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夢の心97
「ぼ、僕は黒い闇の快楽になれないのか?!」と白い闇の中で私は狂おしく叫んだ。
私は夢を見ている。
悪夢だ。
何も見えない白い闇の中を私は漂っている。
黒い闇を真っ白な濃霧で塗り潰したような白い闇は私の平衡感覚を狂わし、上下左右の感覚をも狂わし、私は混乱して発狂寸前の有り様になっている。
そんな中、不気味な太い声が聞こえて来た。
「ここはお前自身の心の中だ。お前の闇の心は、やがて死の象徴である白い闇に閉ざされ、そのように感覚は破壊され混乱の極致に達し、自我は崩壊した後、無に帰すのだ」
私は悲しげに尋ねた。
「無に帰すと、ど、どうなるのだ?」
不気味な声が答えた。
「お前自身が作り上げた、自我を崩壊させる白い闇そのものになるのさ。それが無に帰すことではないか」
私は狂おしく叫んだ。
「ぼ、僕は黒い闇の快楽になれないのか?!」
不気味な声が答えた。
「無理だ」




