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悪友

重い空気の中歩き一刻が過ぎ目的地に到着した。

県立坂田高等学校、外壁は薄汚れ、雑草が生い茂る手入れのされていない庭が広がる。規模は大きくも小さくも無い。

この高校は地域では悪い噂しか聞かないほど学力が低い事で有名だ。


イザヨイシャイニングへの視線は、少なくなっていた。

だからといってイザヨイシャイニングが浮いていない訳では無い。

ただ単に生徒らはイザヨイシャイニングがイザヨイシャイニングである事を熟知しているため見るに値しないのだ。


つまりイザヨイシャイニングの格好は日常的なものであり誰もそれを指摘しないのかは校長にもわからない。


イザヨイシャイニングが門をくぐると同時に原付が駆け抜ける。

「よう、田中正輝」

「イザヨイシャイニングだ。故意にその名を発するな剛田」

「それを言うなら田中……いやイザヨイシャイニングだって間違ってるぜ。俺のことは剛田じゃない……ダーリンと呼べよイザヨイシャイニング」


 剛田と呼ばれた、黒髪ボサボサの男はそう言うとクルリと身を翻して続けた。


「それより知ってるかイザヨイシャイニング?」

「何だ、ダーリン」

「おぇ……。吐き気しかしないからホントにそう呼ぶのは止めてくれよ……何でネタだって分からないかな……」


 心底気分が悪そうに吐き真似をする剛田にイザヨイシャイニングは眉を八の字にした。


「……お前のネタは分かりにくいんだ」

「ばっきゃろ!お前っ!健全な男子高校生たる俺が本気で同姓の男に『ダーリン』なんて呼んでもらおうとか思うわけ無いだろ!」

「え、お前ホモじゃなかったのか……?」


 イザヨイシャイニングが愕然と呟くと。

 剛田は原付から降りてイザヨイシャイニングの胸ぐらを掴み上げた。


「ばか野郎!確かに俺はショタもイケる質だが、それはあくまで小学生までだ!」

「いやそれも大分手遅れな気がするんだが……。まぁいい、それで―――お前は何の話をしようとしていたんだ?」

「何だよ、この原付を見てもわからないのか?」


剛田の原付はイザヨイシャイニングの格好に負けず劣らずの難民印刷がされていた。


「…お前…ロリ…だと!」

「二次元はロリ派だ!」

「アホか貴様!!そこは男の娘で我慢してろよ!」

「バッキャロウェイ!!あんなの男じゃねえ!まあ、年齢がショタ辺りならわかるが俺らぐらいの年であれはねえだろ!」


話は芯を掠め脱線し、いつの間にか性癖を暴露した剛田は原付を適当に放置し鍵をかけた。


「前置きはこのくらいで良いだろう。あの話…どうなった」


イザヨイシャイニングは声のボリュームを下げ剛田に尋ねる。


「ああ、イザヨイシャイニング…あれはやめといた方が良いぜ。何人かに相談してみたが…」


剛田は言いかけたが言葉を詰まらせる。


「ダメか…仕方ないな…我とダーリンだけで結成するか…」

「ああ…?だから『ダーリン』はネタだって」

「というネタだろ?我は裏の裏を読んだまでだ」


剛田は呆れ話を戻す。


「あんな名称で本当に良いんだな」

「あんなだと?我が一日中考え

に考え抜いた『十六夜ガ、バックパーゴラ&シャイニング部』だぞ!」

「二人だと部活じゃなく同好会だろうがな…」

「ふん。部活だろうが同好会だろうが関係ない。結局、俺達が魂をかけることには変わりないだろう」

「いやちょっと待ってね?俺は魂をかけるとまでは言ってないからね」

「なんだと!?」

「え……いやそこ怒るところなの?」


 こんな名称の部活……いや同好会に魂をかけるだなんて……。後世の恥以外何にでもない! 


 剛田は内心冷や汗だらだらになりながらも、ヘラリヘラリと作り笑いを浮かべて、強引に話を切り替えた。


「そ、そういえばさ!この近くに新しくゲーセンが出来たらしいぜ!」

「……そうなのか?」

「その反応ってことは、イザヨイシャイニングもまだ行ったことないのか」

「『もまだ』ってことはダーリンも行ったことないのか」

「行ってないですダーリンです」

「…行くか…俺の求める秘宝があるやも知れん」

「じゃあな!俺はもう授業サボれないから」

「ダーリン…共に留年しようぞ」


イザヨイシャイニングは剛田の腕を取り強引に引き連れ来た道を戻る。


反抗をする剛田だが包帯の巻かれたイザヨイシャイニングの腕は異様なほど発達し握力は七十を優に超えるため歯が立たない。


その光景は圧巻ですね!!

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