28話:トウキョウの襲撃対策
連絡員の男はアスタルテに手紙を渡すと、緊急会議を開くために、幹部クラスの人間たちを呼びに向かった。ジンは先回りして自分の秘書とアスタルテと共に会議室へ向かう。
「何処からの申し出だって、分かるか?」
「えー、サイゼリン、バーミヤム、ジョナウス、ガスターの四つの王国からの共同声明です」
「具体的にはなんて?」
「先祖の無念が宿る土地だから、我々が接収する。勝手に奪い取ったと言っていますね」
「賠償金の支払い命令が出ていますね」
「そういや、何処の属国だ?」
「全部、聖王国です」
雑談しながら、廊下を歩いていると無事に会議室に辿り着いた。アスタルテが扉を開けてジンと秘書の二人が室内に入っていく。そこから10分くらいして、ようやく会議がスタートした。
* * *
「で、先ずは何が問題だ?」
「…………問題は主に二つ。拠点の安全が脅かされている点、後は我々の実力と能力が問われているな」
トウガの質問にジンが答える。爺さんも概ね同意の位を示した。
「さて、一応索敵の人間を走らせているからそろそろ報告が上がってくるな」
「このままじゃ、ドルムアース様に迷惑がかかっちゃうな」
「まぁ、トウガ、対策は出来るよな?」
特に焦っていないジンはトウガに質問する。
「相手の兵器によるが防衛施設は一通りそろってる。けど、練兵に関してはまだ無理かな」
「まぁ、時間無かったしな。相手側もそれを理解してんだろうよ」
「いやらしことするなー」
「では、どうするんです?」
ジンの秘書――、ユリネが質問してきた。脱線を懸念したんだろう、話題を戻しに行く。
「迎え撃つだろう。こんな要求は呑んでなんていられない」
「迎え撃つだけじゃ不十分だな。………ユリネ、攻めてくる奴等の地図を用意しておいてくれ」
「何するんです?」
「国ごと奪って、その土地と民をそのまま俺達の傘下に組み込む」
「あー………、うん、良いんじゃない」
爺さんは唸った後に諦めた様に頷く。
「ユリネ、ドルムアース様に四ヶ国を落とした後にその国の土地を組み込む為の手伝いをさせられる様にしておいて」
「はい」
「あの土地は大規模農業系の生産拠点にするつもりだから、爺さんはそれの調整。中心にこの前手に入れた奴を使う予定だからよろしく」
「あいよ」
「トウガは迎撃な。部下に関しては好きに使え」
「了解」
「俺は出撃準備するから、暫く頼むぞ」
解散していく緊急会議に呼ばれたメンバーだったが、爺さんはジンに一言質問する。
「小僧、国責めはどれ位かかる?」
「あんまり、安元できないけど、一週間から三週間位かな?」
「はえぇな」
「俺がいない間のトウキョウの管理、維持は任せるぞ」
「防衛の心配は?」
「してるか?」
「…………必要ないな」
呆れ声と共に東岸実力を信用する爺さん。そのまま仕事のために本部の建物内を駆け巡っていくのだった。
* * *
翌日の朝一番。四ヶ国の東端にあるバーミヤム王国に繋がる橋。アカシカイキョウ大橋のバーミヤム王国側にて総勢五千人の人間が待機していて、その先頭には豪華な服装の指揮官らしき人物が高らかに告げる。
「今、我らの祖先の地は不当な侵略者の手によって穢されている。こんな横暴は祖先の霊が許しても我らが許すことは無い。今こそ、我らの土地を取り返し、不当な侵略者に我らの怒りを思い知らせるのだ!」
そんな演説を剣を掲げて高らかに声を張り上げて行う。そんな演説をパチパチとスローペースな拍手が乾いた音で響いていく。するといつの間にか、大きめの黒い服を着た姿の少年が立っていた。どうやら拍手はその少年がしていたようだ。
「小僧、何者だ?」
「貴方がたは何様で、何故にここに?」
指揮官の男性はきつい目つきで剣を少年に向ける。少年は首筋に剣をあてがわれているが、特に動揺した様子はなく剣を掴んで握りつぶす。
そして自然な動作で拳を下ろし鳩尾に拳を打ち込む。そのまま指揮官は体に衝撃が通り抜け、そのまま膝から崩れ落ちる。
「貴様ぁ!いったい何者だぁ!」
「おおう、ようやくそれを聞くのかよ。まず初めに聞くもんじゃねぇのか?」
少年は小バカにしたように鼻で笑う。指揮官の周りにいた騎士数人が剣を向けて囲む。
トンッ
そんな効果音が着くように軽く少年の体が上に跳ねあがり、騎士の包囲から抜ける。
「知りてぇなら教えてやるよ。俺はニホン商会戦闘部門本部長のトウガだ。命ある先まで、覚えて置けよ!」
トウガは凶暴な笑みを浮かべて、殴り掛かっていくのだった。




