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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第二章 守護者達の旅行記
19/151

15話:木原 結子

 ジンはゾンビを操っていたと思われる少女の外見をよく見てみる。

 少女の、外見は誰かに作られたかのような感じがあり、生物っぽさはあんまり感じられないが、顔立ちはなかなか愛嬌があり、美人というよりは、幼さが残っていて可愛らしい感じだった。髪はジンと同じで黒く、長髪でサラサラとした触り心地のよさそうな髪だった。だが、だが、そんな事は、どうでもいい。男ならそこではなく、その下に目線がいくだろう。服を押し上げ、その存在を高らかに主張している、その途轍もなく立派な双丘に。

 ジンもついつい、それに目がいくが、正面にいるアスタルテから、ジトっと睨まれて、バツが悪そうに視線を少女の顔に戻し語りかけた。


「お前は木原だろ? こんなところで何やってんだ?」

「え? あ、貴方は………、誰?」


 自分の前世の名前を、いきなり言い当てられ、困惑する木原と思われる少女。ジンは取りあえず状況を説明するために、口を開こうとするが、アスタルテに先を越される。


「あなたは、木原(きはら)結子(ゆいこ)さんの、生まれ変わりですね」

「え?あ、はい」

「私は、羽山玲子の生まれ変わりで、そちらの方は東郷亮の生まれ変わりです」

「は?」


 いまいち、状況をうまく呑み込めないのか、もっと状況を説明してくれるように、目線で頼み込む。


「取りあえず、お久しぶりですね。木原さん。貴方が先に死んでしまってから、どれ位振りでしょうか?」

「ほ、本当に、玲子ちゃん、と、隊長なの?」

「ああ。お前も、生き返ってたんだね」


 ジンは喉元に剣を突き付けながら、少女の質問に、朗らかに笑って答えてやる。


「う」

「う?」

「う、う、ひっ、ひっぐ!えっぐ!あああん!!」


 少女は急に泣き出してしまった。緊張の糸が切れてしまって、感情が沸き上がってきたからなのか、わんわん泣き出し始めた。

 その光景にびっくりした二人は、武器を下ろして、背中をさすったり、頭をなでたりと慰め始めた。ジンはその間に、彼女のステータスを見て置く。


◇  ◇  ◇


メリア(前世:木原  結子) 種族:人造人間 性別:♀ 年齢:8歳


レベル:51

HP :560

MP :560

STR:560

DEF:560

RES:560

AGI:560

INT:8560


称号:異世界転生者 風の勇者の守護者 迷宮の住民 マッドサイエンティスト 天才整備士 改造者 作られた者 指揮者 好色 バイセクシャル セクハラ好き 寂しがり屋 争い嫌い 魔法狂い 男の夢 電流を操る者


コモンスキル


・戦闘スキル

拳術     (Lv5)

短剣術    (Lv7)

操糸術    (Lv9)

射撃     (Lv8)

人形操作   (Lv6)

魔力感知   (Lv10)

戦略構想   (Lv3)

斬撃耐性   (Lv5)

衝撃耐性   (Lv5)

魔法耐性   (Lv10)

火耐性    (Lv4)

雷耐性    (Lv6)

悪臭耐性   (Lv7)


・魔法スキル

魔術     (Lv10)

風魔法    (Lv8)

水魔法    (Lv6)

火魔法    (Lv3)

地魔法    (Lv7)

雷魔法    (Lv7)

氷魔法    (Lv4)

強化魔法   (Lv5)

死霊魔法   (Lv7)

空間魔法   (Lv5)

影魔法    (Lv6)

使役魔法   (Lv5)

聖術     (Lv5)

魔力精密操作 (Lv10)

魔力視認   (Lv5)

魔力回路形成 (Lv7)

魔力同調   (Lv5)

魔力浸透   (Lv5)

魔力譲渡   (Lv5)


・生活スキル

料理     (Lv2)

裁縫     (Lv3)

医療技術   (Lv5)

礼儀作法   (Lv2)

計算     (Lv10)

共通語    (Lv5)

古代語    (Lv10)

読み書き   (Lv8)

鑑定     (Lv8)

鑑定遮断   (Lv7)

電流操作   (Lv10)


・生産スキル

細工物制作  (Lv7)

魔道具制作  (Lv10)

機械製作   (Lv10)

武器制作   (Lv7)

木工     (Lv5)

調合     (Lv5)

錬金     (Lv5)

鍛冶     (Lv8)

整備     (Lv10)

修理     (Lv10)

建築     (Lv8)

造船     (Lv8)

農作業    (Lv4)


固有スキル

異世界人補正

自己調整   (Lv4)

【トーマス=エジソン】

発明王への道 (Lv8)

不断の努力  (Lv8)

【木原 結子】

精密な指先  (Lv8)


・ギフト

神の隠蔽

風神の加護

従魔契約 (契約従魔)ブラック01-01 ブラック01-02 ブラック01-03 ブラック02-01 ブラック02-02 ブラック02-03 ブラック03-01 ブラック03-02 ブラック03-03 


・装備

武器:魔糸の籠手 魔力の籠手

防具:スライムスーツ 強化白衣

アクセサリー:観察者の眼鏡


◇  ◇  ◇


(なんか、凄い偏ってる気がする。気になるところは多々あるけど、先ずはこっちを泣き止ませないとな)


 そう思って、少女――、メリアが泣き止むまで、ジンはアスタルテと共に、二人でメリアを慰め続けた。

 そうして数分後、


「ううう、隊長ぅぅぅ~。玲子ちゃ~ん」


 メリアはそう言って、二人に抱き着き、二人を自分の胸に埋める。


「お~」

「離してください」


 満更でもなさそうなジンとは対照的に、アスタルテは珍しく顔を歪めて迷惑そうにメリアを押しのける。


「あんっ!」


 艶っぽい声を出して、わざとらしく大袈裟に反応する。


「変な声出さないで下さいよ。わざとらしい」

「嫌だねぇ。玲子ちゃんが、変なとこ触るから。ちょっと、感じちゃっただけじゃない」


 アスタルテの苦情にふふふと笑って返し、さっきまでとは違って余裕たっぷりなメリア。


「申し訳ありませんが。今の私の名前は、アスタルテです。玲子の名前は、いまの所使えないので、注意していただけますか」


 若干、メリアが胸元を強調してきたことにいら立ったのか、淡々とした口調で、自分の名前について注意する。


「え、そうなの?………まぁ、そうか。いや、それにしても、アスタルテなんて、言いにくそうな名前だね」

「そうか?俺は毎回そうやって呼んでるけど。慣れたら、呼びやすいぞ」


 いまだにメリアの膝の上で、彼女の胸に埋まりながら話に加わるジン。


「にしても、よくここで此処までの設備を整えられたよな。お前は何してたの?」


 ジンは周りにある、よく整えられた施設を見渡して、メリアに尋ねる。


「ある程度はお師匠様が整えたのだけどね。それに、私の知識があればこれくらいの事はやってやれますよ」


 メリアは、ムフーン、っと鼻息荒くして、自慢気に胸を張って答える。その光景に、アスタルテの顔に若干、苛立ちが浮かぶ。


「そういえば、自己紹介がまだだったね。もう知られているようだけど、私は木原結子の転生体、こっちの世界ではお師匠様からメリアって呼ばれていました。よろしくお願いします」

「さっき、紹介されてたけど。俺は、東郷亮の転生体のジンだ。よろしくお願いします」

「私は、羽山玲子の転生体であるアスタルテです。よろしくお願いします」


 ジンは気安く、アスタルテは真面目に、簡単に自己紹介してからペコリとお辞儀する。それに慌てて、メリアもペコリとお辞儀を返す。


「………というか、いつの間に抜け出したのですか?」


 小首を傾げ、隣に立っていたジンに質問する。ジンは目線を逸らして、メリアに向けて話を始める。


「ええと、色々話をしておきたい所なんだけど。取りあえず最初に、これからお前さんは、どうしていきたい?別に何かを強制する気はないから、言ってみてくれないか?」


 直球な質問だが、これ以外に聞く方法が思いつかなかったので、取りあえずそのままで聞いてみた。


「聞き返すようで、悪いんだけど。逆に隊長にとって、私は必要?私を引き込みたいの?そうじゃないの?」


 メリアは口元に笑みを刻んで、疑うような視線を向けて問い返した。ジンは目を閉じ、少し考え目を開けてこう答えた。


「…………個人的には、お前の腕は信頼してるし、世話にはなりたい。だけど、それは俺個人の、要求だから別に無理して付き合う必要はない。それに外に出れば、色々と面倒なことも起こるだろうから、無理強いはしない。けど、お前が外に出て、俺達に協力してくれるなら、俺が責任もって面倒は見る。軍に編成を組まれた時と違って、お前の意思が重要だから、自由に考えてみてくれ」


 ジンは取りあえず、自身がメリアを欲しがる理由を告げてみた。そのうえで、メリア自身に考えさせる事にした。メリアはメリアで、顎に手を当て、目を閉じて、考え込み始めた。数分じっくりと考え込み、メリアが口を開いた。


「う~ん。そう言われると、悩ましいね。付いて行きたい気持ちもあるけど、ここの研究機材や施設を、置いていくのはもったいないんだよ。それなりに、思い入れもある訳だし。だからここの施設を、どこかに移す算段が取れない限りは難しいかな~、なんて」


 ジンはそういうメリアの目を見つめ、今度はジンが顎に手を当て考え始める。数秒掛けずに考えを纏めて、口に出す。


「移せたらいいのか?」

「は?」

「だから、ここの施設をどこか他へ移せればいいのか?」

「まぁ、その通りっちゃ、その通りなんだけど。そう簡単にいく?」


 メリアはアスタルテに目を向け、意見を求める。


「どうなんでしょう。なんかできそうな気がしますが、まぁ、やってみないと分からないでしょう」

「む~、そうなんだけどさぁ。下手にやって、壊されたくはないんだよ」

「壊す気はないよ。見た感じ、かなり前の時代の遺物だしね。俺も、これくらい貴重な品なら、もっと研究してみたいし。別な場所なら、量産とか研究もしやすいし。………っよし」


 アスタルテはやらなければわからないというが、メリアは下手にやって壊されたくはない。ジンは、その気持ちをくんで、近くにいたオメガブラックに触れる。すると、淡い光がオメガブラックを包み、その光が消えるとともに、オメガブラックの姿も消える。

 アスタルテには見慣れた光景だが、メリアは初見であったが驚いている様子はない。空間魔法で同じようなことが出来るのだろう。


「う~ん。空間魔法で、運ぶのでもいいんだけど。あれ、一つの袋に色んなものを、ゴッチャにして入れるようなものでしょ。色々問題があるんだよ、それじゃあ~ね」

「そんなわけないだろ」


 ジンはそう言って、メリアの前に自分のインベントリの表示を出現させる。


「うわっ!」


 メリアは突然現れた、奇妙な表示に驚いて少し後退る。でもその表示を、ジッと観察する。


「……え?私のゾンビが入ってるんだけど。どゆこと?」


 不思議そうにジンに視線を向ける。表示の中には、ゾンビの表示の上に枠を一つ埋めて、ディフォルメされた状態で描かれた、先程収納されたオメガブラックの姿があった。


「それは何個でも、何トンでも収容可能。混ざりあったりすることなく、キッチリと整理された形で収容されるんだけど、どう?」

「え?じゃあ、お願いします」

「わかった」


 そう言って、メリアがペコリと頭を下げると、ジンは頷いて他の装置に手を向けていく。数分すると、部屋にあったものはなくなり、ジンのインベントリには様々な物が収納されていた。あらかたしまい終わり、部屋の中を見渡すと、出口とは違う所に三つほど扉があった。


「なぁ、メリア、あの扉はなんだ?」

「うん?ああ、私の私室と、資料庫兼食料施設への扉と、格納庫の扉だよ」


 引っ越し作業は、ジンが一人で進めていくので、飽きてアスタルテと遊んでいたメリアに問いかけると、そこがどんな施設であるか答えてくれた。アスタルテはメリアの相手をしながら、後ろから手を生やして、食事の準備を始めていた。


「じゃあ、ここも片付けた方がいいか?」

「うん。お願いしま~す」

「適当だね」


 ジンは、やや呆れた口調で苦笑いしながら、資料庫の方へ入っていく。

 資料室の中は、カビ臭いが、埃はなくそれなりに綺麗に整頓されていた。それでも背表紙に書かれている字とかを見てみると系列とかは、バラバラで。どこでもいいから突っ込んでおくか、という感じになっていた。ジンは溜息をついて、手を伸ばし、インベントリにぶち込んでおく。すべてしまい終わり、部屋のさらに奥にある扉を開くと、其処には広い野菜畑があり、色々な野菜が苗と共に育っていた。栽培されている植物も収納できるのか、と思ったが、試しに収納したら、問題なくできた。植物は例外なのかもしれないと思い、もう少し検証したいが、すぐにアスタルテたちがいた部屋へと戻って、もう一つの部屋に入る。


 そこで見たのは、船だった。


 外観は、帆船ではなく、宇宙戦艦という方がしっくりきた。流線形のフォルムに、機銃や砲塔がついている機体や、プールなどの娯楽施設を積んだ機体もあった。何となく、そういう男心をくすぐるような光景に、若干心を躍らせながら、収納を後回しにしながら、取りあえず辺り一帯を見回ってみることにした。

 格納されている船は、十一台あり。小型機十台に、大型機一台だった。小型機でも、全長が二十メートルあり、高さは、七メートルはありそうなくらい大きかった。大型機は、他と比べるのがバカバカしくなるほど、巨大だった。


(にしても、でかいな)


 そう思いながら、大型機を見上げ、高く跳躍し、その中に潜入してみる。

 中は、近未来的な内装で、特撮ヒーローの秘密基地のような雰囲気があった。色んな部屋を見て回りたいところだが、あんまり二人を待たせるわけにもいかないので、気になった一ヵ所に寄ってみることにした。

 そのまま、船内を歩いて数分後。遂に目的の部屋へと来た。扉の横には、『船長室』と書かれたプレートが、取り付けられていた。自動ドアを開き室内に入ると、執務椅子と思われるところに黒いローブを被った骸骨が座っていた。頭にはフードをかぶって、その上から海賊が被るような二角帽(バイコーン)が被せられている。


「み―たーなー!!」


 気の抜けた声と共にメリアが後ろから覆いかぶさった。ジンの身長がまだ低いので、メリアの胸が彼の頭にのっている構図である。


「………なぁ、あれ誰?」


 ジンは、頭の重みを若干鬱陶しく思いながら、指をさして、二角帽を被った骸骨を指差す。


「あれは、私のお師匠様だよ。元々、凄いアンデットだったけど。私が聖術使って、浄化させたんだ」

「そう」


 さっきまでとは違って真剣な表情のメリアに、ジンは短く呟いて、頷いた。


「苦しみなく浄化できてたと思う?」

「さぁ?お前がそうやって逝かせられたって、胸張って言えるならそれでいいんじゃない?」

「そう」


 ジンがたいして興味なさそうに返すと、メリアは少しだけジンに抱き着く力を強める。そしてそのまま、ジンを抱え上げ、元居た部屋へ戻っていく。


「あら?格納庫での整理は終わったのですか?」

「いや、ちょっと休憩」


 アスタルテは、以外に早く終わったと思って、台所に立って手元を見ながら、問いかける。ジンは、メリアに抱えられたまま答えを返す。別に格納庫の整理に体力を使うわけでは無いが、この迷宮に入ってから、休憩をしてなかったので、ここらで休憩しておこうと思ったのだ。

 そのまま、台所の見えるダイニングテーブルに、メリアがジンを抱えたまま座る。

 ジンは抵抗する気も失せたのか、なすが儘に抱えられ、宙を見つめる。ジンの視界には、先程収納した大量の本がしまわれたインベントリが映されていた。

 ジンはそれらの本のタイトルを、確認しながら種類分けしていく。だが、本のタイトルが見れてもジンには古代語は読めない。そのため、先ずは共通語で書かれている本から整理していった。

 数分で種類分けを済ませると、古代語の方へ移るが、


(読めない)


 習得していない言語を、見ているので全くもって内容がわからない。しばらく難しい顔をして、真剣に表示と睨めっこしていた。


「ふゅぅ」


 いきなり頬をつままれて、思わず声が出るジン。


「あはは、やわっこ~い」


 さっきから後ろでメリアが構ってくれという様に、ジンの頬を引っ張ったり突いたりしていたが。本の整理を進めていたため、集中していて、メリアが出すちょっかいにジンは気付いていなかった。が、ここでようやく気付いた。


「やめい」


 ぺしっ、っと頬をつついていた手をはじく。


「いいじゃない。こんなにモチモチしてて、綺麗なのに。………というかほんとに綺麗ね、女の子みたい」


 メリアはジンの、頬をつつきながら、つまんだり撫でまわしたりしている。


「ん~、前世みたいな見た目もよかったけど、こっちの方もなかなか。むふ~」


 寂しさを晴らすように、メリアはジンを抱え込み、頬ずりをしはじめる。


「やめろよ」


 ジンはそう言いながらも、体を震わせメリアから離れずに、体を任せて暫くはされるが儘にされていた。

 そこから、数分するとアスタルテが自分の作った料理をもって、ダイニングテーブルにやってきた。アスタルテは、メリアに抱えられたジンを見て、少し目を見開くがそれをすぐに戻し、テーブルに料理を載せていく。

 ジンは、メリアの拘束から抜け出し、フォークやスプーンを用意していく。メリアは、ジンに抜け出されたことで悲しそうな顔をするが、すぐに目の前に出されていく料理に目を輝かせ、口から涎を出していた。


「うわ~、こんな美味しそうな料理なんて久しぶりに見たよ。アスタルテちゃんは、服装からメイドっぽいとは思ってたけど、かなりの腕前だよね。すごい、いい匂い」


 アスタルテの料理の腕を感心したように褒め称えるメリア。

 食材があるが、満足できるような食事は、食べていなかったのだろう、メリアはグ~、っとお腹を鳴らしてフォークを持って、全員が着席するのを待つ。

 準備を終わらせて、ジンとアスタルテの二人も、席に着く。

 今日の献立は、とろとろのチーズのグラタン、温野菜のサラダの二つ。久しぶりの自分以外が、作った料理はとてもおいしそうで、よだれが机の上に垂れていた。


「ふん、ふ~ふふ、ふ~ん♪」


 上機嫌に鼻歌を歌い、グラタンを口の中に入れていく。濃厚なチーズが、口の中に広がりしっかりとした味をゆっくり味わう。チーズの絡まったマカロニを噛むと、程よい柔らかさの中に濃厚なチーズがしみだしてきて、口の中には旨味が広がると同時に、細く刻んでいただろうベーコンが入ってきて。良くマカロニとチーズにあっていた。


「ふふ……、美味し」


 メリアは次に温野菜を口に入れる。

 柔らかくしっとりしている。心地いい暖かさが口の中に、広がる。自家製のドレッシングを絡めた温野菜は、あっさりとしたドレッシングがよくあっていた。

 暫くは、会話はすることなく、黙々と料理を口にしていた。


「ふぅー。お腹いっぱい」


 メリアは満腹になった、お腹をポンポンと叩き、満足そうに息を吐く。ジン達は、その姿を微笑ましそうに見て口元を緩める。


「で、今後の事は?」


 一応引っ越しは可能になったので、懸念事項がなくなり付いて行く気満々のメリアが、ジン達に尋ねる。


「先ずは、この迷宮の攻略。次は、町に行ってお前の身分証も作る」

「ふ~ん。で、その後は?」

「ある奴等に会いに、皇国の首都とガンジ獣王国を目指す。で、その後に、ここより少し東へ向かう」

「ガンジ獣王国?」


 メリアは話を聞いていたが、聞きなれない単語が出てきたので尋ねてみる。


「獣人が納める国だよ。後は他にも他種族が暮らしているらしいけど、一番一般的なのは獣人かな」


 ジンは簡単に答える。彼も詳しい事はあまり分からないので、取りあえず知っている知識を話す。


「じゃあ、ここの迷宮の攻略が最優先になるのかな?」


 メリアは、決まっていた方針の確認をする。


「ああ。お前も協力してくれ」

「オッケ~」


 気の抜けた声で、了解の返事を出すメリア。若干アスタルテは苦笑いしながらも、面倒なことにならなくて良かったと、安堵の息を吐く。

 取りあえず、食事も終わったので、ジンは格納庫の整理を再開する。

 残された、アスタルテとメリアの二人は、それぞれの状況を話し合い始めた。

 アスタルテは、元は貴族の令嬢で父親が失職したことにより没落して城のメイドとして勤め始めた事。その後訳あって王宮での仕事をやめ、今はジンの傍らでそのお世話をしている事。

 メリアは、高位のアンデットによって作られた人造人間で、体型や顔立ちはそのアンデットの趣味であること。そのアンデットも、五年くらい前に自分の手であの世へ送ってあげた事。そこから先は、一人で過ごしてきたこと。

 メリアとアスタルテは、リラックスするように様々なことを吐き出すように話し合った。二人共、ジンが戻ってくる頃には、完全に打ち解けていた。

 ジンが戻ってきて、探索の続きはまた今度にしようと、今日はメリアの部屋に三人で休んでいくことに決めた。っと、ここで一波乱起きる。


「いや、流石にダメだろ」

「え~、いいじゃん。他の誰かに見られるわけじゃないんだし。もっと大胆になってくれても大丈夫だよ~」


 渋い顔しながら拒否するジンと、何も考えてなさそうな顔をして蠱惑的にジンをベッドに誘うメリア。アスタルテはその光景を気にした風はなく、メリアの側について待機している。


「そいっ!」

「うぉ!」


 メリアは大胆にジンに抱き着き、強引にベッドへ引きずり込み、アスタルテと自分の中間に入れる。アスタルテもそれを受け入れて、就寝態勢はバッチリの様子だ。ジンは溜息をついて、抵抗をあきらめ。そのまま体の力を抜く。普通の男子なら緊張して寝る所ではないはずなのだが、この状況でもリラックスして寝ている所を見ると結構大物である。そこからは、三人で川の字で寝て休息をとることにした。


*  *  *


 しっかりと睡眠時間を取れた頃。ジンは目を覚まし、上半身を起こし小さく欠伸をする。アスタルテも同様に起床し、上半身を起こす。メリアはまだ寝ていて、起きる気配はない。

 そのまま、起きた二人は寝ているメリアを放っておいて、前に大暴れした広間に向かった。其処に着くと、日課になっている朝の鍛錬を開始した。(今が朝かは、分らないが)

 そのまま二人で、ノルマを終わらせ、アスタルテは朝食の準備を、ジンはメリアを起こしに向かった。

 寝室にジンが入ってもメリアはまだ起きてきてはいなかった、ベッドの上で掛け布団とシーツに抱き着き、随分とだらしない格好で寝ている。

 ジンは溜息をついて、メリアを起こそうと肩を掴んで揺らす。


「う~ん、ふぅ、んっ、う~ん、」


 目をこすりながら、寝っ転がって周囲を見渡すメリア。そのまま、ジンに抱き着きベッドに引きずり込む。


「うふふ、暖かいね~」


 メリアはジンを抱きかかえながら、ゴロゴロと寝転がる。


「ん~、やめろ~」


 ジンは迷惑そうに、メリアの体から離れようとジタバタと足掻く。筋力はジンの方が上だが、あんまり力を籠めるとメリアを傷つけてしまうので、ほどほどに力を込めて抜け出そうとする。が、割と高レベルのメリアの筋力は強く、ほどほどの力では抜け出せない。

 そこでジンは、発想を変えメリアを背中に背負い、背中から生えた手を使ってメリアを支えて部屋から出る


「おぉぉ! 力持ちぃ~」


 メリアはジンに背負われながら、体を預け、もたれかかりながら嬉しそうにおぶさって運ばれていく。昨日食事したダイニングテーブルに着くとメリアを下ろして、自分はアスタルテの手伝いに加わった。

 暫くして朝食?が出来上がり、テーブルの上に配膳されていく。献立は、トーストに、サラダ、目玉焼きにソーセージ、ベーコンとそこそこ豪華な献立で匂いだけでこれは美味しいと分かる。

 それを、メリアは美味しそうに口にしていく。そうして食事は淡々と終わっていって、そろそろ出発する頃になった。


「そろそろ出るか」


 ジンがそう呟いて立ち上がり周りを見渡す。アスタルテとメリアの二人は、頷いて立ち上がる。アスタルテは特になんか感じている様子はないが、メリアは何か名残惜しそうにあたりを見渡して、それでも覚悟を決めるように歩き出した。

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