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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第二章 守護者達の旅行記
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27話:理想の拠点造り

 ジンとアスタルテは現在飛行しながら、ガイネア王国の王都に向かっていた。ガロリド皇国東端からガイネア王国の王都まで、約半日掛かった。ジンはまだ大丈夫だったが、アスタルテの方は結構魔力に限界が来ていたので少し疲れが出ている。


「ああ、疲れました」

「だろうね。お疲れ様」


 ジンはそう言って、魔力回復用のポーションを差し出してやる。アスタルテはそれを受け取ってクピクピ飲んでいる。飲み終わると瓶をジンに渡しておく。ポーション用の小瓶は貴重なので使い回しにすることが多い。ジンもそれに倣い、ポーション用の小瓶は回収している。


「で、このままいきますか?」

「ああ。早く済ませて、あっちに戻ろうか」

「また戻るんですか?」

「当たり前だろ」


 ジンは歩き出してニホン商会の本部へ向かう。アスタルテは溜息をつきながらも気持ちを切り替え、今の用事を済ませて置こうと考えて、ジンの後を追う。

 数分したら、ニホン商会の本部へ着き、中へ入ると店員が気付いて爺さんの元へ案内してくれた。


「お久しぶり」

「ああ、久しぶり」


 ジンはソファに爺さんと向き合って座っている。アスタルテは台所でお茶を淹れている。


「禁足地が取れたのか?」

「竜王も拠点づくりに全面協力してもらえる事になった」

「何があったんだよ」

「それより、大規模拠点制作の国への根回しは?」

「問題なく進めている。流通の問題もお前の開発した魔法陣が役に立っているよ」


 国への根回しが進んでいるなら、早めに禁足地に拠点を移す方が正解だろう。爺さんは引っ越しの準備が進んでいることも伝え、取りあえず荷物を纏めてもらおうと思ったが。


「建物がまだ立ってないんだよ。直ぐに引っ越しは無理だな」

「どれ位で建てられそうだ?」

「中心だけなら二、三か月くらいかな。本部機能だけでもここからは早めに移したい」

「ならそんな風に調整しておく」


 爺さんとの話し合いはそこで終了した。そこからは暫く談笑していると爺さんが何かに気付いた。


「そういえば、小僧。お前さん進化してんだな」

「進化?」

「ステータスの種族の欄が変わっているだろう」

「ああ、変わってる」

「それが進化したって事さ」


 爺さんはジンに進化に関して説明する。

 進化とは、言葉通りにその個体が上位の存在へと昇華する事。主に魔物によくみられる現象ではあるが、これは魔物に対する進化の為のハードルが低いからなのだそう。人間やエルフ、ドワーフ、獣人たちなんかだと、大体150レベルになると進化するのだそう。エルフ、ドワーフだと、ハイエルフ、エルダードワーフに進化することが多いが、獣人や人間だと武人、魔人、聖人なんかに進化して、さらに300レベルまで行けばもっと上位の何かに進化するらしい。


「ふ~ん、進化したらなんかあるのか?」

「進化した状態になると固有スキルが増えたり、ステータスの上昇値が上がったりする」

「そっか。………というか考えてみれば、こういう一般常識あんまり知らないな」

「そういえば、教えた事ないかもしれない」

「「………」」

「教えてくれない? 一般常識」

「分かった」


 身に付けた知識の偏り具合を再確認して一般常識に関して今一度学び直す事を決めたジンと爺さんであった。

 しかし、今は拠点制作の方が重要なのでそちらが落ち着いてからという事になった。

 ジンはヘレンへのお土産と手紙を爺さんに預け、工事現場になっている禁足地方面へ向かった。


*  *  *


 それから数ヶ月後。地竜王の協力もあり、土台の開発と禁足地の改造が進んでいた。禁足地に指定されていた場所の地形を動かしていっていく。先ず全体的に禁足地全体を、掘り下げて沈める。そして大体真ん中を直径二十キロの円を彫り上げていく。堅牢な土台が出来上がった。

 更に漁業もできるようにするため、その周りを水で埋める。これは魔法で作り出したのに加えて、海と繋げて海水を入れ込んだものを混ぜ合わせている。加えて、竜王の伝手を使って、海竜たちを呼びこんでいる。土台の周りに過ごしやすい巣を作ったりして、海竜たちに海上からくる襲撃者達に対処できるようにする。


 それと禁足地から迷宮が五つほど見つかった。そう言った迷宮は入り口が繋がるように、土台の周りに設置しておく。迷宮は危険地帯である以外にも、資源回収をできる採掘場のようにも使われたり、未知の植物の採取場としても利用できたりする。今回は鉱石の採掘に使えるのが一つ、植物の採取場に使えるのが一つ、戦闘訓練のように使えるのが二つ、そして例外が一つ。例外に関しては説明を省くが、それぞれ説明していくと。

 鉱石の迷宮は、名前が『意思を持つ坑道』、等級は三級、ゴーレムなんかの無機物が意思を持った状態のモンスターがよく出現する。

 植物の迷宮は、名前が『妖精の隠れ家』、等級は四級、大量の植物がみられるが、それに擬態して襲ってくる植物と虫が多い。

 戦闘訓練用は、等級が低い方の名前は『カハトの迷宮』、等級の高い方は『地獄の城塞』。

 『カハトの迷宮』の等級は六級。プラスチックの様な材質のマネキンみたいな人形が、棒きれや木の盾を持って襲い掛かってくる。相手は殺す気なのだろうが特に痛くはない。大きな事故が無ければ、初心者でも死にはしないだろう。

 『地獄の城塞』の等級は特級。浅い階層では、ヒト型のモンスター、中層では自然を模した階層が作られ、草原だったり、森林だったり、雪山だったりして、それに合った魔物が出現していく。最下層には系統関係なく色んな魔物が出現している。

 まぁ、そんなこんなで資源不足や資金不足が解決した。商会で持ってても、持て余しそうだったが、利用手段は色々あるので、有効活用しようと思う。


*  *  *


 色々話してきたが、土台が粗方完成したので、上の建物づくりに入る。土台を四つに分けてそれぞれ居住区、生産区、商業区、研究区に分け。円の中心、半径百メートルを商会の本部区域に分ける。

 魔族達から建樹を使えばいいじゃんと言う意見があったが。それだけだと、やっぱり火に関する懸念が消えないので、建樹と石材を使って立てることにする。この建て方なら見栄えが良くなるし、支柱を建てる手間も減るし、建物の配置が決めやすい。失敗したときに建樹を引っこ抜くのに手間がかかるが、まぁ、手際よく作業は進んでいく。

 土台の中央には、この地域には珍しい地下は三階、地上は七階の大型の建物を作る予定だ。建樹の種を、何個も埋めて普通の何倍もの大きさの骨組みを作っている。まぁ、大きさと配置を決めるために作ったので、石材を加工しての最終的な仕上げはまた後で、端の建物の建築を進めていく。


「どういうの立てましょうか?」

「先ず、居住区の建物は団地街みたいにするか。四割位マンションで、残りの六割は一軒家の集合体にするか」

「はい」


 ジンや他の人間もヘルメットを被りながら、ツナギを着て建築作業に入っている。一応、建物の設計図や施設の設計図とかは、学院にいた時に作ったり設計していたりした。サンプルでやり直しがし易い居住区を開発していき改良も同時に進めていく。

 ジンはまだやる事があるので、都市の建築、開発は他の仲間に任せ、ジンだけで、方々へ飛んで行ってしまった。


*  *  *


 そこからは、行動は早かった。ジンは様々な場所で人材を引き入れ、都市の機能を改良していき、都市には様々な種族が都市の中に入ることになっていった。ジンも、仲間を引き連れ迷宮に潜っては、様々な資源を確保、それらを都市の形成に利用していたり、自身で利用したりして日々を過ごしていったりしている。

 数ヶ月で、居住区、生産区、商業区、研究区を完成させた。次に、ニホン商会の本部区域を作っていく。いざという時のシェルターにもなるように、頑強に大きく作っていく。商会の仕事で使える様に、執務室や会議室、商談室を作ったりしている。普通、三年はかかるであろう本部の建築を、数の暴力と技術力により、たった二ヶ月で完成させた。

 ジンは作った都市に、トウキョウと名付け、商会には正式にニホン商会と名付けた。転生組からは、冷めた目で見られたが、気にしないことにする。それに色んな区域に日本由来の名前を付けているので、今更だろう。

 商会本部の引っ越しを済ませた。

 最初は商会の本部を作って、そこに従業員全員を住まわせるつもりだったが、転送魔方陣の要求魔力量が大きすぎて常駐は無理だと判断。商品の流通用に使用することに決めた。加えて、幹部クラスの人間が使用して緊急会議のために来れるようにだけはした。

 従業員用に大量にアパートを作ったりしているので、居住性は安心である。銭湯もしっかり作った。

 そこまででジンが禁足地を目指してから一年が経った。


*  *  *


 トウキョウのニホン商会の本部、ジンの執務室。

 ここでジン、アスタルテの二人が話していた。ジンは執務机に座って、書類と格闘し全力で片づけていた。色々と商売の範囲を広げてきたので、申請、手続き、取引の為の権利書、それら全ての作成、署名を一人で進め、片付けていく。アスタルテに手伝ってもらう訳にもいかないので、一人で進めるしかないのだが、何となく自分しか働いていないので少し不満に思う。


「ああー、何とか、完成したな」

「そうですね。ここでひと段落と言ったところですか。この後は、どうするんですか?」

「人材はひと段落したし、資材、資金も当分は問題ない」

「これで目標は達成ですかね」

「まぁ、そうなんだけど。今だに情報がない他の守護者達の事が心配だな」


 ジンは店舗範囲の拡大と同時に情報収集も進めているが、他の属性の勇者の守護者達の存在をジン達は確認できていない。


「あー、そんな心配ない気がしますけどね」

「心配になるのはしょうがないだろ。これでも結構仲良かったし」

「まぁ、私も戦後はほどほどに仲良かったですね」


 そんな話をしている二人に、突然連絡員の男が入って来た。


「大変です! 周辺四ヶ国から宣戦布告の手紙が出されました!」

「あ?」


 苛立った声が連絡員の男を威圧した。


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