成してミナモ達に発射する。込められた魔力がデカくてもはやカガリの爆撃に近い。ミナモ達は軽くそれを避ける。
「んー、こんな感じ?」
ジンは見様見真似で魔力を凝縮させて打ち出す。着弾しても、アシャラーハは意に介さない。体は修復されて、泥も元通りに戻った。
「全部無駄か?」
「魔力は減っているから、攻撃続ければ破壊は出来そうだな」
ジン達はアシャラーハを相手に持久戦を開始した。
* * *
一時間は経っただろうか、アシャラーハに攻撃をしまくってはいるが通用しない。
「ふぅ、どうしたもんかね」
「どデカい一撃を生身にぶち込むのが一番だな」
「………考えがある」
トウガが少し考えて一つ案を出してきた。
「俺の竜魔法で全員の能力を限界まで上げる。後は同じ様にやって、アレを仕留めるぞ」
「それなら、俺が中心に攻めるから、他でトドメを指してくれ」
「何とかなるの?」
「何とかするの、タイミングは逃すなよ」
「「「「「了解」」」」」
トウガが竜魔法を肉体魔法とかけ合わせて使用する。全員の体格が成長し15歳くらいになった。
「こうなるのね、体格伸びたから間合いが変わるが、まぁ、問題ないな」
「俺は魔法の維持に尽力するから、大した援護もできない」
「では、他でジンさんの援護をしましょう」
体格の良くなったジンがオレンジ色の刀を構えるとそこに莫大な魔力を流し込む。ジンは集団から距離を置いて、囮になるようにアシャラーハに接近する。アシャラーハはその場で旋回して自分の体をジンに叩き付けようとする。
しかし、ジンはスライディングの要領で滑り込む。そのまま、オレンジ色の刀から凝縮した鉄雲を伸ばして生産して首を叩ききる。鉄雲が泥に触れても無くならなかったのは、触れて欠けた部分を補填し続けながら振り切ったのだ。
首が胴と離れると同時にアシャラーハは再生を始めたが、離れたと同時にアシャラーハにオウカが近づいていて首の切り口を完全に凍結させる。ミナモが莫大な量の水で胴体と首の距離を離す。ジンは水に押し流される前にオウカを掴んで天井にまで上がる。
胴体の泥は水で洗い流されていった。ノモルは胴体の方を鎖で何十にも巻き付けて押さえつける。魔力によって生産される泥も封じられてはその限りではない。カガリは爆撃で頭を地面に叩き付けると、奥の手ようにジンが用意していた魔封じネット弾でアシャラーハの頭を抑え付ける。これでこっちも泥は生産できない。
天井に張り付いていたジンはオウカを離して、オウカはアシャラーハを凍らせて強度を低下させる。
ジンは刀を振り上げ、莫大な量の魔力を次元魔法に使用して空間丸ごと真っ二つに両断した。
そこで、トウガの強化の効力が切れる。その瞬間、体の大きさが元に戻り、強烈な激痛が全員に襲い掛かる。全員が呻き声を上げつつ、床に横たわって倒れ込んでしまう。




