34話:簡単な面接と亮のエピローグ
亮は軍隊にいた頃に苦手な人達がいた。上官と同格の隊長たちである。上官はパワハラがあったという訳ではなく、気分的に苦手で。同格の隊長たちは個性が強すぎて亮と性格が合わなかったのだ。
そんな奴等の生まれ変わりが目の前に揃っている。
「………まぁ、ややこしい駆け引きは無しで行く。お前ら転生者だろ?」
「………おう」
「うん」
「そうでーす」
「はい、その通りです」
上から、カガリ、オウカ、ミナモ、ノモルの順だ。それぞれ火、氷、水、雷の勇者の守護者達だ。ステータスを見ても元日本人たちだというのが分かる、加えて転生者特有の反則的なステータスだ。
「先ずは自己紹介をしておこうか。初めまして、ジンです。家名はありません、ニホン商会で商会長をやっている金持ちの偉い人です。前世は東郷亮で、風の勇者の守護者です」
「こっちの部下のトウガです。ニホン商会で戦闘部門の部長をやってます。………これ、言わないといけねぇのか? そうか、前世は拳崎太一で、地の勇者の守護者です」
ニホン商会側の人員の自己紹介を済ませる。
次は面接を受けている側の自己紹介だ。
「では、最初は私から。名前はノモル=シートルです。最初は帝国にいたのですが、縁あると思い、こちらに参上しました。前世の名前は野本直助で、雷の勇者の守護者です」
「じゃ、私ね。名前はミナモ。皇国で冒険者として活動してたけど、こんなにあからさまな名前が気になったので来ました。前世の名前は志吹優音、水の勇者の守護者です」
「次、俺。名前はカガリ。最近まで王国西部で活動していたよ。まぁ、名前が気になったから来ました。前世の名前は空木奏汰、火の勇者の守護者です」
「最後に私。名前はオウカ。家名はめんどい。名前が気になったから来た。前世の名前は氷室王華、氷の勇者の守護者」
全員が自己紹介を終える。まぁ、無難な感じに終わった。
「それで、ここへは何をしに?」
「色々あるけど。一番は安定した収入と生活が得られそうな所だったからな」
「生活水準が高そうだったから」
「働けそうな所だったからな」
「モラルがしっかりしてそうだったから」
各々理由があるようだった。これまでの経歴は知らないが彼らもジン同様に苦労してきたのだろう。
それはさておき、各人に先ずは何ができるのかを聞く。
「索敵、見張り、先制爆撃、あと飛行の指導、かな?」
「戦闘と農業の指導?」
「礼儀作法、戦闘の指導、住居環境の改善、その他諸々雑事」
「…………就寝」
一人仕事じゃないのが混ざっているが、自分の中に飲み込んでおく。一先ず、最後の奴は食料管理系の物件の管理をさせてもいいかとジンは考えた。
「どうしたもんかね」
「ノモル以外は俺と被っているところあるからな」
「オウカは違うだろ」
「最終的には一緒だろう」
「違いない」
ジンは小声でトウガと相談する。やれる事が被っている所があるから、ドウ人員を配置しようか悩む。ノモルは何処でも働けるだろうが、それ以外は戦闘意外に向かないが都市の防衛に注力させるのももったいない。ジンとトウガは頭を悩ませる。
「配属先は追々考えるか………」
「そーだねー」
トウガの呑気な返事を聞いて今回の面接は閉じる事にした。研修させて適性のある仕事をさせるのが今回の場合だは一番の解決策だろう。
* * *
「で、聞きたいことがあるんだ」
「「「「「なんでしょう」」」」」
ジンは気になってたことを聞いてみる。自分の部下には聞きにくかったことだ。
「ぶっちゃけ、俺の死後ってどうなった?」
「「「「「………」」」」」
全員が口をつぐむ。これは室内にいる人の死もあるからだろうか。
「この中で最後に死んだのは多分私ですね」
「確かに」
時系列的にノモルが最後の死亡者らしい。という事で、ノモルが中心的に説明することに。
「先ず、最初に東郷さんの死後、直ぐに戦争は終わりました」
「……マジか」
「はい、その後は色々世界的な情勢が動きましたが戦前くらいに世界情勢は元に戻りましたね」
「ほーん」
「日本に関しては世界の調整役としての地位を確立していました。まぁ、世界情勢に関してはここくらいでいいでしょう」
ここでノモルは話を切る。話題は別の物に。
「主に人間の動き的な問題ですが、東郷さんと私の探し人は私が死ぬまで見つかりませんでした」
「なるほど」
「こっちに来て考えた、というより女神とか言う奴の話を聞いて思いついた事だが、探し人はこっちに来ている可能性がある」
「それは俺も思っていましたが、勇者の召喚時期が分からないんですよね」
「それは俺も思った」
「まぁ、気長に待てばやってくるでしょう。次にあなたの身内について」
また話が変わった。今度は亮の身内の話だ。
「貴方が亡くなってすぐにお爺様がお亡くなりになられました。それに続いてお婆様も」
「そうかー。まぁ、二人共年だったしな」
「その数年後に、妹様が失踪なされました」
「えー」
「私が生きている間はお母様はご存命でしたよ」
「それはよかった」
「それと、御目出度い事にあなたにご息女が誕生されておりました」
「………………………はぁ?」
ジンはノモルの爆弾発言に目を見開いて、呆然とする。
「それは俺も思った」
「いやー、おめでたおめでた」
「おめっとさん」
「私も一人産んだけど、結局は育てられずじまいだったよ」
「本人が一番驚いているみたいですけどね」
ジンはまだ驚愕から戻って来れていないようだった。放心中である。
「えー、誰が産んだ?」
「そりゃあ、貴方の婚約者の月川白世さんですよ」
「えっ、作った覚えなんてないんだけど」
「はい? ………DNA判定では遺体から貴方のDNAを採取させてもらって判定したところ、ご息女と貴方は血縁関係にありましたよ。これは私と貴方のお弟子さんが個人的に行ったものなので情報の確度は高いです」
「えー、名前は?」
「確か。………東郷凛世でしたね」
「そうか。養育費はまぁ溜めたの出してくれてれば………」
何とか衝撃から立ち直った様でそこについて深堀した。ただ、その後の進路とかについて考えを巡らせる。
「というか、流石に女性に手を出したことについて覚えていないのは問題では?」
「いやー、これに関しては本当に知らない。偶に彼女が全裸で寝ていて俺も全裸で寝ていたけど本当に知らない」
「いや、それだよ」
「ごめん、現実見ない様にしていた。まさか、寝てる間に俺を逆レしてるとは思わないじゃん」
亮の婚約者だった女性――、月川白世は大財閥の令嬢で所謂上級国民であった。そんな女性がなぜ、亮と婚約を結んでいたのかというと。亮の戦歴と、超能力の力を月川側が欲しがったためである。また、白世側も超能力者であったため。そこら辺も関係している。
上級国民の彼女は亮の前ではお淑やかな女性であったので、とても裏で亮を睡姦しているとは考えられなかった。
「まぁ、それはそうだけど」
「そうですね」
「まさか、白世ちゃんがねー」
男性陣は信じられないといった表情。
「うーん、以外ではないかな?」
「むしろ納得いった感じがする」
女性陣は納得の表情。
「まぁ、俺の子孫はほどほどに幸せに生きてくれれば、俺としてはそれで十分だ」
ジンは取りあえず、思考を切り替える。干渉できない娘の事はこの場から幸せを祈る。まぁ、腐っても超能力者同士の子供、丁重に扱われるだろう。
「じゃ、今日はもう解散。明日から研修に行ってもらうから宜しく」
「「「「はい」」」」
短い挨拶で守護者のリーダー達は話を閉めた。




