EP1.4 Standard plan
やり方はいつも通り。だと信じたい。そうとは限らないと言われかねない。
まず、私たち4人は例の商会の前に行くことにした。かったのだが、どうやら私が何かやってしまったようで、
人目を避けて行動することになった。隠蔽工作はしたはずなのだが。
そして私は何かやった罰らしく一人で行ってくれという話になった。
『それにしてもバックヤードの街ってなかなか怖い響きっすね。』
「そう思っているうちはそうなんだろう。実際、どれほど危険なのか我々は把握していない。」
『いや、さっきの奇襲はどう見てもそういうことじゃないんすか?』
「ひとまず、商会についた。詳しいことは後だ。」
商会は5階建ての大きな建物で、中ではすでに商人たちが宴会らしきことをしていた。
さて、ここからどうしたものか。
「どうやってバックヤードを無力化する。」
『街の人全員から探すなんてのは流石に無理なんで、まずはこの商会のオーナーにあってみますか。』
「わかった。」
商会の中に入ると多くの人が食事を楽しんでいた。
「こんばんわ。招待状をお見せしてもよろしいでしょうか。」
「ああ。そういうのが必要なのか。」
「お持ちでない方は申し訳ありませんが・・・」
「仕方あるまい。無理を言うわけにもいかない。次の機会としよう。」
そう言って静かに出る。
「ダメだった。」
『早っ!』
『こういう時は裏側から潜入じゃろ!』
「正直そういうのは好きではないが。誰かから招待状をもらうわけにもいかないしな。」
もらっておけばよかった。とメモしながら私は商会の裏にまわる。そこには裏口が一つと人が5人。そして馬車が3台。
馬車の中に乗り込むとそこには木箱がいくつか入っていた。中を開けるとナイフやゼンマイ式のリボルバーが詰め込まれていた。他の箱を開けると宝石がいくつか入っていた。
床には球体の物がいくつか転がっており、その近くには銃が置かれていた。
「この後運ぶ商品だろうか。それにしては銃器が多いようにもみえるが。」
右肩のあたりに結晶体を浮かばせる。
「形成。展開。投影。ヘイズ。この球体の物はわかるか?」
『見た目だけじゃわかりづらいっすね。こういうものって投げないとわからないことが多くて。』
「ふむ。投げるにも外に人がいるからな。裏口から入って商会のオーナーを見つけられればいいのだが。」
『あーそれでしたら、アゾットって男に会うといいっす。そいつがオーナーなんすよ。』
「アゾット。わかった。」
馬車を出ると人はいなくなっていた。先ほど出した結晶体を更に32つ複製する。
「複製。展開。観測。」
私の結晶体は基本的には1つの結晶体に魔力を一定量入れた後、それを燃料代わりとして活動させることができる。活動させるには動作を一つ指定しなければならず、変更はできない。そのため、不要になった場合は、即座に破棄する。
裏口を少し開け、結晶体を中に入れる。その後別の結晶体を作り、映像を映す。
通路は長く、手前には階段がある。そのうえ、表とは別の空間になっているらしい。
通路を進んでいくと、扉がある。おそらくここから表に出られるのだろう。
階段は上下に続いており、地下室があるようだ。上に上がると商人らしき人物がいた。また警備員がドアの前に立っている。3階以降にも職員が出入りしている部屋があるが、4階の1部屋だけは警備員以外にも機械が数台置かれている。
地下は暗かったので自分の目で調べることにする。
「さて、これからどうするか・・・ヘイズ。顔写真はあるか?それを見ながらアゾットを探したい。」
『了解っす。』
「それと、逃げられてもいいように、君たちも戦闘準備を怠らないように。馬車が5台あった。マークは蛇だ。」
『了解っす。今店長の魔力瓶の準備が終わったところなんで。』
「わかった。」
顔写真を見せてもらったが。いかにも悪人面の代名詞にでもなりそうな顔だった。幸いにもそいつの顔は確認できた。
「ふむ。そこか。さて、一つ話でもしに行くか。」
『気を付けるのじゃぞー。おぬしがいくら優れた魔術師とはいえ弱点はあるんじゃからのー。』
そんなことはわかっている。それがどうしたというのだ。
私は裏口から中に入っていく。そしてそのまま地下への階段を下りていく。
地下は石づくりだが、きれいに舗装されている。地下は区画を区切って倉庫になっており、倉庫の中を覗くとそこには馬車にあった物よりも大型の木箱があった。中を開けると車輪や金属製の筒、そして棒が入っていた。
「組み立て式砲台。か。」
他の箱にも同様の物が入っていた。他にも火薬や蒸気タンクが入っている箱もあった。
「ふむ。商人にしてはまるで戦争でも起こして問題ないような品物だな。」
『他にもおらんか?』
「そうだな。突撃用の蒸気槍やスリンガーでもあるな。」
『なんだか物騒ですね。バックヤードとはこういうものなのでしょうか。』
通信をしていると、どこからか声が聞こえる。すすり泣くような声だ。
「・・・いったん通信を切る。人の声を確認した。」
上の階に向かわせていた結晶体をいくつか地下へ呼び、奥へと走らせる。
すると、そこには鉄製の檻があった。中には女性が3人ほど入っている。
ベタすぎるかもしれないがまあそういうことなんだろう。
結晶体越しに会話を試みる。
「失礼。少しいいかな?」
「ひっ!」
「怪しまなくてもいい。私は君たちがなぜこうなっているのか気になって仕方ない。」
「あ、貴方は・・・」
「バックヤードを探しているものだ。」
「ギルドの人ですか!助けてください!」
「落ち着いてくれ。君たちを助けたいがまずはアゾットという男を探したい。」
「あの人なら4階にいます!」
「やはりか・・・さて、君たちを助けたいのはやまやまだが・・・。まずはアゾットという男に会わなくてはな。」
「お願いします!」
結晶体を下げる。そしてそのまま4階へと向かう。
「さて、ここからどうしたものか」
階段を上がるとそこには人がいた。どうやらさっきの声に反応しただろうか。
「お、お前は」
「形成。展開。照射。」
バシュン!
ドサッ
早速一人撃ってしまった。まあいいか。そのまま階段を上がっていく。
一斉に結晶体を破棄する。その方が気づかれずに済む。それに魔力は無限とは限らない。
2階に上がると警備員がたっている扉が見える。それを無視して4階を目指す。
4階に上がるとあかりは消えていた。先ほどまではついていたが、警備員の様子もわからない。
そのまま通路に出ようと思った瞬間
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
連続した発砲音が聞こえる。私はその場を動けなかった。あまりにも早すぎた。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
しかし、それと同時に大型の結晶体で壁を作る。
魔術師は詠唱によって魔法を生成するが、詠唱をしなくとも可能ではある。その場合は不安定になったり制御できても弱体化することが多い。
しかし、この程度の機銃なら問題はない。弾が切れるまで待つことにした。
「何の騒ぎだ!」
「上の階だ!急げ!」
どうやら下にいた連中にも知られたようだ。音が大きすぎる。
「生成。展開。照射。」
バシュン!バシュン!バシュン!
「ぐあああっ!」
「なんだこれは!退け!退け!」
「あとは・・・照射。」
バシュン!バキン
機関銃の銃口をへし折った。下の階から起草だった連中も撃ち落としておいた。
さて、ご対面と行くか。
扉には鍵がかかっている、それも打ち壊す。中には一人の中太りの男性がいた。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
顔写真と一致している髭。顔からして痩せていると思った。
「君がアゾットかな?」
「お、おおおおお前おまおあああおまおおおおまおおおまえお前ええお前が」
「話にならないな。」
結晶体を展開し周囲を囲む。
「質問しよう、君はゼノヴィア・ローレン=ツァーリをご存知かな?」
「き、貴様はあいつの差し金か!」
「そういうことにしてくれ。何故あのようなことを?」
「ローレン=ツァーリといえば円卓だろう!奴らはこの国を乗っ取るに違いない!」
「それゆえか。だとしたら申し訳ないが、それはなくなったといいたいな。」
「そんなわけがないだろう!奴らが何者か知っているのか!!!」
「それなら、もう少し見守ってもいいんじゃないか?」
「そんな暇があるならこの手で殺すまで!」
アゾットが手元にあった銃を構える。銃には赤い液体が入っている。
一瞬で分かった。これは火属性だ。だとしたらまずい。何がとは言わないが。
それよりも、こいつは一つ勘違いしていることがある。それを解消した方がいいか。
「悪いが、君を殺す意味がなくなった。銃を下ろしてくれ。」
「うるさい!黙れ!」
引き金に指かかかっていない。恐らく奴も必死なのだろう。
悪いが、こっちもこういった相手となれば手加減せざるを得ない。
「照射。」
バシュン!
「ぎゃあ!」
手に軽く一発。その後結晶体を一つ体当たりさせ銃を吹き飛ばす。その拍子に結晶体が割れる。
同時に右手に切り傷ができる
「っ。流石にこれはダメか。」
「くそっ・・・くそっ!俺はこの街を守りたかっただけだというのに!」
「そのために人を殺すのか?罪があるかわからない人間を殺すのか?」
「円卓など!この国の敵だろう!お前はそんなことも知らないのか!」
「かつての円卓が何をしていたとしても、それが今殺す理由になるわけがない。それに、君は知らないようだ。」
私はある事実をアゾットに伝える。
「・・・なん・・・だと」
それを聞いたアゾットは失神した。
「悪いな。今日からきみはこの秘密を知ったと同時にまともに生きられる保証ができなくなった。」
さて、地下にいる人を助けに行こう。
「形成。展開。通信。ヘイズ。要救助者3・・・いや4名。一人は4階。他は地下だ。」
**{ }**
「失礼。この声に心当たりがあるなら。」
「貴方は!」
「やっと顔が見れた。安心したよ。」
「アゾットは!」
「彼なら今頃私の仲間が連れて行った。明日の朝には洗いざらいはいてくれるだろう。」
「そうですか・・・ありがとうございます!」
バシュン
檻を破壊すると、三人を連れ出し外に出る。
『あー隊長。悪いっすけど、このままだと無理っすよー』
「そうだな・・・やれやれ。」
そこには数十名の男が待っていた。
全員が武装済み。しかも遠くから造園が来る様子も見える。
「ネズミが出てきたようだな。」
「そうだな。ネズミになったようだ。だがネズミ捕りになった気分でいてもらわないでほしい。」
「照射。」
バシュン!
「やれ!」
一人撃ち倒すと同時に全員が襲い掛かってきた。
「さて、君たちは向こうだ。形成。展開。送信」
助けた人を全員結晶体の中に閉じ込めると、そのまま遠くへ飛ばしてしまう。
後は距離によって解除されて、助かる寸法だ。魔力にも有効範囲がある。俗にいう射程だ。
「ヘイズ。3人をよろしく。」
『そんな無茶っすよ!』
「早く助けないと全員みんちになるか・・・切られた。」
切られると同時にさらに右腕に切り傷ができる。”そっちから”壊すなといっただろう・・・。
「仕方あるまい。サーシャ。一人ずつ丁寧によろしく。」
ヒュン!トスッ
「うっ・・・」ドサッ
サーシャが遠くから一人射抜く。しかし、射抜かれた奴は地面に倒れる。
睡眠瓶か。まさかそんなものを作ったとは。
私はサーシャが余計に苦労しないように手早く打っていく。
バシュン!バシュン!バシュン!
「このくらいでいいか。」
あっという間に全員を無力化した。
「形成。通信。ヘイズ。そっちはどうだ。」
『ティアラがいなかったら全員ミンチっすよ!!!』
「そうか。それはよかった。ではアゾットを運び出してくれ。」
『お使い感覚で頼むのやめてほしいんすけど!』
「わかった。私が外まで持ってくる。」
そういうと4階に戻った。
まだ倒れている。やはり相当ショックだったのだろうか・・・。
何とか背負うとゆっくりと階段を降りる。
「力仕事は苦手なのだが・・・。」
小麦粉1袋すらまともに運べない私に人を。それもそれなりのデブを運ばせるとは・・・。
「う・・・うう・・・」
「起きましたか。」
「あ、あいつに差し出されるくらい・・・なら・・・」
「はぁ。ついたら起こします。」
バシュン!
「うっ余計重くなった。」
せっかくなので息の根でもとめようかと思ったが。
後はどうにでもなるだろう。救助者もいる。
「さて、これで終わってくれるといいのだが。」
すいません!21時に終わると思ったんですが!!!
電波式廃墟少年です!
マジですいません!次回は22時までには出すようにします!すいません!